第324回:GWで乗ったけど意外と良かった〜!
ホンダ・エリシオン・プレステージ
2007.05.24
小沢コージの勢いまかせ!
第324回:GWで乗ったけど意外と良かった〜!ホンダ・エリシオン・プレステージ
付け焼き刃ではない!
遅ればせながら乗ってきました。「ホンダ・エリシオン・プレステージ」! なんだかんだ試乗会に行けなかったんで、GW中ドカンと借りてみたんだけど、いーじゃないですか。予想外に。
正直、それほど期待はしてなかったのよね。だって、このクルマっていってみれば迎合でしょ。“プレステージ”じゃない、元々の「エリシオン」は、ビッグミニバンの最後発として登場。あえて「日産エルグランド」や「トヨタ・アルファード」みたいなアクの強さで勝負せず、グリルデザイン控えめ&サブフレームを備えて乗り心地を良くした、新路線の“いい人系ビッグミニバン”って位置づけでデビューした。
なんつーか、なんでもアリのバリバリの総合格闘技に美しい空手で挑むような、その姿勢に好感が持てたんだよね。もしくは無理を承知で形容するならば、軍隊あたりまえの世界で、あえて非武装で挑む日本のような戦略。ま、ソイツはいまグラグラ揺れ動いてるわけだけどさ。
でも、いい人戦略をとったエリシオンは、結局、エルグランド&アルファード陣営に立ち向かえなかった。でプレステージでもって、負けじとばかりに大仰なグリルと300psの3.5リッターV6を載せてきたわけ。
が、コイツが付け焼刃と思わせつつも、なかなかデキがいいのよ。クルマ作りってやっぱ深いねぇ。
直線で飛ばすミニバンにあっている
まずね。エンジンのフィーリングがいい。300psの3.5リッターってことで単純に速いだけでなく、振動の伝わりかたがキモチいい。発進直後からシュワーっとなんともいえないバイブレーションがドライバーに伝わってきて、これがトップエンドまで素直に伸びる。個人の相性の問題もあるとは思うけど、俺的には非常に感触がよい。特にミニバンの場合、ほとんどが直線でドカンと飛ばすだけだからこういうエンジン性能が重要になってくる。
一方、コーナリングはコーナリングでそれなり。プレステージ専用チューンという足まわりはもちろんスポーツカーやスポーツセダンには及ばないけど、驚くほど操舵感が自然でロールが少ない。ブレーキも圧倒的剛性感というほどではないけど、およそ2トンにもなる車重を十分に受け止めてくれる。なんせ今回は試乗会仕事で、富士山麓から伊豆スカイライン亀石峠のサイクルスポーツセンターまで、急いで行かなきゃいけなかった。峠も結構なスピードで飛ばせるのよ。
燃費も思ったより悪くない。GW中、高速や峠や街中をなんだかんだでトータル700kmも走ったわけだけど、総合燃費はほぼリッター7km。あの動力性能でこの燃費はなかなかだと思ったなぁ。
距離が近づいたせいで
それから走り味がいいとついでにスタイルまで良く見えてくるから人間って現金だ。というかこの手のビッグミニバンって、図体がデカいぶん、こういうハデ目のカオが似合うのかもしれない。デカいカオにおちょぼ口ってのはどうにもしまらないからね。
ってなわけで徐々に新型エリシオン容認派になってしまった俺だけど、ようするに人間ってのはつくづくワガママにできてんのよね。昔は嫌いだったお金持ちも一度知り合っちゃうと打ち解けたり、テレビで見てた時は苦々しく思ってたタレントも仕事で会ってみると「いい人だな」って感じたり。人もモノも結局は自分との距離が問題で、いったん近づいてしまうとイメージが変わったりする。
とはいえ俺が自発的にビッグミニバンを買うことはまずあり得ないし、相変わらず無駄な部分が多いクルマだとは思うけど、万が一買わざるを得なくなったらエリシオンにしちゃうかも? と思いました。ま、そのくらい相性が良かったんですよ。マジでね。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
第290回:商用バンで砂漠を行く親子が向かうのは天国か地獄か 『シラート』
2026.6.4読んでますカー、観てますカー失踪した娘を探して親子はモロッコの砂漠へ。砂漠で開催されていたレイブパーティーが最高潮に達した頃、軍隊がやってきて中止させられる。親子が乗るFFの商用バンは次のパーティー会場にたどり着けるのか……。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(前編)
2026.6.4あの多田哲哉の自動車放談ひさびさに日本市場に戻ってきた、ホンダを代表するSUV「CR-V」。最新世代の仕上がりを、トヨタの車両開発者だった多田哲哉さんはどう評価する? まずは、ワインディングロードを走らせた第一印象から。 -
NEW
第964回:フィアットグッズのコレクターから学ぶ人生訓
2026.6.4マッキナ あらモーダ!イタリア在住の大矢アキオが、トリノで著名なフィアットグッズのコレクターを取材。若き日の苦労を経て大成した人物が語る、人生で大切なものとは? フィアットやイタリアの歴史を物語る、貴重なコレクションの数々とともに紹介する。 -
NEW
気づけばすでに4モデル スバルのBEV戦略と水平対向エンジンの未来を考える
2026.6.4デイリーコラム「ソルテラ」に続き、「トレイルシーカー」「アンチャーテッド」「ゲッタウェイ」と、いつの間にか4モデルが顔をそろえたスバルのBEV。伝統的な水平対向エンジンやシンメトリカルAWDはこの先どうなるのか? スバルの未来戦略を探る。 -
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。