第3回:8月3日「ロシアに上陸」
2007.04.30 「ユーラシア電送日記」再録第3回:8月3日「ロシアに上陸」
『10年10万キロストーリー4』刊行記念!
1996年型「トヨタ・カルディナCZ」で、ロシアのウラジオストクに上陸。ポルトガルはロカ岬を目指す。自動車ジャーナリスト金子浩久が、インターネット経由で旅を報告!
桟橋にて
午前9時27分、RUS号はウラジオストク港に到着した。
雨と霧で、遠くからは港の様子がうかがえなかったが、岸壁に近付くにつれてよく見えてくる。出迎えの人たちは、みんなジャケットを着ている。寒そうだ。トラック以外、停まっているクルマは全部日本車。ちょっと前の「マークII」「クレスタ」「ビスタ」「カローラ」「コロナ」そして「カルディナ」も見える。
船に預けてあったパスポートを返却してもらい、出入り口の入国係官らしきロシアの役人に見せただけで船から下りる。桟橋を渡り、入国審査。英語で、簡単な問答だけ。見ていると、何も聞かれない人の方が多い。手荷物も、X線検査すら通さない。これじゃ、何でも持ち込み放題だ。衛星携帯電話を持ってくればよかった。
出発前に、東京の衛星携帯電話レンタル会社の人に、「今年に入って、ロシア政府はマフィア取り締まりを強化するために、モスクワで許可を取っていない衛星携帯電話は税関ですべて没収している」と聞いていたから、持っていくのを最後の最後でやめたのだ。あれは、飛行機での入国の場合の話だったのだろうか。
「プリモーリエホテル」へ向かう。港は、シベリア鉄道終点であるウラジオストク駅と隣接しており、交通の中心地となっている。プリモーリエホテルは、その近く。街を走るクルマの99.9%(?)は、やはり日本車。0.1%は、ロシア製大型4ドアセダンの「ボルガ」。モデルチェンジしていなので、程度のえらく違うクルマが走っている。
拡大
|
拡大
|
|
日本とのギャップ
日本車の内訳は、見た目で6、7割がトヨタ。残りが、三菱、日産、ホンダで、マツダやスバルは、ごく少数。トヨタでは、マークII三兄弟、ビスタ、コロナ、カローラなどの4ドアセダンと、大小の「ランドクルーザー」が多い。なかでも「ランクル100」がステイタスシンボルのようで、乗っているのは、羽振りと勢いのよさそうな人ばかり。
道行く若い女性の姿は意外と(失礼!)ファッショナブルで、スタイルのいい人が多い。でも、男性はちょっと違っていて、着ているのはトレーニングウェアの上下や放出品の軍服や軍パンツを野暮ったく着ている。
コンビニやスーパーもあるが、違うのは勝手に商品を手にとって選べないこと。閉架式図書館のように、棚に陳列している商品を指して店員に取ってもらわなければならない。時間がかかるし、ついつい遠慮してしまって、買うべきものを忘れてしまったりする。おまけに店員は無愛想な人が多いから、早く店を出たくなる。
僕には読めないキリル文字だからなのか、店やレストランを見付けにくい。派手な看板もなく、普通のビルの一角がスーパーだったりする。消費文化が超高度に進み、何でもすぐに手に入る東京から来ると、ギャップは大きい。いい悪いは別にして、ロシアはまだ完全に資本主義に移行したとは言えなさそうだ。
今日は日曜日なので、クルマの通関業務は休み。明日の月曜日に出直すことになる。わがカルディナは、ちゃんと保税倉庫から出てこられるのだろうか。
(文=金子浩久/写真=田丸瑞穂/2003年8月初出)

-
最終回:「エピローグ」(後編) 2007.7.29 トヨタ「カルディナ」でユーラシア横断を終えたジャーナリストの金子浩久。東京で旅行を振り返る。 海外での日本人職員の対応や、ロシアの現状について考える。
-
第41回:「エピローグ」(前編) 2007.7.28 トヨタ「カルディナ」で、ユーラシア横断を終えたジャーナリストの金子浩久。ようやく東京に戻り、長かった旅行を振り返る。前編では、参加メンバーのその後の様子を報告。
-
第39回:9月11日「ユーロトンネル」(前編) 2007.7.22 ウラジオストクからロカ岬まで。「トヨタ・カルディナ」で、ついにユーラシア横断を果たした金子浩久。カメラマンと別れ、友人の待つロンドンまでパリ経由で向かう。「ユーラシア電送日記」のエピローグをおくります。
-
第38回:9月4日「ロカ岬」 2007.7.21 2003年7月31日に富山県を出発した、「カルディナ」と自動車ジャーナリスト金子浩久の一行は、ついにポルトガルに到着。最終目的地の、ユーラシア大陸最西端「ロカ岬」へたどり着くが、カルディナのゴールはまだ先だった!?
-
NEW
市街地でハンズオフ運転が可能な市販車の登場まであと1年 日産の取り組みを再確認する
2026.1.15デイリーコラム日産自動車は2027年に発売する車両に、市街地でハンズフリー走行が行える次世代「ProPILOT(プロパイロット)」を搭載する。その発売まであと1年。革新的な新技術を搭載する市販車の登場は、われわれにどんなメリットをもたらすのか。あらためて考えてみた。 -
NEW
ホンダ・プレリュード(前編)
2026.1.15あの多田哲哉の自動車放談トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんが今回試乗するのは、24年ぶりに復活した「ホンダ・プレリュード」。話題のスペシャルティーカーを、クルマづくりのプロの視点で熱く語る。 -
NEW
第944回:こんな自動車生活は最後かもしれない ―ある修理工場で考えたこと―
2026.1.15マッキナ あらモーダ!いつもお世話になっている“街のクルマ屋さん”で、「シトロエン・メアリ」をさかなにクルマ談議に花が咲く。そんな生活を楽しめるのも、今が最後かもしれない。クルマを取り巻く環境の変化に感じた一抹の寂しさを、イタリア在住の大矢アキオが語る。 -
第857回:ドイツの自動車業界は大丈夫? エンジニア多田哲哉が、現地再訪で大いにショックを受けたこと
2026.1.14エディターから一言かつてトヨタの技術者としてさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さん。現役時代の思い出が詰まったドイツに再び足を運んでみると、そこには予想もしなかった変化が……。自動車先進国の今をリポートする。 -
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.14試乗記「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。 -
30年の取材歴で初めてのケースも 2025年の旧車イベントで出会った激レア車
2026.1.14デイリーコラム基本的に旧車イベントに展示されるのは希少なクルマばかりだが、取材を続けていると時折「これは!」という個体に遭遇する。30年超の取材歴を誇る沼田 亨が、2025年の後半に出会った特別なモデルを紹介する。

