ボルボXC90 3.2(4WD/6AT)【短評(前編)】
ボルボに 乗りに 函館に(前編) 2006.11.17 試乗記 ボルボXC90 3.2(4WD/6AT) ……685.0万円 ボルボXC90が小変更。とはいえ、ボルボとしては久々の新型エンジンを載せて登場したのだ。果たしてクルマの出来はどうなんだ?その魅力は一体ドコに?新開発のエンジンは直6!
ボルボの大型SUV「XC90」がマイナーチェンジを果たした。その最大のトピックはパワートレインの変更である。従来の2.5リッター直5ターボ、2.9リッター直6ツインターボから、新開発の3.2リッター直6(!)、4.4リッターV8へと変わったのだ。今回の試乗車は、その3.2リッターモデルで、新型直6エンジンをフロントに横置き搭載している。
ここ10年ほどかけて、各メーカーこぞって直列6気筒からV型6気筒への流れを構築してきたが、それはすべてのエンジンが縦置き搭載を前提としていたから。はなからこれをクラッシャブルゾーンを取るために横置きとし、充分なパワーを求めたボルボの考え方は、エポックメイキングというか、今さらどのメーカーも追従できない「コロンブスの卵」のように思えた。ちなみにこの新型直列6気筒は、前タイプの直列5気筒ターボと比べて全長で3ミリの拡大にとどまっているのだという。
ただし、XC90 3.2の魅力はその新型エンジンのスペックだけではない。流行りのジャーマンSUVたちがパワーウォーズを繰り広げる中、そこに加わらないスタンスこそが最大の特徴である。
穏やかな朝に似合うクルマ
冬になりきる前の朝。快晴に恵まれて繰り出した函館の町は道幅も広く、北海道の玄関口として洗練された雰囲気が感じられる。交通量は、平日の慌ただしさもそこそこに、観光客や個人商店のバンが行き来をする程度。東京とは違って、高いビルが少ない。気温はまだ10度ほどあり、肌寒さよりも少しだけ日差しが勝っている。
こういったすがすがしい朝に、XC90はとても似合っていた。見晴らしのよい着座位置と、明るいベージュの室内。荷物を無造作に放り込める広いリアスペース。それらの特徴すべてを包み込んだかのような、柔和なルックス。寝起きで覚め切らないアタマをまず熱めのコーヒーで起こし、疲れの残ったカラダをふんわりした座り心地のプレミアムソフトレザーシート(オプション)に埋めてみれば、ちょっとだけ自分に贅沢な朝から一日がスタートできる……。もしXC90を手に入れたら、そんな生活が自分を待っているような気がした。
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必要にして充分
CM撮影スポットとしても有名な、チャーミー坂(正しくは、八幡坂)を登る。傾斜がそこそこきつくて、抜けの良い風景には確かに見覚えがある。思わず「手をつなぎたくなる♪」が相手もいないので、坂の頂上でスタッフを降ろし、撮影用にクルマをゆっくりと走らせた。
ここでまず感心したのは、アクセルを踏んでも急激には立ち上がらないトルク特性だ。
新型エンジンのスペックは、最高出力が238ps/6200rpm、最大トルクは32.6kgm/3200rpm。直列6気筒ゆえに滑らかに回転が上昇してゆくが、それに合わせてパワーがリニアについてくる。だから、2150kg(7人乗り)にもなる巨体でも、坂道をスムーズに走るのだ。
タウンスピードでの6段ギアトロニックATの変速は断続感もなく、後に高速走行をしてもその好印象は変わらなかった。シフトポジションは上から「P」「R」「N」「D」と並んでおり、Dレンジから左へ入れるとティップモード。シフトレバー自体が小ぶりで、インジケーターが段数を誇示しないシンプルさも素敵だ。
一番気になるであろう4.4リッターV8ユニット(315ps/44.9kgm)に対する落差は、直接比較しない限りは問題ではない。必要にして充分なパワーにこれで満足、と感ずる人は少なくないはずだ。 (後編につづく)
(文=山田弘樹/写真=高橋信宏/2006年11月)
・ボルボXC90 3.2(4WD/6AT)(後編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018827.html

山田 弘樹
ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦経験をもつ、実践派のモータージャーナリスト。動力性能や運動性能、およびそれに関連するメカニズムの批評を得意とする。愛車は1995年式「ポルシェ911カレラ」と1986年式の「トヨタ・スプリンター トレノ」(AE86)。
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