日産プリメーラvsアルファロメオ156/プジョー406セダン【ライバル車はコレ】
日産プリメーラの「ライバル車はコレ」 2001.03.22 試乗記日産プリメーラ(2リッター=204.9から226.0万円)
2リッターと2.5リッターモデルをラインナップする新型プリメーラは、そもそも「ヨーロッパのマーケットで過半数の台数を販売しよう」と開発されたモデル。セダンとワゴンがあり、特に前者の「ちょっと奇抜なスタイリング」を見ると、ぼくにはライバル車を日本車のなかから探すことは難しいように思える。そこで、今回は、プリメーラの2リッターモデルに相当する欧州車を選んでみた。
|
【ライバル車 その1】アルファロメオ156(2リッター=359.0から381.0万円)
■フィーリングのアルファ156
まずリストアップしたのがアルファロメオ156の2リッターモデル。価格はプリメーラよりひとまわり高いが、「スポーティな走り」と「個性的なルックス」という点では、同様のポイントを売り物とする新型プリメーラにとって、好敵手といえる。
アルファ156のルックスは本当にスポーティだ。“柔らかいウェッジシェイプ”(!?)ともいえる前傾フォルムに、まるで「4ドアクーペ」と表現するのが適当な流麗なサイドシルエット……「走り」をイメージさせるカタチとしては、プリメーラより一枚上手だ。
一方のプリメーラは「新しさ」が勝負。誰にも似ていないプロポーションという点では、この項目でかなりの高得点をあげるアルファ156さえ上まわる。
絶対的な加速性能は、プリメーラに軍配が上がる。が、フィーリングの面でよりスポーティなのは156だ。
両者の大きな違いはトランスミッションで、CVTのみしか用意されないプリメーラに対し、156は、アクセルワークをよりダイレクトに加減速に反映させるマニュアルトランスミッションが基本。2ペダルの「セレスピード」も、基本メカは5段MT。法的には「AT免許」で運転OKであっても、実際にはMTを使いこなせるドライビングスキルがないと、その恩恵を十分に受けるのは難しい。フットワークの軽快さもアルファが上。新型プリメーラの走りは、アルファよりグっと重厚という印象を受けるのだ。
|
【ライバル車 その2】プジョー406(2リッター=299.5万円)
"■プリメーラのベンチマーク
新型プリメーラの走りのターゲットは、プジョー「407」だったという。406が現役バリバリの現在、407はもちろん架空のモデルに過ぎない。が、日産の技術陣が406をベンチマークのひとつとしながら、「それを超えるクルマ」として、後継車としていずれ登場する407を目標としたというのは、大いに理解できる。
というわけで、ここでは現存するモデルであるプジョー406を、新型プリメーラのコンペティターとして引っ張り出してみよう。
406の走りの美点のひとつは、サスペンションのストローク感の豊かさ。日本の環境と比べれば絶対的な平均速度が高いヨーロッパ生まれのためか、微低速域でのしなやかさという点では、実は大したことない。ところが、速度が増すにしたがって406のフットワークは、“猫足”というのがいかにもふさわしいしなやかさを感じさせるようになる。4輪の接地感は極めて高く、直進性も優秀。真剣に「走らせてみる」とやはり凄い……これが406のフットワークテイストなのだ。
新型プリメーラのフットワークには、確かにこうしたプジョー406に近い雰囲気がある。スピードが落ちても硬さを感じさせないという点では、406を凌いだ部分もあると認めたい。
一方で、こうした「しなやかさ」が前面に出てくる乗り味は、先代、そして初代のプリメーラとはあまりにも違うもの。恐らく、かつてのプリメーラユーザーが新型に乗ったとしたら、「ドイツ車ばりのあのしっかり感が無くなってしまった」と感じるのではないだろうか?
新型プリメーラはもはやプリメーラではない。語弊があるかも知れないが、ぼくにはそのように感じられる。
(文=河村康彦/2001年3月)"

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
NEW
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
NEW
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RS
2025.12.4画像・写真およそ3年ぶりに、日本でも通常販売されることとなった「ホンダCR-V」。6代目となる新型は、より上質かつ堂々としたアッパーミドルクラスのSUVに進化を遂げていた。世界累計販売1500万台を誇る超人気モデルの姿を、写真で紹介する。 -
アウディがF1マシンのカラーリングを初披露 F1参戦の狙いと戦略を探る
2025.12.4デイリーコラム「2030年のタイトル争い」を目標とするアウディが、2026年シーズンを戦うF1マシンのカラーリングを公開した。これまでに発表されたチーム体制やドライバーからその戦力を分析しつつ、あらためてアウディがF1参戦を決めた理由や背景を考えてみた。






























