ルノー・メガーヌツーリングワゴン 2.0グラスルーフ プレミアム(4AT)【試乗記】
いい意味で気軽 2005.05.07 試乗記 ルノー・メガーヌツーリングワゴン 2.0グラスルーフ プレミアム(4AT) ……325万5000円 “退屈へのレジスタンス”を標榜するルノーが、メガーヌツーリングワゴンにグラスルーフ搭載モデルを追加。上級「プレミアム」に乗った自動車ジャーナリストの島下泰久は風に吹かれて……。 拡大 |
拡大 |
拡大 |
ドライバーにも“空”がある
ここに来てようやく、販売状況が実力に見合ったものとなりつつあるルノー。稼ぎ頭である好調「メガーヌ」に新たに設定されたのは、ツーリングワゴンのグラスルーフ仕様である。
メガーヌのグラスルーフと言えば、2005年1月には「グラスルーフカブリオレ」も登場したが、このツーリングワゴングラスルーフも、ガラスにはそれと同じサンゴバン社の「ビーナス40」を用いている。これは赤外線を78%、紫外線を95%カットするだけでなく、強度が非常に高く、それゆえ薄く軽量にできるのが特徴である。
まるでルーフ一面がガラスとなったような外観から想像できる通り、前後2分割されたグラスルーフの面積は相当に大きく、室内はとても開放的な雰囲気だ。嬉しいのは、後席からはもちろん運転席に居ても、その恩恵を十分に得られること。最近では日本車でもガラス製ルーフを装備したモデルが増えているが、そのほとんどが前席の頭の真上あたりからガラス部分が始まるため、走行中には空を意識することができない。しかしメガーヌの場合は、もっとルーフの前端寄りからガラスとなるため、運転しながらでも視界の隅に空を意識することができるのだ。一方、陽射しが強いときのために、巻き取り式のサンシェードもしっかり用意されている。
さらに、やはり日本車のガラス製サンルーフに多い固定式ではなく、前側部分のチルト機構がついているのも美点と言える。せっかく手の届きそうなところに空があれば、ときには風も導き入れたくなるというもの。開けて走ればますます爽快だ。
開放感と引き換えに……
ただし、この圧倒的な開放感と引き換えに、ボディの剛性感は若干落ちている感がある。剛性というより剛性感というレベルのものだが、ちょっと大きな段差を越えるなど、大入力時のボディの受けとめ方や、走行中の諸々の騒音や振動のレベルが、クローズドルーフのツーリングワゴンに較べて、ちょっと安っぽいかなぁという気がするのだ。とは言いつつ、オープンカーなどでもそうであるように、無類の開放感に浸っていると、そんなのは些細なことに思えるのも事実なのだが。
それを除けば、走りっぷりはクローズドルーフのモデルとほとんど変わらない。ハッチバックよりホイールベースが60mm伸ばされたツーリングワゴンは、直進安定性はより高く、ピッチング方向の落ち着きもさらに増して、なるほど“ツーリング”ワゴンと名乗るだけの乗り味を得ている。それでいてステアリングのキレの良さや、当たりが柔らかな乗り心地はそのままだ。実用域のトルクがしっかり確保された2リッターエンジンと、フランス車らしい歯切れ良さを失わない範囲でシフトショックを低減させた4段ATの組み合わせも、とても扱いやすい。
驚異的なラゲッジスペース
近頃流行りのプレミアム感だとか質の高さといった評価軸で見たら大したことはないかもしれないが、いい意味で気軽に、気持ち良く使うことができるのは、日常生活の伴侶としてはとても好ましいことだ。せっかく通常時520リッター、最大で1600リッターという驚異的な容量のラゲッジスペースもあることだし、仕事にレジャーにガンガン使って、どんどん開放感を満喫するというのが、ふさわしい使い方だと言えるだろう。
ちなみにハッチバックに較べると一見地味と思えるリアまわりのスタイリングも、実はその面構成はとても凝っていて、見れば見るほど魅力的だ。もし興味を持って、実車を見てみようという気になった方は、ぜひその辺りにも注目してみていただければと思う。
(文=島下泰久/写真=峰昌宏、高橋信宏/2005年5月)

島下 泰久
モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD)【試乗記】 2026.5.28 前衛を身上とするフランスのラグジュアリーブランド、DSオートモビルから、新たなハイエンドモデル「DS N°8(ナンバーエイト)」が登場。当代屈指の性能を誇る電気自動車であり、かの地では大統領専用車にも選ばれる一台の、独創の魅力に触れた。
-
NEW
第290回:商用バンで砂漠を行く親子が向かうのは天国か地獄か 『シラート』
2026.6.4読んでますカー、観てますカー失踪した娘を探して親子はモロッコの砂漠へ。砂漠で開催されていたレイブパーティーが最高潮に達した頃、軍隊がやってきて中止させられる。親子が乗るFFの商用バンは次のパーティー会場にたどり着けるのか……。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(前編)
2026.6.4あの多田哲哉の自動車放談ひさびさに日本市場に戻ってきた、ホンダを代表するSUV「CR-V」。最新世代の仕上がりを、トヨタの車両開発者だった多田哲哉さんはどう評価する? まずは、ワインディングロードを走らせた第一印象から。 -
NEW
第964回:フィアットグッズのコレクターから学ぶ人生訓
2026.6.4マッキナ あらモーダ!イタリア在住の大矢アキオが、トリノで著名なフィアットグッズのコレクターを取材。若き日の苦労を経て大成した人物が語る、人生で大切なものとは? フィアットやイタリアの歴史を物語る、貴重なコレクションの数々とともに紹介する。 -
NEW
気づけばすでに4モデル スバルのBEV戦略と水平対向エンジンの未来を考える
2026.6.4デイリーコラム「ソルテラ」に続き、「トレイルシーカー」「アンチャーテッド」「ゲッタウェイ」と、いつの間にか4モデルが顔をそろえたスバルのBEV。伝統的な水平対向エンジンやシンメトリカルAWDはこの先どうなるのか? スバルの未来戦略を探る。 -
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。

























