第149回:済州島で「現代TUCSON」に乗ってわかった 迫りくる韓国メーカーの恐怖!
2004.07.23 小沢コージの勢いまかせ!第149回:済州島で「現代TUCSON」に乗ってわかった 迫りくる韓国メーカーの恐怖!
拡大 |
拡大 |
拡大 |
■ちと及ばない感じだけど……
韓国の沖縄、済州島に初めて行ってきました。といっても別に観光じゃなくてね。現代(ヒュンダイ)の新型コンパクトSUV「TUCSON」(ツーソン)の試乗で。
2004年9月に日本に入ってくるときは「JM」って名前になるらしいけど、要するに「ホンダCR-V」の韓国版ともいうべき5人乗りSUV。既に日本にも入ってる現代サンタフェのショート版みたいな位置付けだ。
簡単に言って安心した部分と、恐怖に思った部分がありましたね。まず安心したのは質感。インテリアとかはやっぱ今ひとつなのよ。一緒に乗った日本のジャーナリストも言ってたけど「日本の軽自動車レベル」。プラスティッキーさは、スズキかダイハツの「軽」ぐらいで、造形もやや大雑把。トヨタ、ホンダにはちと及ばない感じだ。ふぅ〜、なんとなくひと安心。
走りもね。かなり乗用車的で、ステアリングもシャープだけど、物凄くしっとりしてるとか、高級感があるわけじゃない。
■販売台数は7位
「なんだ、じゃべつに脅威じゃないじゃん!」なんていうなかれ。そんなことは全然ないのだ。
まずは現代って今、世界で何位だか知ってる? 02年の世界販売だと7位。年間300万台弱でホンダを抜いてるのよ。98年は130万台で12位だったんで、急速にキャッチアップしてきてる。
ポイントは価格の安さと、次から次へと新製品を投入してくる開発スピード。実はツーソン以降も、半年に1台のペースで新車を6台投入する予定だそうで、つまり、薄型TVで世界を制した朋友サムソン電子に似たパワーを持つ。製品クオリティじゃ、もう一歩の部分もあるけど、スピードとコスト競争力じゃ世界レベルなのよ。
聞けばそのヘンは、97年の韓国の貨幣危機で、会社の体質が変わったのが原因らしく、株主の声が経営方針により強く反映されるようになってんだって。逆にそのあたり、日本の自動車メーカーは弱い。会議に時間かけてるうちに戦略で追い越される! ってな具合。
品質自体もね。スタイルに関しては急速に良くなってる気がした。先輩格の「サンタフェ」はややボヨンと膨らみすぎた、いかにも韓国車風のしまらないデザインだったけど、ツーソンは全長を縮め、左右にシャープなプレスラインを入れて、かなりインターナショナルなテイストになってる。
■日本市場は“勉強”
中身に関しても2.7リッターV6 (173ps/6000rpm、24.6kgm/4000rpm)、2リッター直4(140ps/6000rpm、18.8kgm/4500rpm)のガソリン2種類と2リッター直4のディーゼル(112ps)1種類があるんだけど、実はディーゼルに一番力を入れてるようで、振動少なく、黒煙少なく、音小さめで、パワーもよく出てた。
明らかにヨーロッパ狙いで、方針としては正しいような気がしたなぁ。
価格も2リッターモデルで170万円ぐらいからと、明らかに日本車より20万円は安い。
それにね。実は日本市場は“勉強”と割り切ってて、極端なハナシ、あまり売れなくてもいいんだってさ。それよりネチネチ品質を問われることで実力を上げて行こうという方針。メインは当然、アメリカ市場。
で、実際、こういっちゃなんだけど、アメリカ人の感覚ならこれくらいの質感で十分だと思うんだよね。デザインも十分カッコいいし。
このカタチ、実用性で安くて信頼性が高いんなら、買う人も多いはず。向こうの人にとっちゃ、日本人だろうが韓国人だろうが、どっちも同じようにみえるんだろうし。
ってなわけで、韓国と日本メーカーの差は、俺たちが思ってるよりずーっと小さい。たしかに燃料電池、ハイブリッドじゃアドバンテージあるけど、ヘタするとすぐ追い越されるかもよ! すでに、中国市場を舞台とした、次なる大きなシェア争奪戦争も始まってるし。
女子プロゴルフで、いつの間にやらパク・セリやグレース・パクがトップレベルに来たように、いつ韓国メーカーがトップ争いに加わるともかぎらない……。
結構、恐怖を憶えた試乗会でありました。
(文と写真=小沢コージ/2004年7月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
スバル・ソルテラET-HS(前編)
2026.4.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバル&STIでクルマを鍛えてきた辰己英治さんが、“古巣”スバルの手になる電気自動車「ソルテラ」に試乗。パワートレインの電動化以外にも、さまざまな試みが取り入れられた一台を、ミスター・スバルはどう評価するのか? -
第57回:スズキはなぜインドに賭ける? 変わらず牛が闊歩するインドの最新工場を小沢コージが直撃
2026.4.18小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ小沢コージがインドへ。日本の自動車ファンにとってインドといえばスズキのイメージだが、実はスズキは現在、インドへの大型投資の真っ最中だ。なぜスズキはインドでこれほどまでに愛されるのか。最新工場を見学して考えた。 -
ボルボXC90ウルトラT8 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.18試乗記2016年に上陸した2代目となるボルボのフラッグシップSUV「XC90」の最新アップデートモデルに試乗。パワフルなプラグインハイブリッドシステムを採用する3列シートSUVの走りを、先にステアリングを握った「V60」や「XC60」との比較を交えながら報告する。 -
谷口信輝の新車試乗――ディフェンダー・オクタ編
2026.4.17webCG Moviesブーム真っ盛りのSUVのなかで、頂点に位置するモデルのひとつであろう「ディフェンダー・オクタ」。そのステアリングを握ったレーシングドライバー谷口信輝の評価は……? 動画でリポートします。 -
第866回:買った後にもクルマが進化! 「スバル・レヴォーグ」に用意された2つのアップグレードサービスを試す
2026.4.17エディターから一言スバルのアップグレードサービスで「レヴォーグ」の走りが変わる? 足まわりを強化する「ダイナミックモーションパッケージ」と、静粛性を高める「コンフォートクワイエットパッケージ」の効能を、試乗を通して確かめた。 -
ハーレーダビッドソン・パン アメリカ1250リミテッド(6MT)【レビュー】
2026.4.17試乗記アメリカの大地が鍛えたアドベンチャーモデル「ハーレーダビッドソン・パン アメリカ1250」に、充実装備の上級モデル「リミテッド」が登場! 試乗して感じられた、日欧のライバルに勝るとも劣らない魅力と、どうしても気になるポイントを報告する。