第146回:伸びてる会社にはワケがある!ガリバー羽鳥社長にお聞きした“究極の営業心構え”
2004.07.15 小沢コージの勢いまかせ!第146回:伸びてる会社にはワケがある!ガリバー羽鳥社長にお聞きした“究極の営業心構え”
![]() |
■相手を弟と思え
ガリバーの羽鳥兼市社長にお会いしてきました。そ、画期的中古車買い取り会社の創業社長で今や年商1000億円(!)企業のトップね。
2004 年5月に取材させていただいて、補足取材で再びお会いしたんだけど、一見、普通の“オジサン”なんです(怒りませんよね? 羽鳥社長)。トヨタの奥田碩会長とか、本田技研工業の福井威夫社長みたいな、威圧感やエリートっぽさはさらさらない。どちらかというと、トヨタの張富士夫社長のような人格者タイプ。いや、それよりもっと庶民派かもしれない。
だけどホント凄いのよ、まさに現代を生きる“ビジネス偉人”。いろいろ聞いたけど、インパクト強かったのが「仕事は死ぬ気でする」って事実。コレが“たとえ話”じゃないみたいなんだなぁ。レッカー会社経営時代、毎朝200km、事故を探して国道をパトロールしたとか、中古車販売会社時代、たった一人で一ヶ月50台クルマを売ったとか、とにかく信じられないバイタリティ。で、今日再び逸話を仕入れてしまいました。それは「相手を弟と思って営業する」こと。なんですか、ソレ?
![]() |
■器の大きさ
ガリバーを立ち上げ、全国にフランチャイズを募集していた時のことだ。当時、クルマ買い取り業はあまりいいイメージをもたれておらず、説明に行ったとある関西の企業では、社長は新規参入に乗り気だったが、実権を持っていた専務はまるで無関心。「そっぽ向いて他の資料を読んでいたり、まるで無視されてましたね」という状態。
一瞬、なんだこの人は! と思った羽鳥社長。「人を呼びつけといて! とあのまま怒って帰ってもよかったんでしょうけど……」と冷静に振り返った後、どうしたか教えてくれた。
「弟だと思うことにしたんですよ。それも福島の田舎から一人で関西に出てきて、見知らぬ土地で苦労している弟。妻や子供も養わなきゃいけないし、それにもめげずにがんばってる。それでこんなにもガンコになってしまったんだと。そう思ったらもうかわいそうで不憫で、目つきから変わりましたよ。「『ねぇ、専務、ここまではわかりましたよね!』という感じで(笑)」
その後そのガンコ専務はどうなったか。
「5分で態度が変わりましたね。こちらを向いて、だんだんこちらに引き込まれて結局、1社で11店舗契約をいただきました」
うーむ、スゴイ。はっきり言ってスゴイ。そういう風に考えるとは。
俺の仕事でも似たようなケースはあり、正直、ヤな編集者というのは多い。
特に俺がフリーなりたての頃、全然年下なのにいきなりタメ口だったり、むやみわけなくエラそうに、エバってる奴がいた。
そういう場合、俺は「オマエと仕事してるんじゃない。○×館と仕事してるんだ」と思うようにはしていたけど、まさか「見知らぬ土地で苦労している実弟」と考えるとは。
できそうで、できないことですよ。こりゃ。それなりにこちらにも意地がありますから。
改めて羽鳥社長の器の大きさを知った次第。伸びてる会社にはワケがある。
まったくもってそういうことだよね。
(文と写真=小沢コージ/2004年7月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
なぜ給油口の位置は統一されていないのか?
2025.10.14あの多田哲哉のクルマQ&Aクルマの給油口の位置は、車種によって車体の左側だったり右側だったりする。なぜ向きや場所が統一されていないのか、それで設計上は問題ないのか? トヨタでさまざまなクルマの開発にたずさわってきた多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】
2025.10.14試乗記2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。 -
ただいま鋭意開発中!? 次期「ダイハツ・コペン」を予想する
2025.10.13デイリーコラムダイハツが軽スポーツカー「コペン」の生産終了を宣言。しかしその一方で、新たなコペンの開発にも取り組んでいるという。実現した際には、どんなクルマになるだろうか? 同モデルに詳しい工藤貴宏は、こう考える。 -
BMW R1300GS(6MT)/F900GS(6MT)【試乗記】
2025.10.13試乗記BMWが擁するビッグオフローダー「R1300GS」と「F900GS」に、本領であるオフロードコースで試乗。豪快なジャンプを繰り返し、テールスライドで土ぼこりを巻き上げ、大型アドベンチャーバイクのパイオニアである、BMWの本気に感じ入った。 -
マツダ・ロードスターS(後編)
2025.10.12ミスター・スバル 辰己英治の目利き長年にわたりスバル車の走りを鍛えてきた辰己英治氏。彼が今回試乗するのが、最新型の「マツダ・ロードスター」だ。初代「NA型」に触れて感動し、最新モデルの試乗も楽しみにしていたという辰己氏の、ND型に対する評価はどのようなものとなったのか? -
MINIジョンクーパーワークス(FF/7AT)【試乗記】
2025.10.11試乗記新世代MINIにもトップパフォーマンスモデルの「ジョンクーパーワークス(JCW)」が続々と登場しているが、この3ドアモデルこそが王道中の王道。「THE JCW」である。箱根のワインディングロードに持ち込み、心地よい汗をかいてみた。