フォルクスワーゲン・ゴルフE/GTレザーパッケージ【試乗記(後編)】
ゴルフ革命(後編) 2004.06.09 試乗記 フォルクスワーゲン・ゴルフE/GTレザーパッケージ ……265万1250円/364万8750円 内外とも一新された「フォルクスワーゲン・ゴルフ」。ベーシックな「E」と、豪華な「GTレザーパッケージ」に、別冊CG編集室の道田宣和が乗った。オススメのモデルとは……? 拡大 |
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オススメ度ナンバーワンのE
全長×全幅×全高でそれぞれ50×25×30mmも大型化し、車重もいまや1320kgに達する「ゴルフE」に、たった116psの1.6リッターではさぞかし辛かろうと事前には予想されたが、嬉しいことにそれがまったくの杞憂にすぎないことは、ものの数mも走らないうちに判明した。スタートはスッと瞬間的に出て、非力な重量車につきものの「かったるさ」がまるでなく、中低速トルクが充分でその後の加速も思いのほか軽快なのだ。ティプトロニック(シーケンシャル)モード付きのアイシン製6ATは見ているうちにサササッと自動的にシフトアップ。多段化したからといって自身それをもて余している気配はなく、いかにもスムーズで洗練された印象がする。
エンジンはそれでいてトップエンドも大得意だ。FSIは負荷と回転数に応じて3つの燃焼モードを使い分ける複雑さだが、肝腎の回転そのものはまったくのストレスフリーと言ってよく、自動(DとS)でも手動でも、踏めばどちらも6500rpmのリミットまできれいに吹け上がる。ヒルクライム・セクションでも存分に楽しめたのは望外の収穫と言えた。かつてゴルフII/IIIの時代にライバルのトヨタから「オト・シン(音と振動)の塊」と揶揄されたエンジンも、いまでは見違えるような静かさで、剛性が一段と増し、巌のようになったボディと相まって、室内は平和で快適そのものである。
乗り味がプレミアム
続いてはトップモデルの「GTレザーパッケージ」。インテリアは“エモーショナルなデザイン”をもってしても依然、目にした途端に思わず「あッ、ゴルフだ!」と叫びたくなる実直さだが、樹脂類をはじめとする素材のクォリティは間違いなく上がっており、加えてテスト車のような豪華装備に囲まれてみると高級感はひとしおだ。このモデルに標準のレザーシートはランバーを含めたすべての調節がパワー作動で、なおかつヒーター付き。同じくGT以上に標準のフルオートエアコンは、左右席を個別に調節できるデュアルタイプとなっている。
テスト車にはさらに、DVDナビゲーション+MDプレイヤー+AM/FM/TVチューナーを内容とするマルチメディアステーションと電動ガラスサンルーフが、それぞれ24万6750円、11万5500円高のオプションで付いていた。
EとGTレザーパッケージの、オプションなしで88万2000円の価格差はプラス34psとなるエンジンのパワーやその他もろもろの違いまで考慮するとむしろ割安なくらいだが、それでも筆者にはEの方がより魅力的に映る。理由は1.6リッターで充分なことのほかに、乗り心地とハンドリングのそれをはじめとするあらゆる意味でのバランスが、微妙なところでよりよく感じられるからだ。
たとえば同じミシュランのエナジーを履いていてもGT系はサイズが大きく、コーナリングパワーそのものには余裕があって、そのぶんアンダーが軽かったり、スキール音がすくなかったりはする。だが、それよりもEには初代ゴルフを彷彿とさせる、あの軽快さがあるのだ。
全車共通の電動パワーステアリングは極上のスムーズさと自然なフィールを持つ秀逸なできで、それを操りながらのコーナリングは“ファン“そのもの。Eならスロットルの戻し方ひとつでより明確なタックインを誘うことができ、それでいて圧倒的にサスペンションがパワーに勝っているから、たとえ何をやっても安全な方向に収束してくれそうな、ヨーロッパ車ならではの信頼感に満ちている。
サスペンションはストロークが長く、ソフトめのEでももはやハードコーナーリング時の“3輪車”は演じそうにない。したがって、乗り心地はダンパーの効きがはるかによくなったこともあって、どのモデルも素晴らしいの一言。強いて言えば、GT系は低速でやや硬い。室内は前席も後席も、そしてトランクも、かつてない広さだ。特に横方向のゆとりが顕著で、ドアが遠くなったように感じられた。
(文=道田宣和(別冊CG編集室)/写真=峰昌宏/2004年6月)

道田 宣和
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