プジョー307【試乗記】
307とゴルフのガチンコ対決 2003.01.08 試乗記 プジョー307 001年3月のジュネーブショーで発表されたプジョーの新型ハッチバック「307」。「306」からの成長ぶりはどのようなものか、南フランスのワインディングロードで、清水和夫がライバル、フォルクスワーゲン・ゴルフと対決させた! 会員コンテンツ「Contributions」より再録。ドイツ車との差別化
南フランスのワインディングロードは難攻不落。中途半端なダイナミクスのクルマでは走り屋さんを満足させられない。狭くガードレールもないようなカーブが続く道をハイペースで走るのがフランス流。ドアミラー同士が時たま当たることもある。だからフランス車は、まずステアリングの正確性を優先した操縦性が重視される。一方、ゴルフなどのドイツ車は、200km/hを超える速度で走れるアウトバーンがある。曲がりは少なく、ゆるやかだ。当然、クルマの運動性能は「操縦性」よりも「安定性」が優先される。
「操縦性か安定性か」。ここにドイツとフランスの違いがある。
さらにフランスのカントリー路はうねった路面が特徴だ。ドイツにこんな路面はめったにない。だからフランスのクルマは、サスペンションのストロークがたっぷりと与えられ、そのうえダンピングがよくないといけない。
「操縦性と乗り心地のバランス」という点でドイツ車と差別化できるのも、こんな厳しい条件下で鍛えられてきからこそ。プジョーの魅力もそこにある。
アッパーミドル並に快適
プジョーのニューモデル、「307」のダイナミクスは、かなり大人っぽく成長した。ステアリングの手応えは非常になめらかでしっかりしたもの。ステアリングホイールに伝わる振動はかなり改善された。ライバルのゴルフよりもハンドリングはシャープで、ボディの大きさを感じさせない。しかもアルファほどスパルタンではなく、そこそこクルマが好きな人を十分に満足させることができるだろう。ちょうどアルファとゴルフを足して2で割ったようなポジションにいる。それでも市街地や高速巡航もなかなか快適で安心感が高い。そうしたプジョーのダイナミクスには賛成できる。
搭載される2リッター直4DOHC(137ps/6000rpm、19.4kgm/4100rpm)は、ATとMTで性格がガラリとかわる。このエンジンは平均以上のトルクを出しており、MTとの組み合わせではなんの問題もない。5000rpmくらいから少し音がこもる感じがするが、レッドゾーンまですっきりと回ってくれる。
問題なのはATだ。ギア比が高く、登坂路では加速感に不満が残った。オートマチックトランスミッションはもともとフレンチメーカーの不得意項目なので、目をつむるしかなさそうだ。
動力性能的にはMTがお奨めだが、右ハンドルのMTではクラッチペダルが左側によりすぎていて、左足の置き場に困ってしまう。これは商品性を大きく下げる。プジョー車の右ハンドルのつくり方は気になることが多い。ブレーキのマスターシリンダーとボンネットのオープナーも左ハンドル用だ。もっとも、ブレーキのタッチはまったく問題ないから安心していいだろう。
走りが全体的に洗練されたことは嬉しい変化だ。いままでのプジョーにはどうしても乗り心地の荒さがあったのだが、今度の307はアッパーミドルなみの快適性が与えられた。結論として、魅力的なモデルであることは疑いの余地がない。ただ、ATでワインディングの走りを期待する人は、ギアのミスマッチが改善されるまで我慢した方がよさそうだ。
(文=清水和夫/写真=プジョージャポン、フォルクスワーゲンジャパン/2001年11月30日)

清水 和夫
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