日産ブルーバードシルフィ1.8Vi Gパッケージ(4AT)【ブリーフテスト】
日産ブルーバードシルフィ18Vi Gパッケージ(4AT) 2000.09.13 試乗記 ……197.5万円 総合評価……★★★風とともに去りぬ?
かつての花形、1.5?2リッター級セダンの月間販売台数は、1990年からの10年間で14万台から4万台に急降下。もう3分の1以下なのである。3ボックス、先細りの絶滅種?
……といったカテゴリーに、ゴーン社長肝入り第1号が投入されたのは、廃れたとはいえ、ハゲしく離れたのは30代までで、40〜50代のユーザー間では堅調に売れているから。マーケティング下手の日産でも狙いやすい。
キーワードは、「上質」と「環境」。そこで、うてば「守旧派」と応えるオーソドクスなスタイルに、たたけば「伝統」とホコリの出る木目調パネル多用のインテリア。
量販グレードに1.8リッター「スーパーウルトラロウエミッション」ユニットをもってくる大胆さと、コンベンショナルな4ATの組み合わせ。「居住性」と「走り」もそつなくまとめ、バランスのいいセダンに仕上がった。衰えたとはいえ、ナンバー2の底力。
けれども、シルフィが、ユーザーとともに老いていければいいけれど。風とともに舞台を去ってしまわなければいいけれど。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
サニーのプラットフォームに、「ラウンドルーフフォルム」と呼ばれる柔らかいルーフラインのボディを載せた4ドアセダン。「細部にわたって上質」をキャチフレーズに、40?50代の「こだわり派」団塊世代を狙う。2000年8月30日デビュー。1.5、1.8、2リッター、3種類のエンジンに、順に、CVT、4AT、5MTか4ATのトランスミッションが組み合わされる。1.8リッターに4WDあり。シルフィのサブネームは、風の精シルフィードから。
(グレード概要)
18Vi Gパッケージは、北米版サニーたるセントラCAに使われるスーパーウルトラロウエミッション(SULEV)エンジンを搭載。HC(炭化水素)排出量がハイブリッドカー、トヨタ・プリウスの半分というのがジマン。Gパッケージは、「18Vi」に、本革巻きステアリングホイール、同シフトノブ、オートエアコン、運転席バニティミラーなどを追加したモデル。なお、CDプレーヤーは、全車に標準装備する。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
「カフェラテ」と呼ばれる明るい色調の室内。グレー、タンといった樹脂類の質感は悪くない。そのため、木目調パネルにとってつけた感がない。ほどほど上品にまとめられた。
(前席)……★★★★
柔らかくしっかりしたファインジャガード織りがシート地に使われる。縫い目は「玉ぶち」で丁寧に縁取りされる。あたりがソフトで、座り心地のよいシート。座面の調整幅も広く、サイズも適当だ。
(後席)……★★
「子供が手を離れた夫婦」を想定ユーザーとするため、後席は重視されない。短い座面、寝気味のバックレストで、膝前と頭上空間を稼ぐが、それでも大人用としてはギリギリ。ボディ後半のスペースを、リアシートより荷室に振り分けられたカタチだ。
(荷室)……★★★
床面最大幅135cm、奥行き95cm、高さ55cmと、ふたりの小旅行には充分なラゲッジスペース。さすが「季節毎に旅行に出かけ、自然を満喫している」50代の夫婦をオーナー像に据えるだけはある。現実的には、9インチのゴルフバッグとスポーツバッグを4セット収納することが可能だという。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
「オッ」と思わせる出足のよさ。しかし、以後はまるでニブい反応。2500rpmから3000rpmでウナリ声が高まるが、普通に走っていれば、2500rpm付近でシフトアップするので、気にはならない。可もなく不可もないパワートレインだが、環境エンジンゆえの我慢を強いられない点が、むしろ感心、感心。
(乗り心地とハンドリング)……★★★★
ソフトな足だが、路面状況はキチンと伝える。ハーシュの遮断もうまい。アシストの強い、軽く安楽な操舵感と、しっかりした足まわりの組み合わせが、個人的には不思議な感じ。「曲がり」で鞭を入れても、だらしなく外に膨らまないところは、さすが「走りの日産」。
(写真=五條伴好)
【テストデータ】
報告者:web CG 青木禎之
テスト日:2000年9月13日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:1304km
タイヤ:(前)185/65R15 88S/(後)同じ(いずれもブリヂストンB391)
オプション装備:15インチアルミホイール(6.0万円)、サイドエアバッグ+アクティブヘッドレスト(5.1万円)
テスト形態:ロードインプレッション(プレス向け試乗会)
走行状態:市街地(8)山岳路(2)
走行距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--
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青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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