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【スペック】インプレッサスポーツ2.0i:全長×全幅×全高=4415×1740×1465mm/ホイールベース=2645mm/車重=1340kg/駆動方式=4WD/2リッター水平対向4DOHC16バルブ(150ps/6200rpm、20.0kgm/4200rpm)/価格=208万9500円(テスト車=256万7250円/キーレスアクセス&プッシュスタート+オーディオ一体型HDDナビゲーションシステム+HIDロービームランプ+クリアビューパック+UVカット機能付きプライバシーガラス=47万7750円)

スバル・インプレッサスポーツ2.0i(4WD/CVT)/インプレッサG4 1.6i-L(FF/CVT)【試乗記】

しっかりインプレッサ味 2011.12.20 試乗記 下野 康史 スバル・インプレッサスポーツ2.0i(4WD/CVT)/インプレッサG4 1.6i-L(FF/CVT)
……256万7250円/218万9250円

フルモデルチェンジで4代目へと生まれ変わった「スバル・インプレッサ」。その走りや乗り心地を、ハッチバックとセダンの両モデルで試した。
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かろやかでさわやか

「スバルは国産車界のマックだ」と以前からそう思っていたら、今度の「インプレッサ」、セダンは“G4”を名乗る。“genuine”の頭文字で、「本物の4ドアセダン」の意だそうだ。5ドアハッチバックは新たに“スポーツ”と呼ばれる。国内販売の主流はこれまでどおり5ドアだろうが、4ドアを最初からそろえて、セダンにも重きを置いたというのが新型インプレッサである。

エンジンは、インプレッサ初搭載の新世代ボクサー、FB型。1.5リッターに代わる1.6リッターエンジンはこれがスバル初披露。「フォレスター」に搭載済みの2リッターにも改良が加えられ、1.6リッター同様、新たにCVT(リニアトロニック)が組み合わされる。

横浜みなとみらいで開かれた試乗会で、まず最初に乗ったのは、FFの「G4 1.6i-L」。2リッターには全着のアイドリングストップ機構を備える、シリーズきっての低燃費モデルである。
走りだしていきなり好印象だったのは“かるさ”だ。燃費スペシャルとは思えないほど、発進がかろやか。トルクでグイッといくのではなく、全体の軽さでスイッと出る。パンチはないが、さわやかだ。“軽量ボクサー”という感じ。
「かなりいいよ、これ」と、カメラカーに乗る編集部Sさんに思わずトランシーバーで報告する。ノーズも軽い。低重心な感じもある。あとでエンジニアに聞いたら、今後も併売される「WRX STI」より今度のインプレッサのほうが実際、重心が低いそうだ。アクセル開度をパーセンタイルで教えるなど、趣向を凝らしたデジタル表示盤の平均燃費は13km/リッター近くを示していたから、燃費もよさそうだ。

先代モデルでは2007年6月にハッチバックが、翌2008年10月にセダンが発売された「スバル・インプレッサ」。4代目となる新型では、両モデルがそろって国内デビューを迎えた。
先代モデルでは2007年6月にハッチバックが、翌2008年10月にセダンが発売された「スバル・インプレッサ」。4代目となる新型では、両モデルがそろって国内デビューを迎えた。 拡大
インテリアの広さと質感向上は、新型の開発テーマのひとつ。前席の周りは水平基調のデザインとされ、ダッシュボードなどにはソフトな素材が用いられる。
インテリアの広さと質感向上は、新型の開発テーマのひとつ。前席の周りは水平基調のデザインとされ、ダッシュボードなどにはソフトな素材が用いられる。 拡大
センターコンソールの最上部にはマルチファンクションディスプレーが備わり(エントリーグレードの「1.6i」除く)、燃費のほか、アクセル開度や外気温、平均車速、VDCの作動状況などの情報が表示される。
(写真をクリックすると、画面表示の切り替えアニメーションが見られます)
センターコンソールの最上部にはマルチファンクションディスプレーが備わり(エントリーグレードの「1.6i」除く)、燃費のほか、アクセル開度や外気温、平均車速、VDCの作動状況などの情報が表示される。
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余裕の乗り心地に感心

5ドアのスポーツは、2リッターで試す。4WDの2.0iだ。フォレスターに初めて載ったときも思ったが、2リッターのFB型はいいエンジンである。非常に回転が軽い。
かといって、モーターのような無機質の滑らかさではなく、5000rpm以上では“カムに乗った”ような楽しさと“回しがい“がある。かつての“ボロボロ音”はとうに消えたが、しかし直列4気筒とはやはり違うパラパラという2ビートを細かくしたような独特の鼓動が、注意深く観察すればわかる。1.6リッターとともにロングストロークなのが新世代FB型の特徴だが、よりパワフルなことと合わせて、エンジンのおもしろさは2リッターに軍配が上がる。

もうひとつ、新型インプレッサで感心したのは、乗り心地のよさだ。水平対向エンジンはフロントサスペンションのアーム長を長くとれる、という話を以前聞いたことがある。今回、その点については確認しなかったが、テンロクも2リッターも、街なかの小入力走行でもサスペンションストロークの長さを感じさせた。「50円、100円しか使ってないけど、フトコロには1万円札がある」、みたいな豊かな乗り心地だ。

サスペンションをスポーツ仕立てにした17インチの「2.0i-S」にも短時間だけ乗ったが、やさしい乗り心地がズデンとした硬さに変わってしまって、感心しなかった。こっちの極端はWRX STI系があるのだから、インプレッサはフツーがいいんじゃないだろうか。

ちなみにエンジンのぜい肉を絞りに絞ったこの2リッター水平対向に単純にターボをインストールするのはむずかしく、「とりあえず考えていない」とは、この日会ったエンジン開発者の弁である。

 
スバル・インプレッサスポーツ2.0i(4WD/CVT)/インプレッサG4 1.6i-L(FF/CVT)【試乗記】の画像 拡大
エンジンは、2リッター(写真)と1.6リッターの水平対向4気筒。外観上の違いといえば、インテークマニフォールドの太さ程度だ。
エンジンは、2リッター(写真)と1.6リッターの水平対向4気筒。外観上の違いといえば、インテークマニフォールドの太さ程度だ。 拡大
ハッチバックモデル「インプレッサスポーツ」。トランクが無いぶん、全長はセダンより165mm短くなる。
ハッチバックモデル「インプレッサスポーツ」。トランクが無いぶん、全長はセダンより165mm短くなる。 拡大
スペアタイヤを廃し、高さを稼いだという「インプレッサスポーツ」の荷室。リアシートを倒して容量を拡大できる。
(写真をクリックすると、シートの倒れるさまが見られます)
スペアタイヤを廃し、高さを稼いだという「インプレッサスポーツ」の荷室。リアシートを倒して容量を拡大できる。
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スバルの主張は、そこかしこに

旧型の売れ筋は、FFの5ドアの1.5リッターだった。実勢的にそういうクルマを、今度はより使いやすく、しかもプレミアムに仕立てたというのが新シリーズの売りだ。

ボディー全長は変わっていないが、フロントピラーの付け根を20cm前に出して、キャビンを広くとった。レッグルームを約5cm拡大した後席足もとは、たしかに広い。ダッシュボードにはチタンカラーの化粧プレートが入る。
でも、そういうことより、一番うれしかったのは、インプレッサを選ぶ“らしさ”が確実に存在していることだ。水平対向エンジンの表情や、乗り心地のよさや、運転フィールの軽快さといったところがそれだ。リアフェンダーエンド部のカタチを見たときは、「プリウスじゃん」と思って実は心配したが、ハンドルを握れば、ちゃんとスバルだった。

トヨタ車のOEMを除くと、スバルにアイドリングストップ機構が付くのはこれが初めてである。“甘い一旦停止”のような、行くか行くまいかの状況でもリスタートがもたつかないこのシステムも、トヨタの技術には頼らず、完全に独自開発したものだという。トヨタの下請けではなく、フォルクスワーゲンに対するアウディのような存在になれば、スバリストはスバルを決して見捨てないはずだ。

インプレッサは北米需要が5割以上を占める。日本での商いは2割そこそこだという。“北米頼み”のクルマであることは「レガシィ」と同じだが、カタチやサイズやテイストを現行レガシィほどアメリカ大陸好みに変えなかったことも好印象である。

(文=下野康史/写真=峰昌宏)

新型「インプレッサ」では、ステレオカメラを使った運転支援システム「EyeSight」(写真)を搭載するグレードも選べる。
新型「インプレッサ」では、ステレオカメラを使った運転支援システム「EyeSight」(写真)を搭載するグレードも選べる。 拡大
室内全体の空間は、20mm長く、15mm幅広くなった。中でも、後席の居住性向上は自慢だ。
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【スペック】インプレッサG4 1.6i-L:全長×全幅×全高=4580×1740×1465mm/ホイールベース=2645mm/車重=1260kg/駆動方式=FF/1.6リッター水平対向4DOHC16バルブ(115ps/5600rpm、15.1kgm/4000rpm)/価格=171万1500円(テスト車=218万9250円/キーレスアクセス&プッシュスタート+オーディオ一体型HDDナビゲーションシステム+HIDロービームランプ+クリアビューパック+本革巻きステアリングホイール=47万7750円)
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下野 康史

下野 康史

自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。

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