ホンダ・オデッセイ ハイブリッド アブソルート Honda SENSING EXパッケージ(FF)/オデッセイ ハイブリッド(FF)
待望のハイブリッド 2016.03.02 試乗記 「ホンダ・オデッセイ」に、最高で26.0km/リッター(JC08モード)という燃費を実現したハイブリッドモデルが登場。エントリーグレードの「ハイブリッド」と上級グレードの「ハイブリッド アブソルート Honda SENSING EXパッケージ」に試乗し、その実力を確かめた。パワーユニットは「アコード」ゆずり
オデッセイにハイブリッドが出た。現行モデルの登場は2013年11月。2代続いた「背の低いミニバン」路線をあらためて、全高を15cmほど上げたのが現行型だが、2015年の国内登録台数は1万5834台。ひと昔前まで「ミニバンのホンダ」の中核車種だったことを考えると、存在感は薄い。経済環境の変化もあるとはいえ、低いフォルムが衝撃的だった先々代モデルは年販10万台近くをマークしたのだ。2.4リッター4気筒のみだった5代目オデッセイに加わった2リッターハイブリッドは、メーカーにもマーケットにも待ち望まれた新機種といえる。
“スポーツハイブリッドi-MMD”と呼ばれるハイブリッドシステムは、「アコード」用と基本的に同じ2モーター式である。駆動用モーターは前輪に直結されている。クラッチを挟んでもう1基のモーターは発電専用のジェネレーターで、駆動用モーターに直接、給電したり、バッテリーを充電したりする。
エンジンは高効率なアトキンソンサイクルの2リッター4気筒だが、これはジェネレーター用の原動機と考えていい。「エンジンはジェネレーターを回します。状況によっては車軸を直接駆動することもあります」。トリセツにはそう記されている。つまり、主に高速クルージング時など、エンジンで走ったほうが高効率な場合以外は、もっぱらモーターで走る。変速機を持つ必要がなかったのもそのためである。
エンジンの音が気になる
ひとコマ90分の試乗会でまず乗ったのは、ハイブリッドの8人乗り。356万円の本体価格は、2列目がキャプテンシートになる7人乗りより9万円ほど安い。これがハイブリッドの最廉価モデルである。
アコード ハイブリッドと同じシステムとはいえ、オデッセイは車重が約200kg重い。それに対処して、エンジンの出力は143psから145psに、モーターは124kWから143kWに強化されている。その最新ホンダ2モーターハイブリッドやいかに、と走りだす。
「エンジン補助EV」的な印象の強いアコードに比べると、オデッセイはよりフツーである。アコードほどのEVっぽさはない。
このハイブリッドシステムは、モーターのみで走るEVドライブ、エンジンでジェネレーターを回し、その電気でモーターを駆動するハイブリッドドライブ、クラッチを締結してエンジンのみで走るエンジンドライブという、3つのモードを自動的に使い分ける。切り替えは至ってスムーズだが、遮音対策やボディー形式の差か、エンジンの音がアコードよりよく聞こえる。急加速すれば、けっこうウナる。といってもそれはタイヤを回しているのではなく、ジェネレーターを回しているエンジンのウナりである。
走っていると、エネルギーモニターの中に小さな歯車のマークがたまに点灯する。何かと思ったら、それが今回の新趣向でもあるエンジン直結時のサインだった。見ていると、街中ではたまにしかつかない。それも何秒かの短い間だった。その時にエンジン音が高まった記憶はない。直結駆動でエンジンをブン回すような不経済なしつけではないのだろう。
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キビキビとした走りが身上
次に乗ったのは、ハイブリッドのアブソルートである。2.4リッターシリーズと違って、ハイブリッドはアブソルートでも出力などに変更はない。フロントグリルの“押し出し”も、ノーマルとの差はそれほど大きくない。それでもハイブリッドの初期受注の7割はアブソルートだという。
ノーマルの16インチに対して17インチホイールを履き、サスペンションをよりスポーティーに仕立てたのがアブソルートである。そのせいか、パワーユニットは同じなのに、こちらのほうが多少キビキビ感に富んでいる。ハイブリッドの動力性能はオデッセイ随一で、数値は教えてもらえなかったが、0-100km/hデータも直噴2.4リッター190psのアブソルートをしのぐという。
この日はひとり乗車だったので、もちろんパワーに不足は感じなかった。ただ、ひとつ気になったのは、フルスロットルを踏んだ時のピックアップの反応が鈍いこと。その場合はハイブリッドドライブモードになるはずだが、右足を踏みつけてから、加速が始まるまでに少なからぬタイムラグがある。ここ一番の加速がほしいときに歯がゆい思いをするのがハイブリッドの弱点だ。
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戦略的な価格も魅力のひとつ
パナソニック製のリチウムイオンバッテリーはアコード用よりも小型軽量化されて、1列目シート床下に収まる。ハイブリッドはその部分が数cm高くなっているが、シートの下なので実害はない。このボディーは海外向けと共用で、あちらでは同じスペースにテンパータイヤを入れている。
というわけで、ハイブリッドでも2列目以降の居住性に変化はないが、あらためてオデッセイの後席に乗ってみると、上級ミニバンとしてはイスの脚が短いことに気づいた。そのせいで、7人乗りの2列目キャプテンシートに座っても、トヨタの「アルファード」や「ヴェルファイア」ほどのキャプテン気分は味わえない。ノーマルのファブリックもアブソルートの革シートも、アンコはアメリカ人好みのフカフカで、長時間座っていると疲れそうな気がする。
逆に、上級ミニバンとしての売りは価格だ。最上級の「ハイブリッド アブソルート Honda SENSING Advancedパッケージ」が405万6400円。300万円台で買える上級ミニバンというのが、ハイブリッド開発時のテーマでもあったという。
JC08モード26.0km/リッターという、上級ミニバンクラス最良の燃費を今回のチョイ乗りでは確認することができなかったが、試乗終了時、ハイブリッドのトリップコンピューターは14km/リッター台の平均燃費を示していた。同じ日に乗った2.4リッターモデルは、直噴のアブソルートもポート噴射のノーマルも10km/リッターを切っていた。ハイブリッドがオデッセイ史上最良の好燃費モデルであることは間違いない。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=向後一宏)
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テスト車のデータ
ホンダ・オデッセイ ハイブリッド アブソルート Honda SENSING EXパッケージ(7人乗り)
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4830×1820×1685mm
ホイールベース:2900mm
車重:1900kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
エンジン最高出力:145ps(107kW)/6200rpm
エンジン最大トルク:17.8kgm(175Nm)/4000rpm
モーター最高出力:184ps(135kW)/5000-6000rpm
モーター最大トルク:32.1kgm(315Nm)/0-2000rpm
タイヤ:(前)215/55R17 94V/(後)215/55R17 94V(ヨコハマ・ブルーアースA34)
燃費:24.4km/リッター(JC08モード)
価格:400万円/テスト車=461万1696円
オプション装備:ボディーカラー<ホワイトオーキッド・パール>(4万3200円)/Advancedパッケージ(19万円)/本革シート+運転席&助手席シートヒーター(21万6000円)/手動開閉リアエンターテインメントシステム(8万6400円) ※以下、販売店オプション フロアカーペットマット(7万3440円)/販売店オプション取り付け工賃(2656円)
テスト車の年式:2016年型
テスト開始時の走行距離:1674km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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ホンダ・オデッセイ ハイブリッド(8人乗り)
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4830×1820×1695mm
ホイールベース:2900mm
車重:1810kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
エンジン最高出力:145ps(107kW)/6200rpm
エンジン最大トルク:17.8kgm(175Nm)/4000rpm
モーター最高出力:184ps(135kW)/5000-6000rpm
モーター最大トルク:32.1kgm(315Nm)/0-2000rpm
タイヤ:(前)215/60R16 95H/(後)215/60R16 95H(ダンロップ・エナセーブEC300)
燃費:26.0km/リッター(JC08モード)
価格:356万円/テスト車=404万232円
オプション装備:Honda SENSING(10万8000円)/リア右側パワースライドドア+スライドドアイージークローザー(リア右側)+コンフォートビューパッケージ(7万5600円) ※以下、販売店オプション フロアカーペットマット(7万3440円)/Gathersナビ<VXM-165VFEi>(19万4400円)/フェイスパネルキット(1万2960円)/ナビ取り付けアタッチメント(4320円)/販売店オプション取り付け工賃(1万1512円)
テスト車の年式:2016年型
テスト開始時の走行距離:1177km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
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