第499回:ドイツが生んだハイパフォーマンスタイヤ
「コンチネンタル・スポーツコンタクト6」の実力を試す
2018.05.02
エディターから一言
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世界に冠たる自動車大国、ドイツのタイヤブランドといえばコンチネンタルである。ヨーロッパ車を中心に、多くのモデルに純正装着される“知る人ぞ知る”ブランドの実力を、ハイパフォーマンスタイヤ「スポーツコンタクト6」で確かめた。
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「安ければいい」という風潮にもの申す
『webCG』をご覧になっている方が“そこ”に当てはまるとは、もちろん到底思えない。が、世間一般には「サイズさえ合えば、そして価格さえ安ければ、タイヤなんて何でもいい!」と考える人が、少なからず存在しているようだ。
しかも、どうやらそうした人の割合は、時間の経過と共に増加しつつある印象。実際、155/70R13といったベーシックなサイズであれば、今や1000円台(!)という驚きの値付けがされたアイテム(もちろん新品)が、たやすく見つかるという状況だ。
しかし、そうした“激安タイヤ”にちゅうちょなく手を出す人にぜひとも理解してほしいのは、開発や生産現場を取材してきた自身の経験からすれば、タイヤというのは「極端に安く作れるはずなどない」という結論である。
あるいは、ゴムやスチールなどの素材を機械に投入すれば、あとは自動化された工程を経て「一丁上がり!」となると思っている人も居るかもしれないが、さにあらず。実は、現在でも生産の多くの工程を人手に頼っていると同時に、そもそも膨大なサイズに対応する必要があることから、極端なまでの“少量多品種”にならざるを得ないのがタイヤというものの宿命。加えて、生産に至る以前の理想的なゴムやトレッドパターンの開発にも莫大(ばくだい)な時間や資金が必要不可欠……となれば、それなりのコストが掛かるのが当然なのは、自明であるはずなのだ。
しかも、そんなタイヤがまさに「命を乗せている」と知れば、4本買っても1万円でお釣りが来るようなアイテムに、とても全幅の信頼を置くことなどできない。そんな意見に同意をしてくれる人は、きっと多いと信じたい。
自動車大国、ドイツのタイヤメーカー
とはいえ、それではいざ販売店へと出向いてみると、今度はあまりにも種類が多過ぎて、「どれを選んでいいか皆目分からない」となる人は少なくないはず。人間が履くシューズにも、同じサイズで異なる機能を備えたさまざまな種類があるのとまさに同様だ。
そうした中で、前述のように「極端に安いものは避ける」というのもひとつの選択方法だし、販売店のスタッフにアドバイスしてもらうのも、もちろん大いに有用。逆に、知識がない人が価格だけを基準にネット通販で購入、というのは最もオススメできないパターン。言うまでもなくタイヤというのは、路面へと接する唯一のパーツ。極端なハナシ、いかに強力なエンジンやブレーキを採用し、シャシー性能を鍛え上げたスポーツカーであっても、そこに能力の低いタイヤを組み合わせれば、せっかくの努力はすべて水泡に帰してしまうというわけだ。
ということで、新車購入から2万kmほど走行し、「そろそろ次のタイヤを……」と新たなアイテムを物色していた「ポルシェ・ケイマンGT4」乗りのwebCGスタッフに、「これならピッタリでしょう!」と白羽の矢を立てられたのが、コンチネンタルのスポーツコンタクト6という一品である。
現在ではシャシーやブレーキ、エレクトロニクスやセーフティーアイテム、パワートレイン系などを幅広く手がける、世界を代表する自動車関連パーツのグローバルサプライヤーであるコンチネンタル社だが、そもそもはゴム製品を扱うドイツ企業が発祥。そして現在でもドイツ北部のハノーバーに本拠を置くこともあり、ヨーロッパ車を中心に多くの車種にそのタイヤが純正装着されている、「知る人ぞ知る」ブランドである。
そんな由緒あるメーカーが2015年に発表した、19~23インチ径のサイズをラインナップする高性能車向けタイヤが、スポーツコンタクト6だ。
硬質なのに、乗り心地がいい
スポーツコンタクト6のルックスは、「ハイパフォーマンスタイヤとしては、ごく正統的なもの」というのが第一印象。太くて深いストレートグルーブは高い排水性によるウエットグリップ力の高さを予感させるし、外側ショルダー部分の大きなブロックはドライ路面での高いグリップ力を、幅広のセンターリブは正確で素早い舵の利きをイメージさせる。
一方で、サイドウオール部分が比較的強く丸みを帯びたプロファイルは、その部分のたわみ効果によって、低偏平ながらも路面凹凸への当たりの優しさを連想させてくれるもの。いずれにしても、オーソドックスながらいかにも高性能タイヤらしい見栄えの持ち主だ。
フロントに245/35ZR20、リアに295/30ZR20と、オリジナルと同一サイズのスポーツコンタクト6を履いたケイマンGT4で走り始めると、果たせるかな、まず実感させられたのは予期以上に優しい乗り味と、いかにも“高級なタイヤ”にふさわしい、真円度の高さがイメージできるテイストだった。
「911GT3」から譲り受けたシャシーと、ターボ化される以前の「911カレラS」の心臓を移植されたケイマンGT4は、ケイマンシリーズの中にあっても最も“サーキット志向”が強い一台。それもあり、当然ながら足まわりのセッティングも最もハードなものだ。それゆえ、路面の継ぎ目などではそれなりに強いショックを伝えてはくるものの、それでも不快感は最小限。そんな印象は、前述の丸みを帯びたサイドウオール部分によるショックの“いなし”の効果と共に、タイヤ全体の振動が素早く収束するダンピングの良さによってももたらされている感が強い。
「まん丸のタイヤが転がっていく」という感触と、路面凹凸を乗り越える衝撃を緩和させつつその振動も瞬時に収めてしまうことによって、「硬質なのにさほど不快ではない」というテイストを実現させている印象が強いのだ。
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スポーツ派ドライバーに広くお薦めしたい
今回は一般道でのテストドライブゆえ、ドライグリップ力のすべてを引き出すシーンにはなかなか遭遇できなかった一方、感心をさせられたのがウエットグリップ力。ロケ中、突然雨に降られたのだが、それまでのドライ路面での印象と何も変わらぬ高い接地感と、際立つ安心感が得られ続けたことだった。
ここまでコーナーを追い込んだら、そろそろ前輪がグリップ力を失うのもやむなしだな……と、ウエット路面上で感覚的にはそうしたポイントにまで達しても、このタイヤは同様のペースでドライ路面を走行する場合と、全くと言ってよいほど同じ挙動のままに、緩急さまざまなコーナーをあっさりとクリアしていってくれる。
ちなみに、コーナリングフォースの高まりと共にリニアに増していくステアリングの反力や、直進状態からステアリングを切り込んでいった際の、「過敏には過ぎない範囲でのシャープな応答性」も好印象。全般に“尖(とが)ったところ”がないハイパフォーマンスタイヤという感覚なのだ。
そうした好ましいテイストの実現には、ケイマンGT4という車両が持つ、際立つ素性の良さも大きく貢献しているのは間違いナシ。とはいえ、このモデルの素性を引き出してくれるスポーツコンタクト6のポテンシャルの高さにも、高い評価を与えられるのはもちろんだ。
サーキット走行時のドライグリップ力に特化して評価をするならば、選ぶべきタイヤはほかにもありそう。が、「走るのは好きだけれども、サーキット走行はまれに“ミニサーキット”を楽しむ程度」という今回のオーナーのようなユーザーには、いわゆる“Sタイヤ”風の浅溝でドライグリップ重視のアイテムは、適しているとは言い難い。
そういった点でも、幅広い車両との優れたマッチングが期待でき、快適性にも相当の配慮をしたことがうかがえるこのタイヤは、ハイパフォーマンスモデルに乗る多くのスポーツ派ドライバーに、自信を持って薦められる一品だ。
(文=河村康彦/写真=荒川正幸/編集=堀田剛資/撮影協力=河口湖ステラシアター)
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河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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