ポルシェ・ケイマンGT4(MR/6MT)
まだやれることがある 2015.12.05 試乗記 ポルシェのコンパクトなミドシップスポーツ「ケイマン」に、走りを突き詰めたトップグレード「GT4」が登場。その実力を富士スピードウェイで試した。庶民でも夢を見られる“レンシュポルト”
ケイマンGT4。その名を聞いて、スポーツカー好き、レース好きなら条件反射的にときめいたのではないだろうか。なぜならそれは「911 GT3」の弟分であることを端的に記号化したもので、かつレースのイメージを想起させるからだ。実際、日本ではマイナーな存在だが、ヨーロッパにはアマチュア用に「GT3」より改造範囲の狭いカテゴリーとして「GT4」が存在する。
いまや911 GT3は1912万円、そのレーシングスポーツ版である「911 GT3 RS」は2530万円。しかも、この値段にもかかわらず発売すれば即完売。市場価格は跳ね上がり、投機対象にすらなっている状況を考えると、もはや庶民は911の“レンシュポルト”に淡い夢すら見ることができない。そんななかにあって、ジャーナリストに911と比較されてはいろいろと厳しい言葉を浴びせられるケイマンではあるが、その最高峰モデルのGT4が結局みな「どうなのよ?」と気になるわけである。
かくいう筆者も、当然そのひとり。だから今回、しかも富士スピードウェイという舞台でこれに試乗できることに大きな喜びを感じた。また『webCG』でも常に書き続けている通り、2代目ケイマンにはひとつの疑問があった。エンジンおよびシャシー性能は良いが、そのサスペンションセッティングに異議あり、というものである。だからこれを確認することも怠らなかった。