アウディA6 55 TFSIクワトロ(4WD/7AT)/A6 50 TDIクワトロ(4WD/8AT)
A8もかくやの上質さ 2018.05.18 試乗記 フルモデルチェンジを受けて5代目となった「アウディA6」にポルトガルで試乗。新パワーユニットと作りこんだ骨格を得たアウディの基幹モデルは、滑らかで上質な走りと圧倒的な静粛性を手に入れていた。“上級移行”の真相に迫る。一見コンサバ、よく見ればリファイン
偶数車名を与えられたアウディ基幹モデルの最新作――それが、今年春に開催されたジュネーブモーターショーで披露された「A6」の最新モデル。1カ月遅れで「アバント」、すなわちアウディ流儀で言うところのステーションワゴンもすでに新型が発表されているものの、まずはセダンのみを対象とした国際試乗会が開催され、ポルトガルへと足を延ばしてきた。羽田空港を出発してから20時間ほど。そろそろ日付も変わろうかという深夜に到着すると、リスボンに次ぐポルトガル第2の都市ポルトは深い霧に包まれていた。
遠路はるばるクルマに乗りにいくことはやぶさかではないものの、狭い機内に長時間閉じ込められ、時差ボケに苦しみつつ到着なった1万㎞のかなたが雨だった……というのでは、やっぱりちょっとはメゲるもの。今晩は降ってもいいから、明日は晴れて! という願いが通じたのかどうか。空港隣接のホテルで一夜を明かした試乗当日は、快晴とまではいかないものの、テストドライブにはまったく問題ナシという薄曇りにまで天候は回復してくれた。
空港ターミナル前に特設された試乗基地に並べられた新型A6を目にしての第一印象は、「どこからどう見てもやはりA6」というもの。全長が7mm、全幅が12mmのプラスと事実上ほとんど変わることのないサイズも含め、この時点では「ちょっとコンサバだナ……」という思いがよぎったのが正直なところではある。
一方で、大いにシャープさを増したプレスラインや、ライト類のグラフィックの凝りようなどから、従来型と比べれば明らかにより新しく見えるというのも、先行するアウディ車のモデルチェンジの場合と同様の特徴。かくして、全般に予想通りのリファインぶり、というのが、まずは新型のエクステリアデザインに抱いた印象だった。
全モデルがマイルドハイブリッド
インテリアの見栄えは、より新鮮でかつ近代的と受け取れた。従来型を見慣れた人ではなくても、こちらは誰もが直感的に「これぞ最新モデル!」と納得するであろう仕上がり。用意された試乗車両のいずれもがオプションの「バーチャルコックピット」装着車で、大いにモダンな光景を作り上げていた。ダッシュボード中央部に2つの大型ディスプレイが縦に並び、コマンドの入力完了を触感として教えてくれる「ハプティック」機能と相まって、エクステリア以上の斬新さを醸し出す大きな要因になっていた。
試乗会に用意されたガソリンモデルは、先行する新型「A8」から適用されたアウディブランド内の新しいルールによって、パフォーマンスレベルを示す「55」という数字が与えられた「TFSIクワトロ」。搭載される90度角のバンク内側にツインスクロールターボを収めた3リッターのV型6気筒ユニットは、すでに「S4」や「S5」に使われているアイテムを譲り受けたものだ。
興味深いのは、現時点でのガソリンモデル中のフラッグシップであるこのモデルを筆頭に、「日本への導入はまったくの未定」と今回も残念なコメントが聞かれるディーゼルモデルも含めて、全モデルがマイルドハイブリッドシステムを採用していること。テストドライブを行った55 TFSIクワトロと、3リッターディーゼルの50 TDIクワトロという6気筒モデルには、スタータージェネレーターと48ボルトバッテリーからなるシステムが搭載されていた。
その他の4気筒エンジンを搭載するモデルには、12ボルトバッテリーを用いたより簡易なシステムが採用され、いずれも減速時の回生やクルージング中のエンジン停止を伴うコースティング走行やより早いタイミングからのアイドリングストップなどを行うことで、「100km走行あたり最大で0.7リッターの燃料削減」とうたわれているのだ。
ロードノイズの低さが際立つ
かくして、涙ぐましいばかり(?)の本気の燃費削減策が採り入れられた新しいA6。が、いざスタートすればその走りのテイストに悲壮感などはどこにも漂わない。それどころか、その走りは歴代A6の中にあっても、まさしく「際立って上質」で「かつてなく滑らか」と形容できる仕上がり。そんな好印象への呼び水ともなった最初の驚きは、もはやA8クラスと対等か、とも思える静粛性の高さにあった。
新型A6では、19インチ以上のタイヤに不快な周波数を吸収する素材を採用したという。実際テストドライブをした複数のモデルでも、19インチのミシュランでは「ACOUSTIC」、21インチのピレリでは「PNCS」と、いずれの内部に特殊なポリウレタン製の吸音フォームを貼り付けたタイヤであることを示すマークを確認できた。付け加えると、今回テストドライブを行ったすべてのモデルは、オプション設定される遮音サイドガラスを採用している。
こうした入念な対策もあって、特にロードノイズの低さが際立つ素晴らしい静粛性が実現されていたと考えられるのだ。エンジンノイズの極端な小ささも特筆もの。アイドリングストップ状態から復帰する際に、ノイズのみならずショックもほとんど気にならないのは、再始動がベルト式スタータージェネレーターによって行われるゆえの妙技でもあるはずだ。
クルージング中のアクセルオフでエンジンが停止する場面が存在することは、メーターパネル内のランプによってのみ知ることができる。アイドリングストップの条件を満たさなくなれば即座に再始動が行われるが、その事実を知ることができるのは、ランプが消灯することによってのみということになっていた。
気になる部分はひとつだけ
かくも上質な走りのテイストの実現には、クルマの骨格たるボディーやシャシーシステムの作り込みの入念さによるところも大きいはず。スチールとアルミニウムの組み合わせを基本としつつ、特にフロントアクスルとの接続剛性向上などに留意したというボディーに3つの仕様のサスペンションを組み合わせる新型A6は、そのあたりの配慮も怠りナシであると考えられる。
テストドライブでは、コンベンショナルなサスペンション仕様と、オプションのエアサスペンションにさらに「ダイナミック・オールホイールステアリング」と称する4WSシステムを組み合わせた仕様の2タイプをチェック。19インチのミシュランタイヤ装着モデルを基本に、「足まわりフルオプション」の後者では、短時間ながら21インチのピレリタイヤ装着モデルも試すことができた。
これまでも述べてきた走りの上質さを極めるならば、選ぶべきはエアサス+19インチだ。穴ぼこ状の路面などで大入力を受けるとショックを一発で収めきれない場面もありはするものの、その1点を除けばこれもまた、「A8もかくや」という乗り味を堪能させてくれる。小さなロードノイズのボリュームがさらに下がるのは、天然ゴム製ベローズにエアを満たしたエアスプリング採用の効果が大きいに違いない。
ただし、そこに21インチシューズを組み合わせた仕様は、「ちょっとやり過ぎ」感が強かった。コーナリングフォースの立ち上がり(=コーナリングパワー)がやや過敏で自然さにやや欠けるし、大入力時の振動の収まりはやはり19インチを下回ってしまう。平滑路面でややゴロゴロ感が強く“タイヤが丸くない”感が漂ってしまうのは、ミシュランとピレリのブランド差によるユニフォーミティー(均一性≒真円性)の差からだろうか。
価格と重量面にアドバンテージを持つコンベンショナルな仕様でも、“良いクルマ感”が十分演じられることに変わりはない。ただし、こちらのモデルに乗り換えるとあらためて意識させられるのが小回りの利かないこと。「『A3』と同等の小回り性を実現」したという4WS仕様に比べると、回転直径にして1mのプラスというのはやはり影響が小さくはないのだ。
見ても乗っても上質さを大きく増した新型A6で、残された気になる部分というのは、やはり価格ということになりそう。「装備充実につき、やや上級移行の予定」とアナウンスされる日本でのプライスが、さほど大きくは跳ね上がらないことを願わずにはいられない。
(文=河村康彦/写真=アウディ/編集=鈴木真人)
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テスト車のデータ
アウディA6 55 TFSIクワトロ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4939×1886×1457mm
ホイールベース:2924mm
車重:1760kg
駆動方式:4WD
エンジン:3リッターV6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:340ps(250kW)/5000-6400rpm
最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1370-4500rpm
タイヤ:(前)245/45R19/(後)245/45R19
燃費:7.1-6.7リッター/100km(約14.1-14.9km/リッター、欧州複合モード)
価格:--万円/テスト車=-- 円
オプション装備:--
テスト車の年式:2018年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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アウディA6 50 TDIクワトロ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4939×1886×1457mm
ホイールベース:2924mm
車重:1825kg
駆動方式:4WD
エンジン:3リッターV6 DOHC 24バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:286ps(210kW)/3500-4000rpm
最大トルク:620Nm(63.2kgm)/2250-3000rpm
タイヤ:(前)245/45R19/(後)245/45R19
燃費:5.8-5.5リッター/100km (約17.2-19.6km/リッター、欧州複合モード)
価格:--万円/テスト車=-- 円
オプション装備:--
テスト車の年式:2018年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(軽油)
参考燃費:--km/リッター

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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