BMW X4 xDrive30i(4WD/8AT)/X4 xDriveM40d(4WD/8AT)
期待通りでグンと上質 2018.07.19 試乗記 BMWのコンパクトでスタイリッシュなクロスオーバーモデル「X4」がデビューから4年半で早くも2代目に進化。新世代のボディー骨格を得て刷新されたSAC(スポーツ・アクティビティー・クーペ)は、しなやかな乗り味と高い静粛性でさらに魅力を増していた。わずか4年半で2代目に
Sport Activity Coupe(スポーツ・アクティビティー・クーペ)、略してSAC……兄貴分である「X6」とともに、BMWがそうカテゴライズするモデルがX4だ。
初代モデルがローンチされたのは、2014年春のニューヨークモーターショー。ここに紹介する2代目モデルには、わずかに4年半ほどでバトンが受け継がれた計算になる。BMWとしては異例といえる、かくも短い期間で新型へと刷新されたのは、現行「7シリーズ」に始まった新世代のFRレイアウトベース骨格への移行を急いだ結果と考えればいいのだろうか。
冒頭で紹介した独自のフレーズをBMWが用いたかった理由は、プロポーションを目にすれば一目瞭然だ。大径シューズにボリューム感あふれるボディー造形が成す下半身に、4ドアクーペ風味の強い上半身を組み合わせたその姿は、SAV――すなわちこちらはこのブランドがSport Activity Vehicle(スポーツ・アクティビティー・ヴィークル)と表現する「X3」や「X5」などの正統派(?)SUVが放つ雰囲気とは、確かに一線を画している。
一般のSUVよりもカジュアルでスポーティーな、SUVとクーペのクロスオーバーという表現が適切に思えるスタイリッシュなモデル。ここに新たな鉱脈があることに、各メーカーが気付き始めている。それはこのX4やX6に2代目が誕生しただけでなく、ライバルブランドからも同種のモデルが続々生み出されるようになっていることからも明らかだ。
意外にリラックスできる後席
X4のランニングコンポーネンツがX3のそれをベースにしているというのは、従来型の場合と同様。すなわち、新世代FRレイアウトモデル用のプラットフォームを、「3シリーズ」への適用に先駆けてX3やX4に採用したことになる。
もっとも、Xシリーズがかくも”優遇”されるのは当然だ。これまでの「X1」から「X6」までのバリエーションは、「BMW販売全体の3分の1を占めている」というのだから驚く。しかも、その比率は現在でも上昇中というのに加え、先日ついに「X7」も発表されたのだから、いよいよ加速傾向を示すのは確実。「3/5/7シリーズが屋台骨」と長年いわれてきたBMWも変革期に至っているということだ。
ハナシをX4へと戻せば、全長で81mm、全幅で37mm、そしてホイールベースで54mmの拡大という新型のボディーサイズ決定に際しては、一部の従来型ユーザーから聞かれた「後席やラゲッジスペースがちょっと狭い……」という声も反映したという。
それでも、日本の感覚からすれば4752×1918mmという全長×全幅サイズは十二分に大きいし、「限られたサイズの中で広さを追求するのがテクニックでしょう」と言いたくもなるもの。それでも現実には見た目上の伸びやかさが勝負となるに違いないこの手のモデルの場合、”ある程度の大きさ”が必須となることは、もちろん理解できなくはないわけだが。
ということで、前席優先の考え方は明確である一方、後席でも大人2人がそれなりの長時間をリラックスできる居住空間が確保されている。サイドウィンドウのグラフィックで”後ろ下がり”感が強調されているが、実際のルーフラインは水平近くのままで後方まで引っ張られているのも、「意外に普通に座れるな」と後席で感じられるひとつの要因であるはずだ。
モダンなテイストの新世代インテリア
インテリアの仕上がりは「予想通りで期待通り」というのが第一印象。ワイドさが強調された一方で厚み感が抑えられたダッシュボードは、中央部分の上部にワイド画面のタブレットを立て掛けたような処理を含めて、新世代BMWに共通するモダンなテイストだ。
高く幅広なセンターコンソール部分には、これもおなじみになりつつあるデザインのATセレクターと、こちらももうおなじみのマルチメディアシステム「iドライブ」の操作系などをレイアウト。実際に使ってみればどう間違っても操作性に優れているなどとは言いがたい「ジェスチャーコントロール」などへのトライも始まってはいる。それでもBMWに乗るたびにうれしく思うのは、センターコンソールに配された、メカダイヤルとプッシュスイッチの組み合わせによる使い勝手がすこぶる優れていることだ。
BMWのシステムと双璧の出来栄えと思えていたアウディの操作系「MMI」が、最新世代のモデルでついにプッシュパネル式へと”陥落”し始めた現在、BMWのこの方式がダントツだと個人的には思う。マルチメディアシステムの機能性や、各部の仕上がりの上質さを見るにつけ、常々「さすがはプレミアムブランドのツボを押さえているナ」と感じさせられるのがBMW車のインテリア。
もちろん、新型X4のそれもそんなこのブランドの流儀をしっかり踏まえたもの。それこそが、この項の冒頭に述べた「予想通りで期待通り」という意味なのである。
強烈な瞬発力、なのに……
国際試乗会が開催されたのは、米国サウスカロライナ州はスパータンバーグ。ここにはBMWの生産拠点があり、X4はこの場所が生まれ故郷なのだ。全モデルがAWD仕様となる中で、用意されたのは「30i」と「M40d」。日本には「20i」と30iというガソリンモデルが導入され、残念ながらディーゼルモデルの導入計画はないという。
最高出力252psを発するターボ付き2リッターエンジンを、8段ステップATと組み合わせて搭載する30iで走り始めると、まず実感させられたのは際立つ静粛性としなやかな乗り味。すなわち、走りの第一印象は「グンと上質になったな」というものだった。スタートの瞬間にはやや重さを感じさせられるものの、走り始めてしまえば動力性能に不満ナシ。荒れた路面で速度が落ちると時に荒さを感じさせられるが、基本的にはランフラットタイヤを意識させられないスムーズな走りも美点だ。
特筆すべきはアイドリングストップ状態からの再始動の滑らかさで、これはうっかりしているとそうした制御に気が付かないほど。自然で自在なハンドリング感覚はもちろん、「さすがはBMW車」と感心させられるポイントだ。
一方、工場隣接のショートサーキット風テストコースで乗ったM40dは、すこぶるスポーティーな走りの持ち主だった。3リッターのシーケンシャルツインターボユニットが生み出す最高出力は326ps。そして、最大トルクは1750rpmにして680Nmと強大で、その瞬発力たるや強烈。そこに運動性能向上を目的とした電子制御式ロックシステムを加えたリアデファレンシャルを組み合わせるのだから、その走りはもはやピュアスボーツモデルの水準だ。選択する走行モードによってはリアスライドも許容され、実際にそれをチェックするためのウエットスキッドパッド路面までが用意されることに。
……と、そんなことまでを経験させられれば、当然ながら口をついて出るのは「これに日本で乗れないのは残念」という一言。ダイナミックでアクティブなキャラクターこそが、SACの売り物。となれば、それにふさわしいモデルの導入も望まれるX4なのである。
(文=河村康彦/写真=BMW/編集=鈴木真人)
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テスト車のデータ
BMW X4 xDrive 30i
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4752×1918×1621mm
ホイールベース:2864mm
車重:1720kg(DIN)
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:252ps(185kW)/5200-6500rpm
最大トルク:350Nm(35.7kgm)/1450-4800rpm
タイヤ:(前)225/60R18 104W XL/(後)225/60R18 104W XL
燃費:7.3-7.2リッター/100km(約13.7-13.9km/リッター)
価格:--万円/テスト車=-- 円
オプション装備:--
テスト車の年式:2018年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
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BMW X4 xDrive 40d
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4752×1938×1621mm
ホイールベース:2864mm
車重:1895kg(DIN)
駆動方式:4WD
エンジン:3リッター直6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:326ps(240kW)/4400rpm
最大トルク:680Nm(69.3kgm)/1750-2750rpm
タイヤ:(前)245/45R20 103W XL/(後)275/40R20 106W XL
燃費:6.6-6.4リッター/100km(約15.2-15.6km/リッター)
価格:--万円/テスト車=-- 円
オプション装備:--
テスト車の年式:2018年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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