現行型オーナーに聞いた
新型「BMW 3シリーズ」はここがうらやましい!
2018.10.17
デイリーコラム
変わり幅はマイナーチェンジレベル
「BMW 3シリーズ」は、カーマニア心と実用性の最大公約数(個人の感想です)として、代々世界中で愛されているが、傑作の呼び声高い現行3シリーズ(6代目のF30系)もついにフルモデルチェンジが迫っている。先日のパリモーターショーでは、新型の「セダン」が発表された。
現行3シリーズ(激安中古「320dスポーツ」)のオーナーから見て、新型3シリーズはどう映ったか?
写真を見ての第一印象は、「そんなに変わってないな~」だった。
3シリーズは代々、キープコンセプトではあるけれど、見た目も中身もそれなりに変わってきている。が、7代目は、現行モデルのマイナーチェンジ版に見えなくもない。フェラーリでいうと「308」から「328」、あるいは「458」から「488」のような。
細部を見ると、逆に「現行のほうがシンプルでカッコ良くないか?」という思いも湧いてくる。特に新型のフロントまわり、バンパーのあたりは、写真で見る限りボコボコグネグネしている印象で、迫力を出そうとするあまり、無意味な造形が増えているんじゃないかとの危惧を抱いてしまう。
その他、サイドビューやリアビューは順当にカッコいいが、「うらやまし~!」と思うほどのものではない。
サイズは、順当な拡大ぶりとでも申しましょうか。全長×全幅×全高は4709×1827×1442mmで、現行モデルに対して76mm長く、16mm幅広く、1mm高くなっているとのこと。
世界の趨勢(すうせい)から見て、これくらいの拡大はしょうがない。が、個人的には、最後のギリギリの一線を越えて、大きくなりすぎた気もする。
うらやましポイントは少なめ……
現行3シリーズも、先代に対して同じくらい大きくなっていた。いや、全長ではほぼ100mmの延長だったから、デカくなり方は今回よりもハデだった。
当時の印象としては、「これはもう『5シリーズ』だな」と思ったけれど、それでも実用性からすると、本当の本当にギリギリの一線で踏みとどまっている印象で、これがデッドライン、もう日本の道路環境ではこれが限界! と思える圏内だった(個人の感想です)。
つまり、現行3シリーズより1mmでも大きいと、実用車として失格なのです(まったく個人の感想です)! その一線を越えたのは、3シリーズファンとして大変残念である。
そんなこと言って、実際乗ったら「これぞ最後の一線!」って、手のひら返しするかもしれませんが。
パワートレイン系も、基本的に現行モデルのキャリーオーバーで、「うおおおお、これが欲しかったぁ!」というタマは見当たらない。まぁ3シリーズのモデルチェンジは、往々にしてそんな感じで、後からジワジワと新しいのが登場するわけですが。
考えてみれば現行3シリーズの時は、当初「直6が消えた!」と騒ぎになったんでした。でも実際に乗ってみたら、あまりにもシャシーがすばらしくて、4気筒の趣味性の薄さはケシ飛んでしまいました。
そのシャシーは、当然のことながら「さらに良くなった」みたいです。みたいですが、なにせまだ写真を見ただけなので、実感できません。それ以前に、現行3シリーズ以上の良さってのが想像できない……。そこまで良くしなくていいよ! みたいなことを思ってしまったりして。ほとんど難クセですね。
インテリアもカッコいいけど、現行もカッコいいのでうらやましさは特にナシ。ユーザーインターフェイスも刷新されているらしいけど、スマホを新しくするのすらためらう50代としては、これまたうらやましさゼロ。
唯一うらやましいのは、安全運転支援システムの進化でしょうか。緊急自動ブレーキが自転車も検知するようになったというのはうらやましい! つーか、現行モデルは歩行者のみで自転車はダメだったのか……。しまった、気を付けないと。
ということで、乗ってみないことにはなんとも言えませんが、いま切実に思うのは、「2シリーズ」の「セダン」と「ツーリング」を出してほしいってことです。下に降りていかないことには、大きさがどうにもなりません。
(文=清水草一/写真=BMW/編集=藤沢 勝)
![]() |

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
アマゾンが自動車の開発をサポート? 深まるクルマとAIの関係性 2025.9.5 あのアマゾンがAI技術で自動車の開発やサービス提供をサポート? 急速なAIの進化は自動車開発の現場にどのような変化をもたらし、私たちの移動体験をどう変えていくのか? 日本の自動車メーカーの活用例も交えながら、クルマとAIの未来を考察する。
-
新型「ホンダ・プレリュード」の登場で思い出す歴代モデルが駆け抜けた姿と時代 2025.9.4 24年ぶりにホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が復活。ベテランカーマニアには懐かしく、Z世代には新鮮なその名前は、元祖デートカーの代名詞でもあった。昭和と平成の自動車史に大いなる足跡を残したプレリュードの歴史を振り返る。
-
マツダの将来を担う次世代バイオディーゼル燃料 需給拡大に向けた最新の取り組みを知る 2025.9.3 ディーゼルエンジンを主力とするマツダにとって、カーボンニュートラルを実現した次世代バイオディーゼル燃料は生命線ともいえる存在だ。関係各社を巻き込んで需給拡大を図るマツダの取り組みと、次世代燃料の最新事情を紹介する。
-
意外とクルマは苦手かも!? 自動車メディアの領域で、今のAIにできること、できないこと 2025.9.1 AIは今や、文章のみならず画像や動画もすぐに生成できるレベルへと発展している。では、それらを扱うメディア、なかでもわれわれ自動車メディアはどう活用できるのか? このテクノロジーの現在地について考える。
-
世界の議論を日本が主導! 進むハンズオフ運転支援機能の普及と国際基準制定の裏側 2025.8.29 世界的に開発と普及が進むハンズオフ(手放し運転)運転支援機能の、国際基準が改定された。先進運転支援や自動運転の技術の基準は、どのように決められ、またそこで日本はどんな役割を果たしているのか? 新技術の普及に必須の“ルールづくり”を解説する。
-
NEW
フォルクスワーゲン・ゴルフRアドバンス(前編)
2025.9.7ミスター・スバル 辰己英治の目利き「フォルクスワーゲン・ゴルフ」のなかでも、走りのパフォーマンスを突き詰めたモデルとなるのが「ゴルフR」だ。かつて自身が鍛えた「スバルWRX」と同じく、高出力の4気筒ターボエンジンと4WDを組み合わせたこのマシンを、辰己英治氏はどう見るか? -
ロイヤルエンフィールド・クラシック650(6MT)【レビュー】
2025.9.6試乗記空冷2気筒エンジンを搭載した、名門ロイヤルエンフィールドの古くて新しいモーターサイクル「クラシック650」。ブランドのDNAを最も純粋に表現したという一台は、ゆっくり、ゆったり走って楽しい、余裕を持った大人のバイクに仕上がっていた。 -
BMWの今後を占う重要プロダクト 「ノイエクラッセX」改め新型「iX3」がデビュー
2025.9.5エディターから一言かねてクルマ好きを騒がせてきたBMWの「ノイエクラッセX」がついにベールを脱いだ。新型「iX3」は、デザインはもちろん、駆動系やインフォテインメントシステムなどがすべて刷新された新時代の電気自動車だ。その中身を解説する。 -
谷口信輝の新車試乗――BMW X3 M50 xDrive編
2025.9.5webCG Movies世界的な人気車種となっている、BMWのSUV「X3」。その最新型を、レーシングドライバー谷口信輝はどう評価するのか? ワインディングロードを走らせた印象を語ってもらった。 -
アマゾンが自動車の開発をサポート? 深まるクルマとAIの関係性
2025.9.5デイリーコラムあのアマゾンがAI技術で自動車の開発やサービス提供をサポート? 急速なAIの進化は自動車開発の現場にどのような変化をもたらし、私たちの移動体験をどう変えていくのか? 日本の自動車メーカーの活用例も交えながら、クルマとAIの未来を考察する。 -
新型「ホンダ・プレリュード」発表イベントの会場から
2025.9.4画像・写真本田技研工業は2025年9月4日、新型「プレリュード」を同年9月5日に発売すると発表した。今回のモデルは6代目にあたり、実に24年ぶりの復活となる。東京・渋谷で行われた発表イベントの様子と車両を写真で紹介する。