企画展「CIVIC WORLD 受け継がれるHondaのDNA」の会場から
2021.03.26 画像・写真「ツインリンクもてぎ」内の博物館「ホンダコレクションホール」が、「シビック」の歴史をたどる企画展「CIVIC WORLD 受け継がれるHondaのDNA」を開催(2021年5月31日まで)。ホンダを支えてきた歴代シビックの姿を、写真で紹介する。(写真:荒川正幸)
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1/58「ツインリンクもてぎ」内に位置するホンダの博物館「ホンダコレクションホール」。現在、2021年5月31日までの期間限定で、企画展「CIVIC WORLD 受け継がれるHondaのDNA」が行われている。
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2/58企画展「CIVIC WORLD 受け継がれるHondaのDNA」では、10世代12台の「ホンダ・シビック」や、歴代シビックにまつわる資料が、ホールの2階と3階に展示される。写真は2階に並べられた、初代~4代目のシビック。
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3/58取材会では、ホンダの開発関係者による解説も行われた。写真は1981年入社で、多数のクルマのパッケージ開発に携わってきた樋口彰男氏。
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4/581983年入社で、「シビック」を含む多数の車両のエクステリアデザインを手がけてきた大蔵智之氏。会場には、氏の手になる貴重な5代目「シビック」のスケッチも展示されていた。
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5/581972年に登場した初代「シビック」。コンパクトカーでもFRの3BOXセダンが主流だった時代に、2BOXスタイルのFF車として登場。若々しさやクリーンなイメージで人気を博した。展示車はCVCCエンジンを搭載した1973年モデル。
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6/58厳しい排ガス規制をクリアする“低公害エンジン”として、世界中を驚かせたCVCCエンジン。副燃焼室で生じさせた火種をシリンダー内に伝播(でんぱ)させることで、希薄燃焼を実現。クリーンな排ガスに加え、低燃費も特徴だった。
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7/58「シビック」に搭載されるCVCCエンジンの排気量は1.5リッター。63PSの最高出力を発生した。
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8/58インテリアでは、プロペラシャフトが不要となるFFの駆動方式により、広い足元スペースを実現。ドアトリムまで続く、ゆるやかにラウンドしたダッシュボードの意匠は、今日のモデルにもその面影が見られる。
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9/58初代「シビック」はハッチバックではなく、リアには乗車スペースから独立したトランクルームが設けられていた。
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10/58エクステリアについては、どこから見ても安定した台形のフォルムとなるよう配慮してデザインされたという。
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11/58初代「シビック」のリアエンブレム。
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12/581979年に登場した2代目「シビック」。展示車は3ドアの上級グレード「CX」だ。
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13/581970年代後半には、“FF・2BOX車”のコンパクトカーもすっかり普通の存在に。そんななかで、2代目「シビック」は初代の正常進化版として登場。“スーパーシビック”という愛称で親しまれた。
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14/58初代とは打って変わって、直線と四角で構成されるインストゥルメントパネルまわり。メーターまわりに備わるバイザースイッチや、足元スペースを広く取るべく下部がえぐられた助手席側ダッシュボードの形状も目を引く。
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15/58メーターは、今日のクルマにも広く用いられる単眼式。速度計とエンジン回転計が同軸レイアウトで配置されている。
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16/58車内空間については、国際水準の広さや、視界のよさを追求。シートには人間工学に基づいた設計が用いられたという。
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17/581979年製「シビックCX」のエクステリア。
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18/581979年製「シビックCX」のエクステリア。
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19/581979年製「シビックCX」のエンブレム。
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20/58それまでとは大きく異なる、直線基調のデザインで登場した3代目「シビック」。愛称は“ワンダーシビック”である。
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21/583代目「シビック」の登場は1983年(展示車両は1984年製「25i」)。空力特性に優れたロングルーフデザインは、日米のデザインスタジオによるコンペティションによって生まれたもので、最終的には日本案が採用された。
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22/58空間効率の向上と空気抵抗の低減に寄与するロングルーフデザインだが、立ち気味となるリアウィンドウにはホコリがたまることに。そこでルーフ後端には、写真のようなスリットとルーフスポイラーを採用。流れる空気を後方に飛ばしつつ、その一部をウィンドウ側に流すことで、空力特性を悪化させることなくウィンドウの汚れを防ぐのに成功した。
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23/58フロアから伸びたシフトセレクターに注目。展示車にはホンダ自製の3段フルオートマチックトランスミッション「ホンダマチック」が搭載されていた。
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24/58車内の機能性はさらに向上。リアシートには左右独立してのリクライニング調整機構に加え、クラス初となる100mmのロングスライド機構が採用された。
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25/583代目「シビック」のリアエンブレム。
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26/58初代~3代目「シビック」の広告ポスター。ビジネスバンやステーションワゴンの「カントリー」など、当時からさまざまな派生モデルが存在していた。
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27/58“ワンダーシビック”の後継を担い、1987年に登場した“グランドシビック”こと4代目「シビック」。
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28/58写真を見ると分かるように、3代目で好評だったロングルーフデザインは、4代目にも受け継がれた。
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29/58軽量化を図りながらも剛性を強化したモノコックに加え、フロアを構成するフレームやパネルについては、振動メカニズムを解析しつつ開発を実施。静かで快適な車内空間を実現したという。
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30/58一気にハイテク化が進められたのも“グランドシビック”の特徴。上級モデルには電子式燃料噴射システム付きの1.6リッター直4 DOHCエンジンが搭載され、また下位モデルのエンジンも、SOHCながら4バルブという凝った構造となっていた。
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31/58走行性能の向上と空間効率改善のために、足まわりには4輪ダブルウイッシュボーン式のサスペンションが採用された。
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32/58後ろに行くにつれて絞り込まれるキャビン上部のデザインがスポーティーな、5代目「シビック」。そのものズバリな“スポーツシビック”という愛称で呼ばれた。
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33/581991年に登場した5代目「シビック」だが、展示車は1993年製の「SiR II」。1.6リッターの直4 DOHC VTECエンジンを搭載した、高性能モデルだ。
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34/58エクステリアと同じく、曲面を多用したスマートなデザインのインストゥルメントパネルまわり。当時のプレスリリースによると、5代目「シビック」は「スマートで行動的な若者をターゲット」にしていたという。
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35/58クルマのキャラクターは変わったものの、機能的なシート構造は健在。リアシートを倒すと、シートバックと荷室の床面がフラットにつながる設計となっていた。
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36/58荷室には、ガラスハッチとロワゲートからなる2分割式のテールゲートを採用。これは、引き締まったキャビンのデザインと後方視界を両立するために用いられたものだ。“1枚もの”のテールゲートではリアウィンドウの左右にピラーが必要となり、ただでさえ狭いウィンドウがより狭くなってしまうため、コンパクトカーには珍しいこの構造が採用された。
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37/585代目「シビック」のリアバッジ。二輪車などに用いられる、手間のかかる手法で製作されており、デザインそのものも凝ったものだった。
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38/581995年に登場した“ミラクルシビック”こと6代目「シビック」。衝突安全性向上のためにフロントが拡張され、それに伴い大きく立体的な形状のヘッドランプが採用された。
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39/586代目「シビック」は、ハイパフォーマンスモデル「タイプR」が初設定されたことで有名なモデルだが、展示車は「SiR II」。タイプRに次ぐスポーティーな上級グレードだ。
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40/58車内については、実寸以上の広さを感じさせる意匠や、開放的な視界、計器類の見やすさなど、ストレスなく運転できる空間とすることを重視。ホイールベースの延長により、後席の居住性も改善している。
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41/586代目「シビック」のリアエンブレム。
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42/58会場に展示された、5代目、6代目「シビック」の広告ポスター。
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43/58運動性能の高さから、歴代「シビック」はモータースポーツでも大活躍した。写真はN1耐久レース仕様の「シビック タイプR」(1998年)。
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44/58従来モデルからコンセプトを一新。利便性や空間効率に優れるユーティリティー系のコンパクトカーとして、2000年に登場した7代目「シビック」。愛称は“スマートシビック”である。
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45/58前席については、センターコンソールを排することで左右のウォークスルーを実現。フラットで広々とした足元スペースも目を引く。
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46/58左右方向だけでなく、センターアームレストをたためば前後席間のウォークスルーも可能。床面は前から後ろまで、完全な“フラットフロア”となっていた。
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47/58ホンダはこの7代目から、仕向け地ごとに「シビック」をつくり分ける戦略をとる。日本仕様は(「タイプR」を除くと)写真の5ドア仕様のみだったが、欧州では5代目、6代目に通じる3ドア仕様も販売されていた。
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48/58ボンネットとAピラー、ルーフラインを“一筆書き”でつなぐ、モノフォルムデザインが目を引く8代目「シビック」。従来モデルからまたしても車形が変わり、日本仕様は4ドアセダンとなった。
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49/58スタンダードな1.8リッター/2リッターの直4ガソリン車に加え、最高出力225PSを発生する高性能モデル「タイプR」や、1.3リッター直4エンジンにモーターを組み合わせた「ハイブリッド」もラインナップ。英国からの輸入車として、3ドアの「タイプRユーロ」も数量限定で販売された。
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50/58ドライバーを囲むような形状が特徴のインストゥルメントパネルまわり。上段に速度計などを、下段にエンジン回転計などを表示する、2分割式の「マルチプレックスメーター」も特徴となっている。
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51/582011年に登場した9代目「シビック」は基本的に日本未導入となり、写真の「タイプR」(2015年)だけが750台限定で販売された。
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52/58黒と赤のツートンのインテリア。「シビック」としては初の“R”となった、6代目シビックの「タイプR」から受け継がれる意匠だ。
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53/58最高出力310PS、最大トルク400N・mを発生する、2リッター直4 VTECターボエンジン。同車は「タイプR」として初のターボエンジン搭載車となった。
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54/58“FF量産車最速”というパフォーマンスを実現するため、シャシーについてはサスペンション、タイヤ、ステアリング機構ともに専用のものが採用された。
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55/5810代目となる現行型「シビック」は2017年7月に日本に導入された。写真の「セダン」に加え、「ハッチバック」や高性能モデル「タイプR」もラインナップされた。
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56/5810代目「シビック」のインストゥルメントパネルまわり。
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57/58エンジンは1.5リッター直4ターボ。「セダン」と「ハッチバック」では油種が異なり、レギュラー仕様の前者は最高出力173PS、ハイオク仕様の後者は同182PSを発生した。
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58/58日本では、写真の「セダン」はすでに販売を終了。「タイプR」も完売となっており、現在は「ハッチバック」のみがラインナップされている。次期型「シビック」がどんなモデルとなり、どのような形で日本に導入されるかに注目したい。