ホンダCRF250ラリー<s>(6MT)
毎日が冒険 2021.04.21 試乗記 ラリーマシンをほうふつとさせる、ホンダの250cc級アドベンチャーモデル「CRF250ラリー」がフルモデルチェンジ。車体もエンジンも新しくなった新型は、普段使いでも「ホンダの本気」を感じられる一台に仕上がっていた。オンもオフも高速道路も得意
アドベンチャーモデルの人気は現在も衰えることがない。250ccクラスにも各メーカーが魅力的なモデルを投入している。オンロードでの使い勝手を重視したデュアルパーパス的な位置づけのマシンも多いが、ここで紹介するホンダCRF250ラリーは、本格的なオフロード走行もこなすことができるモデル。昨2020年の12月に車体まわりを一新。エンジンにも大幅に手が入って完成度を飛躍的に高めている。
エンジンを始動してすぐに感じたのは、空吹かしした時のレスポンスが非常に鋭いこと。これは激しい性格なのかと思ったが、走りだしてみると神経質さは皆無。非常に扱いやすい。エンジンの特性はフラットで、低回転でも十分なトルクがある。しかも回転が上がるにつれて力強くなり、レブリミットの1万0500rpmまでストレスなく回る。
250ccクラスには単気筒、2気筒、4気筒のマシンがあって、それぞれキャラクターが異なる。単気筒エンジンは低中速で力強い代わりに、高回転域でのスムーズさは多気筒エンジンに譲る。CRF250ラリーはどうかといえば、バランサーを内蔵していることもあって振動は6000rpmまでほとんど感じない。7000rpmくらいからシートを中心にわずかな振動が出て、レブリミットに近づくにつれ若干それが大きくなっていく。それでも単気筒エンジンとしてはかなり振動は抑えられていて、回し気味にして走っても疲れることはない。
特にパワーがあるとか、回して面白いエンジンというわけではないのだが、非常に完成されている。オン、オフ、高速道路、どんなシチュエーションでも扱いやすく、ライダーに負担をかけないのがこのエンジンの最大の長所だ。
今回の試乗では、高速道路でクルマの流れをリードするくらいにペースを上げて走ってみたが、動力性能は十分。法定速度のレベルなら振動はほとんど感じないし、大きなスクリーンのおかげで体に当たる風も防がれる。250ccのオフロードモデルとは思えないほどに直進安定感も高い。ロングツーリングではとても頼もしい性格だ。
ただ、長時間の高速走行ではお尻が痛くなってしまった。ライダーにもよるが、この点が気になるようであれば、カスタムパーツの中から体にあったシートなどを探すといいだろう。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
ホンダの本気を感じられる
オンロードのハンドリングは独特だ。基本的には素直なのだが、直進状態からバンクさせようとするとバイクが勝手にゆっくりと倒れていき、ステアリングの舵角がついていくようなフィーリング。大きなカウルと容量の大きなタンクが装着されているからだろう。オンロードでは嫌な感じではないが、オフロードでどんなフィーリングになるのか気になるところだ。
今回のインプレッションでは、このマシンが得意とするオフロードでの走破性をテストすることはできなかったが、オンロードに限定した試乗でも、扱いやすさと動力性能が非常に高いことは確認できた。ハードなオフの走りを犠牲にすることなく、オンロードの走りをここまで高いレベルで実現させているのは素晴らしい。
250ccクラスにはいろいろなマシンがあるが、CRF250ラリーの持つ低速からトルクのあるエンジン特性と、高速巡航性能の高さは、オンロードモデルと比較してもまったく負けていない。大柄な車体とリラックスしたポジションは長距離のライディングでも疲れにくく、積載性も高い。もちろん、旅先でオフロードに出くわしても臆(おく)することなく踏み入っていける。もしもテスターが、荷物を満載してアドベンチャーな旅に出かけるマシンをミドルクラスから選ぶとしたら、400ccまで含めても、このマシンが第一候補になる。
しかし、CRF250ラリーの一番の魅力は、本気のつくり込みがなされたマシンでありながら、街なかでも気軽にライディングできること。ホンダが追いかけたラリーへの情熱を感じながら走るのは、ファンにとってこのうえない喜びなのである。
(文=後藤 武/写真=郡大二郎/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2230×920×1415mm
ホイールベース:1455mm
シート高:885mm
重量:152kg
エンジン:249cc 水冷4ストローク単気筒 DOHC 4バルブ
最高出力:24PS(18kW)/9000rpm
最大トルク:23N・m(2.3kgf・m)/6500rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:34.8km/リッター(WMTCモード)
価格:74万1400円

後藤 武
ライター/エディター。航空誌『シュナイダー』や二輪専門誌『CLUBMAN』『2ストマガジン』などの編集長を経てフリーランスに。エアロバティックスパイロットだった経験を生かしてエアレースの解説なども担当。二輪旧車、V8、複葉機をこよなく愛す。
-
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】 2026.1.14 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。
-
カワサキKLX230シェルパS(6MT)【レビュー】 2026.1.13 その出来には“セロー乗り”も太鼓判!? カワサキのトレイルバイク「KLX230シェルパ」に、ローダウン仕様の「シェルパS」が登場。安心の足つき性で間口を広げた一台だが、実際に走らせてみると、ストリートでも楽しめるオールラウンダーに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)【試乗記】 2026.1.12 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(FF/CVT)【試乗記】 2026.1.10 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジ。「見えない危険が……」のテレビCMでお茶の間をにぎわせているが、走る、曲がる、止まるをはじめとしたクルマ全体としての仕上がりはどうか。最上級グレードをテストした。
-
スズキDR-Z4S(5MT)【レビュー】 2026.1.7 スズキから400ccクラスの新型デュアルパーパスモデル「DR-Z4S」が登場。“Ready 4 Anything”を標榜(ひょうぼう)するファン待望の一台は、いかなるパフォーマンスを秘めているのか? 本格的なオフロード走行も視野に入れたという、その走りの一端に触れた。
-
NEW
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。 -
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】
2026.1.17試乗記BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。 -
新生ノートンがいよいよ始動! 名門の復活を担う次世代モーターサイクルの姿に迫る
2026.1.16デイリーコラム英国のモーターサイクル史にあまたの逸話を残してきた名門、ノートンが、いよいよ再始動! その数奇な歴史を振り返るとともに、ミラノで発表された4台の次世代モデルを通して、彼らが思い描く未来像に迫った。 -
第858回:レースの技術を市販車に! 日産が「オーラNISMO RSコンセプト」で見せた本気
2026.1.15エディターから一言日産が「東京オートサロン2026」で発表した「オーラNISMO RSコンセプト」。このクルマはただのコンセプトカーではなく、実際のレースで得た技術を市販車にフィードバックするための“検証車”だった! 新しい挑戦に込めた気概を、NISMOの開発責任者が語る。 -
ルノー・グランカングー クルール
2026.1.15画像・写真3列7座の新型マルチパーパスビークル「ルノー・グランカングー クルール」が、2026年2月5日に発売される。それに先駆けて公開された実車の外装・内装を、豊富な写真で紹介する。 -
市街地でハンズオフ運転が可能な市販車の登場まであと1年 日産の取り組みを再確認する
2026.1.15デイリーコラム日産自動車は2027年に発売する車両に、市街地でハンズフリー走行が行える次世代「ProPILOT(プロパイロット)」を搭載する。その発売まであと1年。革新的な新技術を搭載する市販車の登場は、われわれにどんなメリットをもたらすのか。あらためて考えてみた。
















































