新型発売でもお構いなし! 値下がり知らずの最強中古車
2021.08.25 デイリーコラム高止まりするランクル200
100年前のモノにはアンティークとして強烈な値段がつくことがあるが、数年から10年ぐらい前のモノというのは、基本的には単なる「中古品」。販売される場合の価格は新品よりは断然安く、なおかつ年々下がっていくのが一般的だ。
だがそれは、あくまでも「一般的だ」という話であり、例外はいくらでもある。
聞くところによれば、最近はロレックス製腕時計の中古品相場が爆騰しているそうだが、クルマの世界にも、それと似た話は数多く転がっている。
代表的なところでは「トヨタ・ランドクルーザー」だろう。
ご承知のとおり、この8月には「ランクル300」こと新型ランドクルーザーがデビューしたわけだが、その前身にあたる「ランドクルーザー200」の中古車相場が、今になってなぜか爆上がりしているのだ。
具体的には、新車時価格が524.7万円~697.4万円だったランクル200の中古車平均価格は、大手中古車情報サイトによれば、2021年8月下旬現在で562.6万円。
こちらはあくまでモデル全体の平均価格であり、売れ筋である最上級グレード「ZX」に絞った個別の中古車価格を見てみると、「走行数千kmレベルの2020年式=900万円ぐらい」「4万kmほど走った2016年式=720万円ぐらい」と、「100年前のアンティーク品」でもないのに、けっこうな高騰をみせていることがわかる。
新型が登場したにもかかわらず先代の相場が高騰している理由は、
- 新型はなんだかんだで4年待ちらしいので、すぐに乗れるキレイなランクル200の需要が高まった。
- 新型はなんだかんだでV6エンジンにダウンサイズされたので、豪快なV8エンジンを積むランクル200の人気が高まった。
- 新旧問わずいつでも高く売れるクルマなので(海外での需要も非常に高い)、いつだってランドクルーザーの中古車は高い。
といったあたりなのだろう。筆者も、もしもお金持ちであったならランクル300の「GRスポーツ」を注文し、それが納車される4年後(?)まで、走行数千kmで買ったランクル200の中古車を乗り回すはずだ。もちろん、そんなカネは持っていないわけだが。
代えが利かないという強み
トヨタ・ランドクルーザー以外の「値下がり知らずの中古車」といえば、「F355」などのV8ミドシップフェラーリがあるが、あれはちょっと特殊な選択ゆえにまるっと割愛するとして、一般的なところでは「スズキ・ジムニー」だろう。
現行型ジムニーの売れ筋グレードは最上級の「XC」で、その新車価格は5段MT車が177万6500円で、4段AT車が187万5500円。
それに対して中古車の平均価格は、前述の大手中古車情報サイトによれば226.3万円で、新車価格を完全に上回っている。
個別の中古車価格を具体的に見ると、昔で言う新古車、今の言葉で言う登録済み未使用車の「XC」が大体220万円で、新車価格より20万円~40万円ぐらい割高だ。
「でも、もう少し普通に使い込まれた中古車なら安いのでは?」と思って、最初期2018年式の走行3万kmぐらいのノーマル車を見てみても、「200万円ぐらい」というのが相場となっている。
ユーザーが販売店などに売却する際の価格はさておき、「売価」は3万kmぐらい走った中古車でも新車価格以上である――というのが、現行型スズキ・ジムニーの現状なのだ。
ちなみにその前の先代ジムニーの中古車相場も、現行型ほどではないが、普通に高い。平均価格は約85万円で、5万kmぐらい走った2015年式のノーマル車には150万円~200万円ぐらいのプライスボードが掲げられている。
ジムニーの中古車相場がここまで高い理由は、特に現行型の場合は「新車の納期がひたすら長いから、中古車に人気が集まった」というのがあるわけだが(相変わらず1年待ち以上とのこと)、それ以上に「代えが利かない存在だから」というのが一番の理由なのだろう。
「……ジムニーは妙に高いから、ほかのクルマにしようかな?」と思っても、ジムニーの代わりになり得るクルマは存在しない。それゆえ市場のメカニズムとして、その価格がどんどん上がってしまうのだ。
昨今、代えが利くコモディティー的人材の年収が頭打ち、あるいは減少となる一方で、「余人をもって代えがたい人材」のギャラがガンガン上がっているのと、メカニズムとしては同一である。
中古車の魅力ってなんだっけ?
そのほかでは「軽自動車」も全般的に値下がりしづらいジャンルであり、なかでも1番人気である「軽スーパーハイトワゴン」はなかなか値落ちしない。
軽スーパーハイトワゴンのなかでも特に人気が高い「ホンダN-BOX」の例で見てみよう。
その新車価格は142万8900円~215万2700円と、上級グレードはそもそもけっこう高いわけだが、前述した中古車情報サイトによる2021年8月現在の平均価格は148.7万円。
この148.7万円というのは「オンボロ過走行車」も「登録済み未使用車」も含めたうえでの数字であり、現実的な「狙い目の中古物件」に絞って考えると、実際の価格はもっと高くなる。走行3万km前後の2018年式が――グレードにもよるが――おおむね170万円ほどで、同グレードの5万kmほど使い込んだ2018年式でも、150万円前後にはなる。
ホンダN-BOXの中古車相場が下がらない理由は、「要するに人気が高いから」「庶民の暮らしに密着した軽自動車においては、少しでも安いモノ=中古車が欲しいと多くの人が思うから」といったあたりになるのだろう。
……が、個人的にはよくわからない。
中古車というのは確かに「車両価格の安さ」が魅力ではある。だが新車と中古車の価格がこれほど接近していると、わざわざ中古車を選ぶ意味はない――とまでは言わないが、「いっそ新車を注文したほうがいいんじゃないですか? N-BOXの場合は、新車で買って丁寧に乗れば、リセール時もかなり高い評価額になりそうですし……」とは思うのである。
だがそれは「余計なお世話」なので、筆者は何も言わないわけだが。
(文=谷山 雪/写真=トヨタ自動車、スズキ、本田技研工業/編集=藤沢 勝)
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