第45回:頼みの綱の民間療法
2022.05.20 バイパーほったの ヘビの毒にやられまして 拡大 |
漏るわ、滑るわ、雨とはいささか相性がよくないwebCG編集部員の「ダッジ・バイパー」。加えて電装系が気まぐれなのも頭痛の種だが、これら2つの悪癖に同時に襲われたら、持ち主はどんな窮地に立たされるのか? 春時雨の下で起きた事件の顛末(てんまつ)をリポートする。
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ホントに気持ち悪いんだって……
読者諸兄姉の皆さま、こんにちは。お天道さまのテンションの乱高下に、心身ともにぐったりなwebCGほったです。ある日の最高気温が27℃で、その次の日が16℃って、どういうことよ? 三寒四温もここまでくると気がめいるわ。
気がめいるといえば、ここのところのバイパーである。最近のきやつのご機嫌については前回触れたとおり。車検後の普段なら一番快調なタイミングのはずなのに、気難しいのもたいがいにしていただきたい。いつ爆発する(滑りだす)かわからない爆弾と化したクラッチもそうだが、それ以上に普段使いでなえるのが足まわり。というのも、以前にも記者を悩ませた“右流れ”が再発したのである。
症状は、ハンドルを真っすぐにしているとクルマが右にそれていってしまうというもので、直進したければ少し左に舵を切り続けなければならない。で、これが個人的にすごく気持ち悪いのだ。別にハンドルを見ていなくても、異形リムの感触やらパワステの反応やらで上述の不具合が知覚できてしまう。ああ、きしょい。きしょい(鳥肌)。
わがバイパーの主治医に相談したところ、原因は「車検で左後輪以外のガタが解消したことから、手つかずの箇所の不具合が顕著に出るようになったのでは?」とのこと。ガタを直してアライメントを調整すれば解消する……という診断であった。しかし、ガタの原因であるリアサスペンションのロッドは、Gen2のバイパーではすでに廃盤。Gen3以降のものを持ってきて締結部をGen2のそれと交換し、代用しようとあいなった。しかししかし、そのGen3バイパーの品にしても入庫は未定。手当てがいつになるかはわからないとのことである。ゆううつだが、当分はこの不具合とお付き合いするしかあるまい。
……と、ここまではお付き合いせざるを得ない不具合の話。こっから先は、マジでお付き合いなど看過できない不具合の話である。
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気分は平成歌謡界の偉人
そのトラブルが記者を襲ったのは、今から1カ月半ほど前、厳密には2022年4月3日のことだった。天気は雨で、じめじめと寒い一日だったと記憶している。
その日、3月中に2度ほど出張に使わされていた記者は(参照:その1、その2)、お土産片手に久々に実家に顔を出そうかと考えていた。東八道路沿いのコーナンで生活用品の買い出しを済ませた後、スマホで道程をチェック。首都高速が混んでいるっぽいし、時間をずらして出立しようと倉式珈琲店の駐車場にバイパーを潜り込ませた。で、クルマを降りて嫌な予感がしたときにはもう、きやつのドアは岩戸と化していた。オープナーのボタンを押しても無視で、リモコンキーの操作も受け付けない。要するに、車外に締め出されたのである。
何の予兆も感じさせぬ間の事案発生。あまりの鮮やかな手際に、しばし絶句である。次いで「……お前、この手のトラブル、マジで何度目だよ?」と心の中で毒づいた。存外に冷静なのは、ヤカンよろしくピーピー怒っても無駄だと心得ているから。それにキーさえ手元にあれば、最悪ドアを開けるだけはできるしね(写真A参照)。そんなことより、問題は今日の雨。傘がない。井上陽水も雨のなか締め出されて、あの歌詞を思いついたのだろうか。
なんてアホなことを思いつつ、取りあえず倉式珈琲店の軒下に避難。可能な範囲で問題の解決に取りかかる。まず疑わしきは、毎度おなじみ、リモコンキーの接触不良だ。しかしフタを閉め直しても、電池を入れ直してもダメ。次なる可能性は電池切れで……いやいや待て待て。去年の11月に交換したばっかだぞ。とはいえ電池が不良品だったという可能性もなきにしもあらずなので、ムダを覚悟で一応交換してみた。幸いにして(?)、倉式珈琲店と同じ敷地内に電気屋さんのノジマがあったので、そこで替えを調達。新しい電池で再度ポチっとしてみたが、やっぱりだめだった。万が一と思って電池を裏返してやってみても、せんないことであった。
頭の中をロードサービスの7文字がよぎる。本年は車検のときも世話になったが、まさか中2カ月で再び電話か? やってらんねえよ。そう嘆きつつバイパーを見やり、記者はようやくセキュリティーランプがついていないことに気がついた。
皆さんはあんまりマネしないように
さすがは修羅の国・アメリカの乗り物。安全装備は非常につつましやかなGen2バイパーだが、防犯装置はしっかりしていて、セキュリティーアラームやらイモビライザーやらがちゃんと付いていた。普段の駐車中は、キーロックと連動して前者が作動。ダッシュボード中央のインジケーターが点滅して「セキュリティー動いてるからね」と周囲に主張していたのだ。
それが、今は光っていない。警報装置が作動していないということだ。考えられる原因はおおむね2つで、キーロックが開いているか、あるいはクルマの電源が死んでいるかだ。今回の症状に照らし合わせると、前者だった場合はリモコンキーと運転席&助手席のドアオープナーが全部同時に故障したことになるが、さすがにそれは、ちょっと考えにくい。可能性は後者が濃厚で、そして後者が原因であれば、根拠のない荒療治だがひとつ解決策があった。
クルマの後方に回り、ガラスハッチを開ける。やはりアラームは発報しない。雨が入らないようハッチを半開きで押さえつつ、記者はキルスイッチのレバーをむんずとつかんでガチンと一度電源を切った。そしてしばし間をおいてから右にレバーを回し、電源を入れなおした。ぶーん……と方々に電気が回る音(というか気配)を感じつつ、リモコンキーの開錠ボタンを押す。バイパーはハザードを2、3度点滅させ、何事もなかったかのように「カギ、開いてますけど?」と記者に知らせてきた。
パソコンがおかしくなったら取りあえず再起動、テレビの映りがおかしかったら取りあえず空手チョップと同レベルの、まさに民間療法である。電気系の不具合ならキルスイッチでなんとかなるでしょってノリだったのだが(言うまでもなくキルスイッチの正しい使い方ではない)、状況が状況だけに、電源を入れる際は久々に天に祈った。
オープナーのボタンを押してドアを開け、キーをひねってエンジンを回す。どの行程にも不具合なし。やはり今回の問題は、ドアオープナーでもリモコンキーでもなく、クルマの電源に原因があったようだ。
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クルマにも厄年とかあるの?
アイドリングで周囲に生ガスをばらまきつつ、暖房をガンガンにかける。全窓を霜で真っ白にしながら、記者は車内でぶぜんとしていた。
何の前触れもなく突然電源が落ちるというトラブルは、過去に経験がない。今回は駐車中だったが、もし走行中に起きたらどうなっていたことか。コントロールが困難になるのはもちろんだが、ウインカーもブレーキランプもつかなくなるのだから、退避時に他車に突っ込まれることだってあったかもしれない。取りあえずしばらくは遠出を控え、バイパーの様子を見よう。無論、本日の帰郷は中止である。
後日、各界の識者に当トラブルについて相談したところ、「フランス車ではままあること」(←本当かよ?)、「ドアを閉めた拍子に、積み荷がキルスイッチのレバーに触れたのでは?」等の意見をもらった。前者はともかく、後者が本当だったら大山鳴動してなんとやらな恥ずかしい話だが、現状ではそれでも正直ありがたい。ただ、キルスイッチのレバーって結構しっかりしているし、コレクションズさん(記者のバイパーの主治医。車検&キルスイッチの敷設もやってくれた)も、ちょっと荷物が触れるぐらい想定のうちで荷室にスイッチを設置したんだろうしなあ……。
いずれにせよ、この問題も原因究明・問題解決のめどは立たず、今日に至っている次第。そしてゴールデンウイークの帰郷も、再発を恐れて高速道路ではなく下道で武蔵野-市川間を往復した次第である。
……なんというか、2022年に入ってからバイパーの運気が下がっている気がする。クルマにも厄年とかあるのか? 明治神宮か神田明神、谷保天満宮にでも行って、クルマ払いとかしてもらおうかしら?
(webCGほった<webCG“Happy”Hotta>)
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堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
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