ホンダが新型「シビック タイプR」を世界初公開 2022年9月に発売を予定
2022.07.21 自動車ニュース![]() |
本田技研工業は2022年7月21日、同年9月に発売予定の新型「シビック タイプR」を世界初公開した。
今まで以上に“速さ”と“楽しさ”を追求
ホンダの一部のモデルに設定されてきた「タイプR」シリーズは、モータースポーツでの知見を生かしたボディーやシャシー、パワートレインのチューニングを特徴とする、高性能スポーツグレードである。1992年に登場した「NSX-R」を起源とし、シビックでは1997年に初設定。以来、世界のライバルと“FF車最速”の座を競い合うハイパフォーマンスカーとして注目を集めてきた。新型はシビック タイプRとしては6世代目のモデルにあたり、2022年4月7日には鈴鹿サーキットで最終開発車両によるタイムアタックを実施。FF車最速のラップタイム(2分23秒120)を記録した(参照)。
新型のグランドコンセプトは「Ultimate SPORT 2.0」。ここには「Ultimate SPORT」を標榜(ひょうぼう)した先代のコンセプトをさらに突き詰めるという意味が込められており、タイプRシリーズの本質価値である動力性能の高さに加え、さらなるドライビングプレジャーも追求しているという。
具体的には、パワーウェイトレシオや最高速、最大横加速度などでFF車世界最高の性能を達成しつつ、パワフルでリニアな加速感や、クルマと一体感のある操舵応答性とステアフィール、マニュアルトランスミッションの優れた操作性とシフトの操作感、そして刺激的なエンジンサウンドにより、痛快なドライブフィールを実現。さらに高い走行安定性や、剛性感が高くダイレクトに利くブレーキ、精緻にフィットするドライビングポジションなどにより、ドライバーが確かな信頼を感じられるクルマとしているという。
目指すはFF車世界最高のパフォーマンス
パワーユニットは先代と同じく2リッターVTECターボエンジンで、ターボチャージャーのハウジング形状やファンの翼枚数、翼形状、翼径などを見直すことで、過給効率の向上とイナーシャの低減を実現。「高応答小型ターボの進化により、高出力・高レスポンスをさらに磨き上げた」と説明される。これに組み合わされるトランスミッションは6段MTで、重量を18%、慣性重量を25%低減した軽量フライホイールの採用により、レブマッチシステムのブリッピング速度を10%高速化(いずれも従来モデル比)。先代モデルでは対応していなかった、2速から1速へのシフトダウン時にも、エンジンの回転合わせができるようになった。
一方ボディーについては、高いダイナミクス性能を実現した11代目シビックをベースとしながら、構造用接着剤の塗布長を先代タイプR比で3.8倍まで増やすなどして、リアのねじり剛性を先代より15%増強。テールゲートは鉄製だったこれまでより約20%も軽量な樹脂製とした。また空力性能に関しては、ワイドな前後フェンダーをサイドパネルと一体化させることで、車両側面で発生する気流の乱れを低減。専用デザインのフロントバンパーやボンネット、フロントフェンダーダクト、サイドシルスポイラー、リアスポイラー、フロアの奥までつながったリアディフューザーなどにより、ダウンフォースの増強と好適なフロント/リアのリフトバランスを実現したとされる。
この車体を支えるサスペンションは、20mm幅広となった265/30ZR19サイズのタイヤに合わせてジオメトリーを最適化。より大きな駆動トルクも受け止められるよう改良が施されたほか、キャンバー剛性も従来比で16%向上しているという。ホンダはこのシャシーについて「ハイパワーエンジンに対応した究極のFFスポーツシャシー」と表している。
走りに関する装備も充実しており、足まわりには先代と同じく減衰力の調整が可能なアクティブダンパーシステムを採用。ドライビングモードには「コンフォート」「スポーツ」「+R」に加えて、カスタマイズモード「インディビジュアル」が新設され、エンジンや操舵機構、サスペンション、エンジンサウンド、レブマッチの制御やメーター表示を、個別に設定することが可能となった。
より洗練されたエクステリアデザインにも注目
このように先代のコンセプトを継承・進化させたダイナミクス性能に対し、車両のエクステリアデザインは、これまでとは一線を画すイメージでまとめられた。より伸びやかとなったベース車のプロポーションに加え、先代・先々代に見られたようなゴツゴツとしたディテールを排したことで、スリークでロー&ワイドなスタイリングを実現。ホイールもリムに段付きのない“リバースリム構造”を用いることで、「より深く立体的な見え方」を実現したという。
ボディーカラーは全5色で、タイプR伝統の専用色「チャンピオンシップホワイト」と「フレームレッド」「レーシングブルー・パール」「クリスタルブラック・パール」に加え、新色の「ソニックグレー・パール」が設定された。
一方インテリアは、ブラックとレッドのハイコントラストな配色が特徴で、フロアにもレッドカーペットを採用。高いサポート性と軽さを実現したフロントのスポーツシートには、背もたれに高い通気性とデザイン性を両立するハニカム状のパーフォレーションを施している。また高G状態での滑りを低減するべく、シート表皮には前後席ともにスエード調素材を採用。ステアリングホイールはアルカンターラ巻きで、アルミのセンターコンソールパネルやガンメタリックのエアアウトレットなどにより、独特の凄(すご)みや上質感を付与しているという。
新しい価値を提供するユニークな機能も
こうした製品そのものの特徴に加え、新型シビック タイプRではデータロガーアプリ「Honda LogR」もユニークな特徴として挙げられる。
このアプリでは3Dモーションとタイヤの摩擦円を表示する「パフォーマンスモニター機能」により、リアルタイムで自車の走行情報を確認できるほか、運転技能の向上につながる「スコアリング〔ランク&アドバイス〕機能」も搭載。コネクティッド機能も備わっており、走行映像をシェアしたり、他のドライバーとタイムを競ったりできるという。ホンダはこのデータロガーアプリを通し、「人と車の生活が“より豊かになる”価値を提供」するとしている。
このほかの詳細な機能・装備の設定や、最高出力をはじめとするスペック、価格等については、2022年9月の発売時にアナウンスされる予定だ。
(写真=荒川正幸/文=webCG 堀田)
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