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六角形グリルとコの字型ランプが消えた! 新型「スバル・フォレスター」のデザインはアリ?

2023.11.30 デイリーコラム 玉川 ニコ
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やぼったい雰囲気がいい?

既報のとおり2023年11月16日、ロサンゼルスオートショーにて新型「スバル・フォレスター」の米国仕様車が世界初公開された(参照)。公開されたのはあくまでも米国仕様であり、日本市場への導入については未定(未発表)とのことだが、まずはとにかく「大きな変貌を遂げた新型フォレスターのデザインはスバリストから見てアリかナシか?」という点に絞って論陣を張ってみたい。

結論から申し上げると、新型フォレスターのデザインは、自称スバリストである筆者から見て「大いにアリ!」である。これだったら、買ってもいいかなと思う。

とはいえ、新型フォレスターのデザインを手放しで「イイね!」と思っているわけでは決してない。

全体的なデザインとしては先代「フォード・エクスプローラー」の前期型と後期型を足して2で割った感じ……というか、どちらかといえば前期型に近いという印象で、2024年に登場するSUVとしてはほとんど新鮮味がない。また、スバルとしてはいろいろ頑張ったのだろうが、結論としては相変わらずやぼったい雰囲気であり、日本でいうと東京・港区かいわいとの親和性は低そうだ。

だが新型フォレスターはそれでいいのだ。というか、そこがいいのだ。

2023年11月16日(現地時間)に発表されたスバルの新型「フォレスター」(米国仕様車)。1997年にデビューした初代から数えて6代目にあたる。
2023年11月16日(現地時間)に発表されたスバルの新型「フォレスター」(米国仕様車)。1997年にデビューした初代から数えて6代目にあたる。拡大
「フォレスター」は北米市場におけるスバルの主力SUV。特に米国での人気が高く、これまでに260万台以上を販売したという。新型フォレスターのフロントフェイスからはスバル車でおなじみの六角形グリルとコの字型ヘッドランプが消え、大胆な変身を遂げた。
「フォレスター」は北米市場におけるスバルの主力SUV。特に米国での人気が高く、これまでに260万台以上を販売したという。新型フォレスターのフロントフェイスからはスバル車でおなじみの六角形グリルとコの字型ヘッドランプが消え、大胆な変身を遂げた。拡大
頑丈さや堂々とした存在感を重視したという「フォレスター」のエクステリアデザイン。ボディーサイズは全長×全幅×全高=4656×1829×1730mm、ホイールベース=2670mmで、5代目モデルとほぼ同等である。
頑丈さや堂々とした存在感を重視したという「フォレスター」のエクステリアデザイン。ボディーサイズは全長×全幅×全高=4656×1829×1730mm、ホイールベース=2670mmで、5代目モデルとほぼ同等である。拡大
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超おしゃれなスバル車は逆に恥ずかしい

考えてもみてほしい。もしもスバルが、アウディAGで辣腕(らつわん)を振るったドイツ人おしゃれデザイナー、ハンス・ディートヘルム氏あたりを高額なギャラで引き抜き(※筆者注:ハンス・ディートヘルム氏は架空の人物です)、「アウディQ4 e-tronスポーツバック」も真っ青なほどの超おしゃれクーペSUVをつくり、それを「次期型フォレスターでござい」と発表したら?

……スバリストとしては小っ恥ずかしくて正視することさえ難しく、何よりも「これじゃない感」を強く抱いてしまうだろう。

スバルのクルマは多少やぼったいぐらいでいいのだ。やぼったさに、ある種の安らぎを覚えるのだ。いや正確には単なるやぼったさではなく「機能に基づくやぼったさに感じ入る」といったニュアンスだろうか。

新型フォレスターにしても、テールゲートの角度をもう少し寝かせてアレしてやれば、なんとなくいま風のシュッとしたSUVっぽくはなるはずだ。しかしスバルというメーカーはそれをよしとせず、視界確保と荷室の本質的な使い勝手向上のため、やぼは承知でテールゲートを切り立たせる。そこが、いいのだ。

いや……スバルのもろもろを考えると、やぼであることはまったく自覚しておらず、むしろ「今回はかなりカッコいいSUVが出来上がったと思いませんか?」ぐらいに考えている可能性も否定できない。だがそこも含めて、スバルというブランドの“かわいさ”である。

傾斜を抑え荷室空間が十分に確保されたリアゲートのフォルムは、従来型を踏襲したもの。リアコンビランプ形状はもちろんのこと、左右を高い位置でつなぎ、ワイド感が強調されたデザインも新しい。
傾斜を抑え荷室空間が十分に確保されたリアゲートのフォルムは、従来型を踏襲したもの。リアコンビランプ形状はもちろんのこと、左右を高い位置でつなぎ、ワイド感が強調されたデザインも新しい。拡大
SUVらしい頑丈さと安心感を表現したとされるインストゥルメントパネルやセンターコンソールまわり。ダッシュボードの中央に11.6インチセンターインフォメーションディスプレイが配置される。
SUVらしい頑丈さと安心感を表現したとされるインストゥルメントパネルやセンターコンソールまわり。ダッシュボードの中央に11.6インチセンターインフォメーションディスプレイが配置される。拡大
シートには骨盤を支える内部構造を採用。仙骨を押さえることで車体の揺れが頭部へと伝わるのを抑制し、快適な乗り心地と乗員の疲労軽減に配慮しているという。
シートには骨盤を支える内部構造を採用。仙骨を押さえることで車体の揺れが頭部へと伝わるのを抑制し、快適な乗り心地と乗員の疲労軽減に配慮しているという。拡大
現行スバル車の多くに共通する独立した六角形グリルから、有機的な造形の大型グリルに変更。これが今後はスバルの新しい顔になるのだろうか?
現行スバル車の多くに共通する独立した六角形グリルから、有機的な造形の大型グリルに変更。これが今後はスバルの新しい顔になるのだろうか?拡大

“前任者”はあまりにも強烈

とはいえ物事には限度というものがある。多少やぼったいぐらいであれば何の問題もないわけだが、「極度にやぼったいデザイン」は、いかにスバル車愛好家とはいえさすがに御免こうむりたい。超おしゃれなスバル車に乗るのも小っ恥ずかしいが、極度にダサいスバル車に乗るのも、違う意味で小っ恥ずかしいからだ。

そして現行型フォレスターのデザインは、極度にやぼったい。

いや正確に言えば、2018年5月から2021年5月までの前期型のデザインは、さほどやぼったいものではなかった。普通のメーカーの普通のSUVと比べればやぼったいのだが、「スバルとしては通常運転」ぐらいのやぼ感だったのだ。それは歓迎すべきダサさである。

しかし2021年6月に登場した大幅改良モデルのフロントマスクは──この世のものとは思えないほど強烈にダサい。何をどうすればあのデザインを市販化するという判断に至るのか、筆者にはさっぱりわからないが、とにかく強烈である。

あれでは、現在「レヴォーグ」に乗っている筆者が仮に「次はもうちょい最低地上高が高いSUVにして、スノボでも始めてみようかしら?」と思っても購入検討対象には絶対にならず(本当はフォレスターの走りが大好きなのに!)、うっかり「ホンダZR-V」の「e:HEV」あたりに浮気しそうだ。

つまり新型フォレスター(米国仕様車)は“前任者”があまりにも強烈であったぶんだけ、まあまあ普通なデザインになったというだけで「アリ!」と思えてしまう存在なのである。

(文=玉川ニコ/写真=スバル/編集=櫻井健一)

米国市場では「Base」「Premium」「Sport」「Limited」「Touring」の5グレードを設定し、2024年春以降の導入を予定している新型「フォレスター」。「フロントフェイスがスバル車に見えない」との声も聞こえてくるが……。
米国市場では「Base」「Premium」「Sport」「Limited」「Touring」の5グレードを設定し、2024年春以降の導入を予定している新型「フォレスター」。「フロントフェイスがスバル車に見えない」との声も聞こえてくるが……。拡大
印象的なブロンズに塗られた「Sport」グレードのホイール。写真の車両は235/50R19サイズのタイヤを組み合わせている。トランスミッション、ブレーキなどをコントロールする4WDシステム「X-MODE」も搭載する。
印象的なブロンズに塗られた「Sport」グレードのホイール。写真の車両は235/50R19サイズのタイヤを組み合わせている。トランスミッション、ブレーキなどをコントロールする4WDシステム「X-MODE」も搭載する。拡大
60:40の分割可倒式リアシートバックを標準で採用。両方のシートバックを倒すと、荷室の有効スペースは74.4立方フィート(約2107リッター)になる。荷室床面の高さが低く広いリアゲートの開口部により、荷物の積み降ろしが容易だと紹介されている。
60:40の分割可倒式リアシートバックを標準で採用。両方のシートバックを倒すと、荷室の有効スペースは74.4立方フィート(約2107リッター)になる。荷室床面の高さが低く広いリアゲートの開口部により、荷物の積み降ろしが容易だと紹介されている。拡大
「スバルグローバルプラットフォーム」をさらに進化させ、フルインナーフレーム構造の採用や構造用接着剤の使用範囲拡大、サスペンション取り付け部の剛性強化などにより、従来型より高いレベルの動的質感を実現。最高出力180HPの2.5リッター水平対向4気筒エンジンが搭載される。
「スバルグローバルプラットフォーム」をさらに進化させ、フルインナーフレーム構造の採用や構造用接着剤の使用範囲拡大、サスペンション取り付け部の剛性強化などにより、従来型より高いレベルの動的質感を実現。最高出力180HPの2.5リッター水平対向4気筒エンジンが搭載される。拡大
玉川 ニコ

玉川 ニコ

自動車ライター。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、自動車出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。愛車は「スバル・レヴォーグSTI Sport R EX Black Interior Selection」。

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