六角形グリルとコの字型ランプが消えた! 新型「スバル・フォレスター」のデザインはアリ?
2023.11.30 デイリーコラムやぼったい雰囲気がいい?
既報のとおり2023年11月16日、ロサンゼルスオートショーにて新型「スバル・フォレスター」の米国仕様車が世界初公開された(参照)。公開されたのはあくまでも米国仕様であり、日本市場への導入については未定(未発表)とのことだが、まずはとにかく「大きな変貌を遂げた新型フォレスターのデザインはスバリストから見てアリかナシか?」という点に絞って論陣を張ってみたい。
結論から申し上げると、新型フォレスターのデザインは、自称スバリストである筆者から見て「大いにアリ!」である。これだったら、買ってもいいかなと思う。
とはいえ、新型フォレスターのデザインを手放しで「イイね!」と思っているわけでは決してない。
全体的なデザインとしては先代「フォード・エクスプローラー」の前期型と後期型を足して2で割った感じ……というか、どちらかといえば前期型に近いという印象で、2024年に登場するSUVとしてはほとんど新鮮味がない。また、スバルとしてはいろいろ頑張ったのだろうが、結論としては相変わらずやぼったい雰囲気であり、日本でいうと東京・港区かいわいとの親和性は低そうだ。
だが新型フォレスターはそれでいいのだ。というか、そこがいいのだ。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
超おしゃれなスバル車は逆に恥ずかしい
考えてもみてほしい。もしもスバルが、アウディAGで辣腕(らつわん)を振るったドイツ人おしゃれデザイナー、ハンス・ディートヘルム氏あたりを高額なギャラで引き抜き(※筆者注:ハンス・ディートヘルム氏は架空の人物です)、「アウディQ4 e-tronスポーツバック」も真っ青なほどの超おしゃれクーペSUVをつくり、それを「次期型フォレスターでござい」と発表したら?
……スバリストとしては小っ恥ずかしくて正視することさえ難しく、何よりも「これじゃない感」を強く抱いてしまうだろう。
スバルのクルマは多少やぼったいぐらいでいいのだ。やぼったさに、ある種の安らぎを覚えるのだ。いや正確には単なるやぼったさではなく「機能に基づくやぼったさに感じ入る」といったニュアンスだろうか。
新型フォレスターにしても、テールゲートの角度をもう少し寝かせてアレしてやれば、なんとなくいま風のシュッとしたSUVっぽくはなるはずだ。しかしスバルというメーカーはそれをよしとせず、視界確保と荷室の本質的な使い勝手向上のため、やぼは承知でテールゲートを切り立たせる。そこが、いいのだ。
いや……スバルのもろもろを考えると、やぼであることはまったく自覚しておらず、むしろ「今回はかなりカッコいいSUVが出来上がったと思いませんか?」ぐらいに考えている可能性も否定できない。だがそこも含めて、スバルというブランドの“かわいさ”である。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
“前任者”はあまりにも強烈
とはいえ物事には限度というものがある。多少やぼったいぐらいであれば何の問題もないわけだが、「極度にやぼったいデザイン」は、いかにスバル車愛好家とはいえさすがに御免こうむりたい。超おしゃれなスバル車に乗るのも小っ恥ずかしいが、極度にダサいスバル車に乗るのも、違う意味で小っ恥ずかしいからだ。
そして現行型フォレスターのデザインは、極度にやぼったい。
いや正確に言えば、2018年5月から2021年5月までの前期型のデザインは、さほどやぼったいものではなかった。普通のメーカーの普通のSUVと比べればやぼったいのだが、「スバルとしては通常運転」ぐらいのやぼ感だったのだ。それは歓迎すべきダサさである。
しかし2021年6月に登場した大幅改良モデルのフロントマスクは──この世のものとは思えないほど強烈にダサい。何をどうすればあのデザインを市販化するという判断に至るのか、筆者にはさっぱりわからないが、とにかく強烈である。
あれでは、現在「レヴォーグ」に乗っている筆者が仮に「次はもうちょい最低地上高が高いSUVにして、スノボでも始めてみようかしら?」と思っても購入検討対象には絶対にならず(本当はフォレスターの走りが大好きなのに!)、うっかり「ホンダZR-V」の「e:HEV」あたりに浮気しそうだ。
つまり新型フォレスター(米国仕様車)は“前任者”があまりにも強烈であったぶんだけ、まあまあ普通なデザインになったというだけで「アリ!」と思えてしまう存在なのである。
(文=玉川ニコ/写真=スバル/編集=櫻井健一)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

玉川 ニコ
自動車ライター。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、自動車出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。愛車は「スバル・レヴォーグSTI Sport R EX Black Interior Selection」。
-
ホンダが電動バイク用の新エンブレムを発表! 新たなブランド戦略が示す“世界5割”の野望 2025.11.14 ホンダが次世代の電動バイクやフラッグシップモデルに用いる、新しいエンブレムを発表! マークの“使い分け”にみる彼らのブランド戦略とは? モーターサイクルショー「EICMA」での発表を通し、さらなる成長へ向けたホンダ二輪事業の変革を探る。
-
キーワードは“愛”! 新型「マツダCX-5」はどのようなクルマに仕上がっているのか? 2025.11.14 「ジャパンモビリティショー2025」でも大いに注目を集めていた3代目「マツダCX-5」。メーカーの世界戦略を担うミドルサイズSUVの新型は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 開発責任者がこだわりを語った。
-
新型「シトロエンC3」が上陸 革新と独創をまとう「シトロエンらしさ」はこうして進化する 2025.11.13 コンセプトカー「Oli(オリ)」の流れをくむ、新たなデザイン言語を採用したシトロエンの新型「C3」が上陸。その個性とシトロエンらしさはいかにして生まれるのか。カラー&マテリアルを担当した日本人デザイナーに話を聞いた。
-
“Baby G”の開発状況は? 来日したメルセデスAMGの開発トップにインタビュー 2025.11.12 ジャパンモビリティショー2025の開催に合わせて、メルセデスAMGのCEOであるミヒャエル・シーベ氏が来日。自動車メディアとのグループインタビューに応じた。「コンセプトAMG GT XX」に込めた思いや電動化時代のAMGの在り方などを聞いてみた。
-
軽規格でFR!? 次の「ダイハツ・コペン」について今わかっていること 2025.11.10 ダイハツがジャパンモビリティショー2025で、次期「コペン」の方向性を示すコンセプトカー「K-OPEN」を公開した。そのデザインや仕様は定まったのか? 開発者の談話を交えつつ、新しいコペンの姿を浮き彫りにしてみよう。
-
NEW
ホンダ・ヴェゼルe:HEV RS(4WD)【試乗記】
2025.11.15試乗記ホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」にスポーティーな新グレード「RS」が追加設定された。ベースとなった4WDのハイブリッドモデル「e:HEV Z」との比較試乗を行い、デザインとダイナミクスを強化したとうたわれるその仕上がりを確かめた。 -
谷口信輝の新車試乗――ポルシェ・マカン4編
2025.11.14webCG Moviesポルシェの売れ筋SUV「マカン」が、世代交代を機にフル電動モデルへと生まれ変わった。ポルシェをよく知り、EVに関心の高いレーシングドライバー谷口信輝は、その走りをどう評価する? -
ホンダが電動バイク用の新エンブレムを発表! 新たなブランド戦略が示す“世界5割”の野望
2025.11.14デイリーコラムホンダが次世代の電動バイクやフラッグシップモデルに用いる、新しいエンブレムを発表! マークの“使い分け”にみる彼らのブランド戦略とは? モーターサイクルショー「EICMA」での発表を通し、さらなる成長へ向けたホンダ二輪事業の変革を探る。 -
キーワードは“愛”! 新型「マツダCX-5」はどのようなクルマに仕上がっているのか?
2025.11.14デイリーコラム「ジャパンモビリティショー2025」でも大いに注目を集めていた3代目「マツダCX-5」。メーカーの世界戦略を担うミドルサイズSUVの新型は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 開発責任者がこだわりを語った。 -
あの多田哲哉の自動車放談――フォルクスワーゲン・ゴルフTDIアクティブ アドバンス編
2025.11.13webCG Movies自動車界において、しばしば“クルマづくりのお手本”といわれてきた「フォルクスワーゲン・ゴルフ」。その最新型の仕上がりを、元トヨタの多田哲哉さんはどう評価する? エンジニアとしての感想をお伝えします。 -
新型「シトロエンC3」が上陸 革新と独創をまとう「シトロエンらしさ」はこうして進化する
2025.11.13デイリーコラムコンセプトカー「Oli(オリ)」の流れをくむ、新たなデザイン言語を採用したシトロエンの新型「C3」が上陸。その個性とシトロエンらしさはいかにして生まれるのか。カラー&マテリアルを担当した日本人デザイナーに話を聞いた。









































