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第778回:クルマの開発者が語る、四輪と二輪の「近くて遠いテクノロジー」

2024.03.28 エディターから一言 多田 哲哉
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トヨタのエンジニアとして、FRスポーツカー「86」をはじめとするさまざまなクルマを開発してきた多田哲哉さん。長年にわたる経験と知識を生かし、『webCG』で「あの多田哲哉の自動車放談」「あの多田哲哉のQ&A」を連載中。
トヨタのエンジニアとして、FRスポーツカー「86」をはじめとするさまざまなクルマを開発してきた多田哲哉さん。長年にわたる経験と知識を生かし、『webCG』で「あの多田哲哉の自動車放談」「あの多田哲哉のQ&A」を連載中。拡大

「86」をはじめトヨタでさまざまな車両を開発してきた多田さんは、相棒となる“最後のガソリンエンジン車”を検討するなかで、クルマとバイクの技術的な違いをあらためて考えさせられたという。それは、どのようなことなのか?

多田さんの最後の海外出張はフランス。文中にあるとおり、「トヨタGRスープラ」(MT仕様車)の最終セッティングを行うためだった。同モデルはそれから2年半後の2022年秋に国内で発売されている。
多田さんの最後の海外出張はフランス。文中にあるとおり、「トヨタGRスープラ」(MT仕様車)の最終セッティングを行うためだった。同モデルはそれから2年半後の2022年秋に国内で発売されている。拡大
山中にたたずむ、多田さんの“ついのすみか”。現在クルマは2台で、ガレージにはSUVのPHEVと軽トラがおさまっている。ここに理想のガソリンエンジン車が加わる日も近い!?
山中にたたずむ、多田さんの“ついのすみか”。現在クルマは2台で、ガレージにはSUVのPHEVと軽トラがおさまっている。ここに理想のガソリンエンジン車が加わる日も近い!?拡大

ラストにベストな一台を

私は2021年にトヨタ自動車を退職した。車両開発中心の仕事だったのが、還暦を過ぎてからは世界中のトヨタのスポーツカーファンとの交流イベントへの参加も増えていき、あちこち出張する日々が続いていた。

最後の海外出張は2020年の年初、フランスのマルセイユ近郊にあるBMWのテストコースだったと記憶している。ここは四輪と二輪の開発車両が入り交じって走っているユニークなテストコースで、「GRスープラ」(MT仕様車)の最終セッティングに赴いたのだった。時はまさにコロナ渦が世界にまん延し始めた頃で、その後のイベントの予定がすべてキャンセルになった。

まあこの騒動も、しばらくすればおさまって世界中のクルマ好きとまた会えるものと最初は気楽に考えていたが、おさまるどころかどんどんとんでもないことになっていったのは、皆さまご存じのとおりである。

そんな日々のなか、退職後に、山の中でのエネルギー自給を目指したついのすみかを建てた。可能な限り自然と共生した暮らしに移行しながら、ついのクルマ探しを今後の楽しみの柱にすることを、第2の人生に選んだのだ。在職中の“仕事で関わるクルマ”から完全に切り離された、自分のためだけのクルマ選びはことのほか楽しくて、日々飽きることなく、あーでもない、こーでもないといった調子で情報集めに精をだした。

二輪の進化は見逃せない

そこで感じたのは「いよいよこれが、ガソリンエンジンを手に入れられるラストチャンスか?」ということだ。それなら、化石燃料をなるべく使わずに暮らしている備蓄分(?)で、趣味のクルマに関してはガソリンを燃やすわがままを許してもらおう……という魂胆である。

ところが調べれば調べるほど、全世界の自動車メーカーはもはや本気でガソリンエンジン車に開発投資をしていないことがはっきりしてきた。魅力ある技術や優秀なエンジニアがガソリン車開発に投入されていないのだ。

一方で二輪の世界を眺めると、まだまだガソリンエンジン車が中心で、車体やハイテク装備の進化も目覚ましい。そこで四輪だけでなく、二輪も含めての「ついのガソリンモビリティー選び」とすることにした。

その当時私が持っていたライセンスは、いわゆる普通二輪免許。400ccまでのバイクしか乗れない。これでは選択肢が大きく限られるので、まずは大型二輪免許を取りに行くことから始めた。

この教習所通いの経験がその後のついのモビリティー選びにいろいろと役立った。若い頃のように体力任せで大きなバイクを操れないので、世界中を走り回った四輪車の運転経験を二輪に生かせばスムーズに免許を取得できるはずだと思った。タイヤが4つなのか2つなのかの違いなのだから、その運転は共通項が多いはず……。メカニズム的にもまあ似たり寄ったりの原理で走っているものだろうと勝手に想像していた。

ところが、実際に二輪車に乗る機会が増えるほど、そしてそれまでしっかり読んだことがなかったバイクの雑誌やウェブサイトの記事をチェックすればするほど、両者の際立った違いと意外な近さがわかってきた。そこで、皆さまの興味がより広がるような“両者の近くて遠い関係”を紹介できたらと思いたった次第だ。

クルマ好きがガソリンエンジン車を楽しめる期間もいよいよ先が見えてきたと語る多田さん。古巣トヨタのプレミアムブランドであるレクサスは「2035年にはグローバルでBEV100%化」を宣言しており、HEV、PHEV、BEVを含む2023年の“電動化比率”はグローバルで47%に達している。
クルマ好きがガソリンエンジン車を楽しめる期間もいよいよ先が見えてきたと語る多田さん。古巣トヨタのプレミアムブランドであるレクサスは「2035年にはグローバルでBEV100%化」を宣言しており、HEV、PHEV、BEVを含む2023年の“電動化比率”はグローバルで47%に達している。拡大
バイクの世界は、まだまだガソリンエンジン車が主流であり、各ブランドからさまざまな新型車の提案が見られる。写真は「経験豊かなベテランライダーが主なターゲット」というホンダのロードスポーツ「ホーク11」。排気量1082ccというこのモデルを含め、二輪の世界は大型二輪免許を取得することで選択肢がうんと広がる。
バイクの世界は、まだまだガソリンエンジン車が主流であり、各ブランドからさまざまな新型車の提案が見られる。写真は「経験豊かなベテランライダーが主なターゲット」というホンダのロードスポーツ「ホーク11」。排気量1082ccというこのモデルを含め、二輪の世界は大型二輪免許を取得することで選択肢がうんと広がる。拡大
2023年10月に発売された、ヤマハのスポーツツアラー「トレーサー9 GT+」。アダプティブクルーズコントロールやブレーキの自動制御システムといった、先進運転支援システムが搭載されている。
2023年10月に発売された、ヤマハのスポーツツアラー「トレーサー9 GT+」。アダプティブクルーズコントロールやブレーキの自動制御システムといった、先進運転支援システムが搭載されている。拡大

「操作の先」がまるで違う

まずは操作系。どちらもハンドル、アクセル、ブレーキを操作して運転するのは言うまでもない。シフト操作は、二輪ではMT主体。ホンダはDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を選べる唯一のバイクメーカーだ。“エンスト即転倒”のリスクが高い二輪においてDCT化は魅力的だが、以前「アフリカツイン」のDCT仕様車に試乗してみたところでは、シフトショックや変速プログラムの点で、最新の四輪に比べて一周遅れの感が否めなかった。最近発表された2024モデルの「ホンダCRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES」は、大きく進化していることだろう。

ブレーキの操作は大きく異なる。二輪のブレーキは前後別々に操作可能、つまり前後のブレーキバランスを運転者がコントロールできるのだ。なぜ四輪はブレーキを前後別に操作できるようになっていないのか? それは、リアタイヤがロックすると即スピンにつながるから。ABSが普及するまでの四輪車のリアブレーキは、ほんの少ししか利かせないセッティングなのが普通だった。フロントがロックしたら操舵は利かなくなるものの、真っすぐ進むのでスピン挙動よりは安全、というのが一般的な解釈なのだ。

かたや二輪はリアタイヤがロックしてもコントロールの余地があるが、フロントタイヤがロックすると即転倒である。これは四輪のスピンよりはるかに危険なわけで、二輪車はフロントタイヤがグリップを失うことが最大の危機といえる。そしてこの事実がフロントサスペンションの構造に大きく影響している。ほとんどの二輪車は「テレスコピックフォーク」と呼ばれる、2本の筒でフロントタイヤを挟んだアームを介して、路面の凹凸にスムーズに追従することを最優先させた構造になっている。

しかしこれは制動時の姿勢変化等には全く無力で、ブレーキ、アクセルを繰り返すとバイクはなんとも不快な“ぎっこんばったん”を繰り返す。四輪のサスペンションの多くはロアアーム、またアッパーにもアームを配置したリンク構造が普通で、路面からのショックとブレーキング時の入力を分離してピッチングを減らすよう工夫するのが普通なのに。

もっとも、バイクメーカーのすべてがこのピッチング解消を諦めているわけではない。BMWなど数社の二輪のバリエーションのなかには、フロントサスペンションにも四輪のロアアームのようなリンク機構を使って路面の凹凸を吸収しつつ、ピッチングを抑える構造としているものもある。しかし、ブレーキングによるノーズダイブを好む二輪ライダーもいるらしいから話は複雑だ。

二輪の世界は、スクーターを除けばまだまだMT車がメイン。とはいえ、AT(DCT)搭載モデルは徐々に増えつつある。写真はホンダの「レブル1100 Dual Clutch Transmission」で、その名のとおりDCTを介して変速を行う。
二輪の世界は、スクーターを除けばまだまだMT車がメイン。とはいえ、AT(DCT)搭載モデルは徐々に増えつつある。写真はホンダの「レブル1100 Dual Clutch Transmission」で、その名のとおりDCTを介して変速を行う。拡大
東京モーターサイクルショー2024の会場で国内初公開された、最新の「ホンダCRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES デュアルクラッチトランスミッション」。従来モデルに対しては、発進特性と極低速域のコントロール性の向上を目的に、DCTの制御が変更されている。2024年3月21日発売。
東京モーターサイクルショー2024の会場で国内初公開された、最新の「ホンダCRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES デュアルクラッチトランスミッション」。従来モデルに対しては、発進特性と極低速域のコントロール性の向上を目的に、DCTの制御が変更されている。2024年3月21日発売。拡大
バイクのフロントまわりは、前輪とそれをはさみこむ円筒形のサスペンション(テレスコピックフォーク)で構成されている。シンプルな構造で強度にも優れるが、加減速時に車体の姿勢変化を招くという特性もある。
バイクのフロントまわりは、前輪とそれをはさみこむ円筒形のサスペンション(テレスコピックフォーク)で構成されている。シンプルな構造で強度にも優れるが、加減速時に車体の姿勢変化を招くという特性もある。拡大
BMWの一部モデルには、2本のフロントフォークと車体をロアアームでつなぎ、そこにショックアブソーバーを設けた「テレレバー」なるフロントサスが採用されている。これにより、制動時のノーズダイブ(前のめり)を抑制する。
BMWの一部モデルには、2本のフロントフォークと車体をロアアームでつなぎ、そこにショックアブソーバーを設けた「テレレバー」なるフロントサスが採用されている。これにより、制動時のノーズダイブ(前のめり)を抑制する。拡大

真逆の開発アプローチ

二輪は“バンクさせる乗り物”であり、これをいかに積極的に楽しむか、楽しめるようなメカニズムを提供していけるかが決め手だ。これこそ四輪にない大きな特徴であり利点でも弱点でもある。四輪車もコーナーでは遠心力で車体が傾きタイヤの接地角度が変わるのだが、クルマづくりのアプローチはバイクのそれとは真逆で、いかに車体ロールを減らすか、もしくはロールしてもタイヤの接地角度をなるべく水平に保つようにするかを念頭に、メカニズムの研究開発を続けてきた乗り物だ。

さらに二輪では、トラクションコントロールも含め、前後左右のGセンサーに加えてバンク角まで検知できる6軸センサーを搭載している市販車が少なくない。これを使って四輪よりかなり複雑な制御をやれるわけだ。この6軸センサーで得られる効果は多様で、例えばバンク角によってヘッドライトの照射を変えたり、前後サスペンションの減衰コントロールでピッチングを抑えたり。四輪では一時盛り上がったもののあまり普及しなかった、いわゆる「アクティブサスペンション」も各社のハイエンドバイクに普通に搭載され、市販されている。

ハンドル操作にも目を向けてみよう。四輪車では、軽快に意のままに走ることを表すのに、「ハンドリングがいい!」という表現がよく使われる。まさに万能の、ジャーナリストの神ワードである。ハンドルを切った時の自動車の動きは、ドライバーの意思にどれだけ忠実か? 自動車評論家は、ハンドル操舵をしたドライバーの感じる手応え、フィーリングをさまざまな表現で読者に伝えようと最大限の努力をする。まさに評価の力量が問われるキーポイントなのだ。

自動車メーカーもそのへんはよくわかっていて、開発の過程で、特にスポーツモデルはハンドルの切れ味と挙動にさまざまな評価指標を設定して、大変重要な要素として位置づけている。なぜか? 四輪車では、二輪車のようにドライバーが自ら車体を傾ける操作ができないから。つまりハンドル操作が唯一クルマの向きをコントロールできる操作なので、自(おの)ずとここにユーザーの注目が集まるわけだ。

二輪のライディングにおいては、ライダーは車体をコーナー内側に傾かせ、その重力と遠心力とのバランスをとりながらコーナリングを行う。
二輪のライディングにおいては、ライダーは車体をコーナー内側に傾かせ、その重力と遠心力とのバランスをとりながらコーナリングを行う。拡大
四輪のコーナリングに対するアプローチは二輪とは逆。車体のロールをいかにして減らすか、あるいはロールしてもタイヤの接地角度を水平に保てるかが、研究開発の課題だった。
四輪のコーナリングに対するアプローチは二輪とは逆。車体のロールをいかにして減らすか、あるいはロールしてもタイヤの接地角度を水平に保てるかが、研究開発の課題だった。拡大
スポーツモデルをはじめ、近年のバイクには6軸IMU(Inertial Measurement Unit)が搭載され、高精度な車体姿勢制御が可能となっている。写真はそのひとつであるホンダのスーパースポーツ「CBR1000RR-RファイアブレードSP」。
スポーツモデルをはじめ、近年のバイクには6軸IMU(Inertial Measurement Unit)が搭載され、高精度な車体姿勢制御が可能となっている。写真はそのひとつであるホンダのスーパースポーツ「CBR1000RR-RファイアブレードSP」。拡大

地味だけれども大事なポイント

ところが二輪車の雑誌では、ハンドルを切った時のフィーリングや動きの正確さについての評論家のコメントを見たことがない。

バイクを曲げたい時は、まず車体をバンクさせる。ライダーが体を使って曲がりたい方向にバイクを傾けるとハンドルが自然に、というか勝手に同時に切れていく。つまり、自らハンドルを切っている意識が極めて薄いのだ。結果として、ハンドルの切れ味や正確な動きという、非常に重要な性能が注目されていない。

では二輪車については、ハンドリングの良しあしはないのかというと、その差は実は顕著だ。それを実感しやすいのは極低速走行時である。

二輪はゆっくり走るとジャイロ効果が減って、思うように走らせるのが難しくなる乗り物だ。教習所でも難題の一本橋走行や信号待ちの停車直前、ゆっくり停止線に向かっている時に、ハンドルで微修正してバイクを安定させるが、ここでその正確さやフィーリングの善しあしは実感しやすい。ハンドリングの良いバイクなら教習所の一本橋も実は楽勝でクリアできるということだ。

むろんスピードを上げて大きくバンクさせて走っている時も、ライダーは意識していないものの、ハンドル系の正確さ(ステアリング系の剛性)がバイクのライントレースの正確さに大きく影響してくる。それは、地味だけれど最近のバイクの注目すべき進化ポイントでもある。

バイクで自分の思い描くコーナリングラインを走れないとお悩みのあなた。自分のテクニックが足りないからだと思い込むのは間違いで、愛車のフロントサスペンションやハンドルジオメトリー、剛性にもっと興味を持ったほうがいいかもしれない。

コーナリング中のバイクのハンドルは、「ライダーが切る」のではなく、車体の動きに合わせて「勝手に切れる」もの。一部のスポーツモデルには、路面からの外乱や振動を低減しハンドリングを安定させる「ステアリングダンパー」が備わる。
コーナリング中のバイクのハンドルは、「ライダーが切る」のではなく、車体の動きに合わせて「勝手に切れる」もの。一部のスポーツモデルには、路面からの外乱や振動を低減しハンドリングを安定させる「ステアリングダンパー」が備わる。拡大

エンジンにも違いがある

以上、ブレーキとハンドルについて四輪と二輪の違いに着目してみたが、エンジンについてもいろいろと考え方の違いがある。

例えば、四輪では高級なスポーツモデルにしか採用されないオイルの「ドライサンプ方式」。急旋回時の強烈な横Gでオイルが偏ってエンジンが潤滑不良におちいるのを防ぐ潤滑方式なのだが、エンジンのコンパクト化と低重心化の観点から、二輪では多くの普及モデルにも採用されている。

低重心化については、「トヨタ86」の開発に際しても、それがもたらすさまざまな走りのメリットを伝えたのだが、バイクの世界でもこのワードはよく耳にする。低重心だと走りが軽快になるとか、取り回しの際にさほど重量を感じさせないとか……。なるほど、それは一理ある。

ところが、水平対向2気筒のボクサーエンジンを搭載し低重心なバイクの代名詞的存在となっているBMWの「R」シリーズでは気になることもある。初期のボクサー搭載BMWはまさにウルトラ低重心だったのに、モデルチェンジのたびにエンジンの搭載位置が少しずつ上がっているのだ。二輪車の重心は、低ければ低いほど良い! というほど単純ではない。「なにそれ?」と思われるだろうが……。二輪と四輪には、まだまだたくさん不思議な違いや意外な共通点がある。それはまた、機会があれば順次お伝えしたい。

ところで、お前はついのガソリンモビリティーに何を選んだのかって? ようやく決めることはできたものの、いまだ手元に届かず。いわゆる納車待ちってやつですね。そいつがわが家にやってきたら、じっくり眺めて、乗って楽しんで、詳しく調べて、紹介してみたいと思っています。どうぞお楽しみに。

(文=多田哲哉/写真=トヨタ自動車、本田技研工業、ヤマハ発動機、BMW、KTM、トライアンフ、多田哲哉、郡大二郎、荒川正幸、webCG/編集=関 顕也)

コーナリングフォースでエンジンオイルが偏り潤滑不良とならないよう、またエンジン自体をコンパクト化するために、一部の高性能車には“ドライサンプ”と呼ばれる潤滑方式が採用されている。四輪よりも二輪の世界で採用例が多い。
コーナリングフォースでエンジンオイルが偏り潤滑不良とならないよう、またエンジン自体をコンパクト化するために、一部の高性能車には“ドライサンプ”と呼ばれる潤滑方式が採用されている。四輪よりも二輪の世界で採用例が多い。拡大
BMWの二輪モデルに搭載される、伝統の水平対向2気筒エンジン。重量のかさむシリンダーおよびシリンダーヘッドを低い位置に“寝かせる”ため、車体の重心も低くなる。四輪の世界では、ポルシェやスバルなどが水平対向エンジンの採用メーカーとして知られる。
BMWの二輪モデルに搭載される、伝統の水平対向2気筒エンジン。重量のかさむシリンダーおよびシリンダーヘッドを低い位置に“寝かせる”ため、車体の重心も低くなる。四輪の世界では、ポルシェやスバルなどが水平対向エンジンの採用メーカーとして知られる。拡大
機械的なシンプルさとデザインの美しさゆえに、いまだに空冷エンジンが使われているというのも、四輪にはない二輪の特徴といえるだろう。写真は、ハーレーダビッドソンの1977cc空冷Vツイン「ミルウォーキーエイトVVT121」エンジン(展示用カットモデル)。
機械的なシンプルさとデザインの美しさゆえに、いまだに空冷エンジンが使われているというのも、四輪にはない二輪の特徴といえるだろう。写真は、ハーレーダビッドソンの1977cc空冷Vツイン「ミルウォーキーエイトVVT121」エンジン(展示用カットモデル)。拡大
多田 哲哉

多田 哲哉

1957年生まれの自動車エンジニア。大学卒業後、コンピューターシステム開発のベンチャー企業を立ち上げた後、トヨタ自動車に入社(1987年)。ABSやWRカーのシャシー制御システム開発を経て、「bB」「パッソ」「ラクティス」の初代モデルなどを開発した。2011年には製品企画本部ZRチーフエンジニアに就任。富士重工業(現スバル)との共同開発でFRスポーツカー「86」を、BMWとの共同開発で「GRスープラ」を世に送り出した。トヨタ社内で最高ランクの運転資格を持つなど、ドライビングの腕前でも知られる。2021年1月に退職。

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