【ニューモデル情報】スマートはビッグサイズのモデルになる! 「スマート・コンセプト#5」の全情報
大物になる予感 2024.05.28 アウトビルトジャパン スマートはついに、XXLサイズのモデルになった! 新型車「コンセプト#5」で、このカルトなブランドは、かのメルセデス・ベンツをも凌駕(りょうが)しつつ都会から飛び出すことになる。※この記事は「AUTO BILD JAPAN Web」より転載したものです。
とにかく大きなスマート
コンセプト#5と比べると、大きいといわれる新型「MINIカントリーマン」でさえ本当の“ミニ”に見えてくる。というのも、北京で開催されたモーターショーでコンセプト#5がベールを脱いだとき、吉利汽車との合弁で中国に進出するメルセデス帝国のマイクロブランドは、最大規模にまで成長していたからだ。
ハンバッハでの「フォーツー」の生産を終了し、ミニマムモビリティーのルーツを断ち切ったばかりだというのに、彼らは今、地球の裏側で、これまでで最大のモデルへの欲求を刺激している。全長4.75m。「メルセデス・ベンツGLC」よりも高くそびえ立つ姿を披露しているのだ。これでようやく、シティーカー問題に終止符が打たれたことになる。
「四半世紀以上にわたって、スマートはアーバンモビリティーと都市交通における賢いソリューションの象徴でした」とCEOのディルク・アデルマン氏は振り返る。「したがって、コンセプト#5はおそらく、私たちのブランドがこれまでデザインしてきたなかで、最も驚くべき、そして同時に最も汎用(はんよう)性の高いクルマです。私たちはあらゆる境界を取り払い、ヨーロッパをはじめとする世界中のお客さまに向けて、新しいセグメントを切り開こうとしています」と述べた。
デザイナーは、郊外だけでなく大草原や荒地にも似合うこのクルマのルックスで、ブランドそのものが大都市や都市環境のジャングルから田舎へと移動しているという事実を強調している。この5人乗りモデルの、巨大なアンダーライドガードを備えたフロントエンドはワイドでたくましく、ホイールアーチは巨大で、リアエンドは角張っている。
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コンセプトは現実に
ホイールベースが約3mもあるため、室内は広く、リアシートにゆとりがあるだけでなく、従来のスマートの基準とはかけ離れた容量のラゲッジルームも確保されている。
「これまでと違う」というのは、品質にも当てはまる。従来のスマートは常にチューインガムの自動販売機のようだったが、現在のコンセプトはラッカーとレザーの息吹を感じさせ、シュトゥットガルトの親ブランドにも決して劣らない。唯一の違いは、GLCには折り畳み式のレッグレストを備えた助手席がないことくらいだ。
その逆もある。最新の電子装備となると、次期「CLA」用のMBUXでさえほこりっぽく見える。2つの巨大なOLEDディスプレイがコックピットを飾り、AMD高速プロセッサーが、人工知能がChatGPT並みの会話脳力と理解力を持つスマートボットを動かすのだ。
800Vテクノロジーは驚異的な急速充電(15分で0-80%まで)を保証し、容量100kWhを超えるバッテリーは550km以上の航続距離を可能にする。これなら、都会から飛び出して田舎に出かけるにも十分だろう。
コンセプト#5にはまだ“コンセプト”の名が冠されている。しかし、欧州のボスであるディルク・アデルマン氏は、この接頭辞がもうすぐ消えることに疑いの余地はないとしている。コンセプト#5は2024年中に中国で発売され、2025年には中国全土に導入される予定だ。「そして、『#1』以来私たちが期待していただいているように、変更点は驚くほどわずかで」と、アデルマンはほのめかす。
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価格次第では脅威となる
砂漠はウィーンやヴッパータールから遠く離れているため、冒険用の衣装の一部を脱ぎ捨てなくてはならない、という可能性は十分にある。また、イルミネーション付きのブランチディフレクターは、おそらく中国における認可のハードルを越えられないだろう。しかし、例えばタイヤ空気圧のデジタル表示や、ルーフラックのライトシグネチャー、スワロフスキークリスタルにインスパイアされたというドアの輝きにはチャンスがある。
そんなコンセプト#5は、他の追随を許さない価格でも驚きを与えるだろう。もちろん、3万7490ユーロ(約630万円)からスタートする#1よりもかなり高価になるに違いない。しかし、もしアデルマン氏が5万ユーロ(約850万円)を大きく下回るエントリーレベルの価格を実現できれば、メルセデスの「EQA」と「EQB」が値崩れするだけでなく、新型「EQC」もその魅力を失うことになるだろう。
スマートは依然としてメルセデスを注視する必要がある。メルセデスがスマートを見守っているように。中国の親戚もまだ同じショールームにいる。スマートはそのXXLサイズモデルで、「Aクラス」などの離脱によって消えるメルセデスのローエンドを埋めるのだ。
そして、#5は大きすぎるという人たちのために、アデルマン氏は「より小さなスマート」というささやかな希望を残している。彼らは今、田舎に進出しているからといって、都会でのシェアを競争相手に譲りたくはないのだ。
(Text=Thomas Geiger/Photos=Smart)
記事提供:AUTO BILD JAPAN Web(アウトビルトジャパン)
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AUTO BILD 編集部
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