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【Casa e Garage】理想のガレージ CASE1 | ARK HOUSE 井の頭

クルマを愛する建築の専門家は、こんなガレージライフを提案する。 2024.07.16 Casa e Garage 2024 SUMMER サトータケシ 日本ビルディング経営企画の代表取締役社長を務める千葉正胤氏は、貴重なモデルをコレクションするエンスージアストとしても知られる。ご自身の経験と趣味を注ぎ込むと、どんなガレージが出来上がるのか。同社が企画した物件から、理想のガレージについて考えた。
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建築とクラシックカーの専門家

理想のガレージを考えるにあたっては、やはり建築の専門家の意見を仰ぎたくなる。いっぽうで、愛車のコンディション維持などについては、エンスージアスト的視線も必要になってくる。

そこで、設計・建築の知見があり、クラシックカー愛好家のこだわりを理解する人物として、株式会社日本ビルディング経営企画で代表取締役社長を務める、千葉正胤氏を訪ねた。

同社の事業の柱は、スタイリッシュな建物を企画・建築し、不動産貸付業を行うことだ。事業用物件だけでなく、豊富な経験に基づき、住居やガレージハウスのプロデュースや、コンサルタント業務も行っている。

千葉さんがどれほどのクルマ好きなのかは、撮影用に用意してくださった愛車をご覧いただけば、一目瞭然だろう。「フィアット・アバルト750ザガートGT」に「アルファ・ロメオ8C」……。「ジュリア」の「TIスーパー」は、『CG classic』で取材をさせていただいことがあるから、誌面を記憶している読者もいるかもしれない。

ガレージを考えるにあたっての具体例として、日本ビルディング経営企画が手がけた「ARK HOUSE 井の頭」を案内していただく。京王井の頭線の三鷹台駅から徒歩で約5分。その賃貸物件は、武蔵野の面影を残す静かなエリアに位置していた。

ついクルマに目を奪われてしまうけれど、タイルの素材と色や照明などに、こだわりが見て取れる。
ついクルマに目を奪われてしまうけれど、タイルの素材と色や照明などに、こだわりが見て取れる。拡大
エントランスに手間暇をかけて職人が加工したステンレスを用いるなど、日本ビルディング経営企画は、丁寧にデザインされた物件を提案することで知られる。
エントランスに手間暇をかけて職人が加工したステンレスを用いるなど、日本ビルディング経営企画は、丁寧にデザインされた物件を提案することで知られる。拡大

充実した機能とクルマを美しく見せる光

「とにかくクルマが好きなので、ガレージを企画する際にはいろいろなことに気がつくし、こだわってしまいます」と、千葉さんは柔和な笑みを浮かべる。「ARK HOUSE 井の頭」には、合計4台の車両を置くことができる1階のガレージがある。このスペースだけを借りることもできるし、セットになっている3階の居住スペースと屋上のテラスを借りることもできる。

ガレージのこだわりは、まず除湿だという。「地下を活用する物件を手がけた経験から、除湿についてのノウハウが身につきました」とは千葉さんの弁。具体的には、ダイキン製の2基の除湿機が稼働している。ちなみに、エアコンを回しっぱなしにするよりもはるかに効果的に除湿してくれるという。

床のタイルは、仮にオイルが漏れてもすぐにクリーンにできる素材で、色もオイルによる汚れが目立たないようなものを選んでいる。また、床には高い排水性を備えたドレーンが備わるので、ガレージの中で洗車をすることもできる。

シャッターは、ガレージドアのスペシャリストとして30年以上の実績を持つレムコ製のオーバースライダーオープナー。断熱や遮音といった基本性能はもちろん、金属音のしないベルトドライブ駆動を採用することから、従来のチェーンドライブやシャフトドライブに比べて圧倒的に静粛性が高いという。また、レール内部の設置型センサーと光電管センサーの二重の装置により、安全性にも万全を期す。

このように、ガレージとしての機能はすこぶる高いけれど、それだけではない。例えば、自然光を採り込むように設計された大きな窓からの光を受けたアバルトは、美術館の中庭に展示されたオブジェのように見える。逆に、サンシェードとシャッターを閉じ、クルマを美しく見せるための可動式の照明でアルファを照らすと、ミラノ郊外のムゼオ・ストリコ・アルファ・ロメオ(アルファ・ロメオ歴史博物館)をほうふつとさせる。ここでワインを片手に愛車を眺めるのは、至福のひとときだろう。

「ガレージというより、部屋をあつらえるイメージでした」とおっしゃる千葉さんは、ガレージの壁にピクチャーレールを備え付けた。絵画や写真、ポスターを飾り、自分だけのムゼオを完成させるという夢が膨らむ。

1階のガレージスペースにはバス、トイレのほか、サウナと洗濯機置き場も備わるから、1人だったらここで生活することもできる。

「奥さんとケンカをしたら、ここに何日かこもりたいですね」と、『カーグラフィック』の営業担当者が真剣な表情で語ったのが印象的だった。

ガレージの奥には、水まわりと洗濯機置き場、さらにその先にはバス、トイレ、サウナが備わる。
ガレージの奥には、水まわりと洗濯機置き場、さらにその先にはバス、トイレ、サウナが備わる。拡大
 
【Casa e Garage】理想のガレージ CASE1 | ARK HOUSE 井の頭の画像拡大
 
【Casa e Garage】理想のガレージ CASE1 | ARK HOUSE 井の頭の画像拡大
 
【Casa e Garage】理想のガレージ CASE1 | ARK HOUSE 井の頭の画像拡大
日本ビルディング経営企画の設計を担当する、一級建築士の和久利修さんによれば、クルマを美しく収める器をつくるためには、建物のデザインでがんばりすぎないことが肝要とのこと。除湿機やドレーンなど、愛車維持のためのノウハウは千葉さんから学んだという。
日本ビルディング経営企画の設計を担当する、一級建築士の和久利修さんによれば、クルマを美しく収める器をつくるためには、建物のデザインでがんばりすぎないことが肝要とのこと。除湿機やドレーンなど、愛車維持のためのノウハウは千葉さんから学んだという。拡大

クルマはもちろん生活も楽しむ

冒頭で記したように、1階のガレージスペースを単独で借りることもできるけれど、駅からも近く、緑も豊かな立地だ。住居にするのにも、申し分ない。

3階の居住空間の特徴は、採光部分が広いために明るく開放感に満ちていることだ。壁の傾斜をうまく活用した屋根裏的な雰囲気の部屋も、遊び心があって楽しい。すべてのフロアにサウナが設置されていることもこの物件の特徴で、もちろん3階でも“整う”ことができる。

階段を上って屋上のバルコニーに出ると、スタッフ全員から感嘆の声が漏れた。見晴らしがよく、広々としたバルコニーに、爽やかな風が吹き抜ける。のんびり読書をするのもいいし、にぎやかにバーベキューをするのも楽しいだろう。

ガレージを建てるだけなら、素人でもある程度のところまではできるかもしれない。けれども愛車だけでなく、そこに豊かな生活を組み合わせたガレージライフを確立しようと思ったら、千葉さんのような方のアイデアが必要になると痛感した。同時に、すてきな物件を見せていただくことで、やはりガレージが欲しいよなぁ、という思いが再燃してしまう。

(文=サトータケシ/写真=田村孝介)

【ARK HOUSE 井の頭】
住所:東京都三鷹市井の頭2
規模:地下1階・地上3階建て
構造:鉄筋コンクリート造り
総戸数:8戸
敷地面積:204.43㎡(61.43坪)
延べ床面積:547.21㎡(165.53坪)
完成年:2024年3月
企画・設計:日本ビルディング経営企画

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【1】窓の高さを天井の位置まで確保するなど、3階の居住スペースは採光にこだわっている。結果として、明るく健康的な雰囲気の空間に仕上がっている。【2】3部屋のうちのひとつは、屋根裏のような雰囲気。どう使うか、考えるだけでわくわくする。【3】自然光が気持ちのいいバスルーム。水風呂にして、隣のサウナと交互浴を楽しむのもよさそうだ。【4】国産ヒノキが使われるサウナの扉を開けると、ヒノキ特有の香りに包まれる。リラックス効果は抜群だ。
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井の頭公園の豊かな緑が目に鮮やかなルーフバルコニー。物件の担当者によれば、西新宿の高層ビル街を一望できる夜景も特別なものだという。
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「ARK HOUSE」は日本ビルディング経営企画の住居系のブランド。ほかに、商業系の「THE ROOM」シリーズとガレージハウスを特徴とする「THE GARAGE」シリーズの計3つのブランドを展開している。
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サトータケシ

サトータケシ

ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。

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