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第297回:カーマニアの原点恐るべし

2024.11.18 カーマニア人間国宝への道 清水 草一
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大型キドニーグリルの迫力にぞっこん

首都高・山手トンネルを走行中、隣の車線に、見覚えのないクルマの後ろ姿が見えた。

私はカーマニアなので、だいたいのクルマは見分けがつくが、そのクルマはよくわからなかった。少なくともリアルワールドでは初見だろう。そして、妙にカッコいい。

見えたのはほんの数秒間だったが、リヤの下部左右にエアアウトレット風のグリルのようなものが見えた。

(「X2」か?)

私は先代BMW X2が好きで、先代「3シリーズ」を買い替える際、後釜として真剣に検討した。結局「プジョー508」を買ったが、先代X2のクーペSUV的なフォルムにも、大いにひかれていたのである。

新型X2は、先代とはガラッと変わって、「XM」をほうふつとさせる大型キドニーグリルや、ガンダムっぽい造形でハデに武装している。私はこれまで、ガンダムっぽいクルマを買ったことはないが、新型X2のデザインにもまた、妙にひかれていた。

よし、とりあえずディーラーに見に行ってみよう!

近所のBMWディーラーにてX2と対面すると、ソイツはまぎれもないアイツであり、やっぱりすごくカッコよく見えた。

カーマニアの間では、BMWの巨大キドニーグリルは評判が悪い。なかでもXMの顔は忌み嫌われているようだが、私はその迫力にぞっこんだ。「フォードFシリーズ」や「ダッジ・ラム」など、アメリカンピックアップの顔と同じで、見れば見るほどクセになる。

X2の顔は、そんなXMの小型版。アゴの部分がブラックアウトされている点も似ている。

今回はいつもと趣向を変え、当連載記事の担当サクライ君とカーマニア同士で紅葉狩りに行った。目的地は富士山麓周辺。往復の相棒は次期愛車として購入を検討している「BMW X2」で、ロングドライブでのその走りもチェックしようというもくろみだ。
今回はいつもと趣向を変え、当連載記事の担当サクライ君とカーマニア同士で紅葉狩りに行った。目的地は富士山麓周辺。往復の相棒は次期愛車として購入を検討している「BMW X2」で、ロングドライブでのその走りもチェックしようというもくろみだ。拡大
クーペライクなフォルムがステキな「BMW X2」。この日に試乗したのは「X2 xDrive20i Mスポーツ」で、車両本体価格は628万円。紅葉したモミジのような真っ赤なボディーカラーは「ファイヤーレッド」と呼ばれるもの。
クーペライクなフォルムがステキな「BMW X2」。この日に試乗したのは「X2 xDrive20i Mスポーツ」で、車両本体価格は628万円。紅葉したモミジのような真っ赤なボディーカラーは「ファイヤーレッド」と呼ばれるもの。拡大
カーマニアの間でBMWの巨大キドニーグリルは評判が悪いが、私はその迫力にぞっこんだ。アゴの部分がブラックアウトされている点はBMWの「M」専用モデル「XM」に似ていて、かなりグッとくる。
カーマニアの間でBMWの巨大キドニーグリルは評判が悪いが、私はその迫力にぞっこんだ。アゴの部分がブラックアウトされている点はBMWの「M」専用モデル「XM」に似ていて、かなりグッとくる。拡大
リアバンパーに備わるエアアウトレット風の部分はブラックのダミーパネル。ここをはじめ、いろいろな部分がガンダムを想起させる。非常に子供っぽいのだが、なぜか猛烈にひかれる。
リアバンパーに備わるエアアウトレット風の部分はブラックのダミーパネル。ここをはじめ、いろいろな部分がガンダムを想起させる。非常に子供っぽいのだが、なぜか猛烈にひかれる。拡大
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クルマは男のこん棒

X2の後ろに回って、あのエアアウトレット風の部分を子細に眺めると、写真で見たとおり、まったくのハメ殺し。その他いろいろな部分がガンダムで、非常に子供っぽいのだが、なぜか猛烈にひかれる。

決定的だったのは、X2もXM同様、キドニーグリルがデイライトで光るという事実だった。

BMWのキドニーグリルは、本邦ではまだ強力な神通力がある。そこらにウジャウジャ走っている3シリーズでも、高速道路では前のクルマが驚くほど進路を譲ってくれたりした。巨大キドニー付きなら、フェラーリより強力かもしれない!

そのキドニーグリルが光るのだ! ちっちゃいX2でも、顔の威力はたぶんトップクラス! X2に乗れば強い男になれる! 「クルマ=男のこん棒」と信じる私には、猛烈に魅力的だぜ!

私は担当サクライ君にラブなメールを入れた。「今度X2に乗せて乗せて~」と。

当日朝、サクライ君は赤い「X2 xDrive20i Mスポーツ」で迎えに来てくれた。今日はいつもと趣向を変え、カーマニア同士で富士山麓に紅葉狩りに行くのだ。

X2は、4気筒サウンドも軽やかに、中央道を快調に走った。

今のBMWの4発はスバラシイ。2リッターで十分速いし、燃費もいい。高速では乗り心地がだいぶ固く感じられたが、足まわりを一番ハードな「SPORT PLUS」にしたら、それが一番カイテキだった。ビックリ。

ディーラーで見せてもらったブラックの「X2」。「XM」と同様に、キドニーグリルがデイタイムランニングランプと連動して光るという事実が判明。ちっちゃいX2でも、顔の威力はたぶんトップクラス!
ディーラーで見せてもらったブラックの「X2」。「XM」と同様に、キドニーグリルがデイタイムランニングランプと連動して光るという事実が判明。ちっちゃいX2でも、顔の威力はたぶんトップクラス!拡大
「X2 xDrive20i Mスポーツ」に搭載される2リッター直4ガソリンターボエンジン。最高出力204PS/5000rpm、最大トルク300N・m/1450-4500rpmを発生し、7段DCTと組み合わされる。
「X2 xDrive20i Mスポーツ」に搭載される2リッター直4ガソリンターボエンジン。最高出力204PS/5000rpm、最大トルク300N・m/1450-4500rpmを発生し、7段DCTと組み合わされる。拡大
ステキな紅葉を背景にした次期愛車候補の筆頭となる「X2」。今回試乗した「X2 xDrive20i Mスポーツ」は全長×全幅×全高=4555×1845×1575mm、ホイールベースは2690mmで、街なかでも使いやすいサイズ感だ。
ステキな紅葉を背景にした次期愛車候補の筆頭となる「X2」。今回試乗した「X2 xDrive20i Mスポーツ」は全長×全幅×全高=4555×1845×1575mm、ホイールベースは2690mmで、街なかでも使いやすいサイズ感だ。拡大
BMWの4発はスバラシイ。2リッターで十分速いし、燃費もいい。足まわりを一番ハードな「SPORT PLUS」にしたら、高速道ではそれが一番カイテキだった。
BMWの4発はスバラシイ。2リッターで十分速いし、燃費もいい。足まわりを一番ハードな「SPORT PLUS」にしたら、高速道ではそれが一番カイテキだった。拡大

40年前の分かれ道

オレ:オレ、このクルマのカッコがどうにも好きなんだよね。
サクライ:えっ、そうなんですか。
オレ:サクライ君はダメ?
サクライ:ダメです。いろいろダメなところだらけです。稚拙なデザインはダメですよ。

うっすら予感はあったけど、いきなり激しく拒絶された。

オレ:キドニーグリルが光るのもダメ?
サクライ:ダメというより、光りものに興味がないですね。
オレ:サクライ君もBMWに乗ってるじゃない!(すがるように)
サクライ:乗ってますけど、「2シリーズ アクティブツアラー」ですから。
オレ:カピバラみたいなヤツだよね!(逆ギレ)
サクライ:そこがいいんです。僕はクルマで自己主張したいっていうのがぜんぜんなくて、むしろ透明人間でいたいので。
オレ:そ、そうだったんだ……。
サクライ:SUVだったら(X2よりも)、「X1」の形のほうが断然いいと思います。
オレ:X1ってなんも特徴ないじゃない! キドニーも光らないし!
サクライ:そこがいいんです。

そうなのかぁ~。オレたち、そんなに趣味が違ったのか~。

考えてみれば、サクライ君は若い頃、「いすず・ピアッツァ」を4台乗り継いでいる。その頃オレは「日産サンタナ」だったけど、ホントは「日産スカイライン」の「ターボRS」にものすごく憧れていた! その出発点の差が、40年後のいま、2シリーズ アクティブツアラーとX2の分かれ道になった……のだろうか? カーマニアの原点恐るべし。

(文=清水草一/写真=清水草一、webCG/編集=櫻井健一/車両協力=BMWジャパン)

ルーフから流れるようにリアエンドへと続く「X2」のファストバックフォルムがたまらない。ガンダムっぽい造形でハデに武装しているところもかなり気に入っている。
ルーフから流れるようにリアエンドへと続く「X2」のファストバックフォルムがたまらない。ガンダムっぽい造形でハデに武装しているところもかなり気に入っている。拡大
「X2」のコックピット。基本デザインは「X1」や「2シリーズ アクティブツアラー」と共通で、メーターパネルとコントロールディスプレイを一体化させた「BMWカーブドディスプレイ」が目を引く。
「X2」のコックピット。基本デザインは「X1」や「2シリーズ アクティブツアラー」と共通で、メーターパネルとコントロールディスプレイを一体化させた「BMWカーブドディスプレイ」が目を引く。拡大
若かりし頃に憧れた、最高出力190PSの2リッター直4ターボを搭載する「日産スカイライン ハードトップ2000ターボRS」。デビュー当時は「史上最強のスカイライン」と宣伝され、ファンのハートをわしづかみにした。
若かりし頃に憧れた、最高出力190PSの2リッター直4ターボを搭載する「日産スカイライン ハードトップ2000ターボRS」。デビュー当時は「史上最強のスカイライン」と宣伝され、ファンのハートをわしづかみにした。拡大
赤と黒のボディーカラーが鮮烈だった「日産スカイライン」の「ターボRS」も「BMW X2」も、少年のココロに食い込むナニかがある気がする。と考えれば「いすゞ・ピアッツァ」は明らかにオトナ向けかもしれない。
赤と黒のボディーカラーが鮮烈だった「日産スカイライン」の「ターボRS」も「BMW X2」も、少年のココロに食い込むナニかがある気がする。と考えれば「いすゞ・ピアッツァ」は明らかにオトナ向けかもしれない。拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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