番外編:「ベア650」で道志みちを縦走! 休日出勤もこのバイクなら苦にならない……かも?
2025.05.14 ロイヤルエンフィールド日常劇場 拡大 |
ゆううつな休日の取材も、このバイクでなら苦にならない!? 話題の新型スクランブラー「ロイヤルエンフィールド・ベア650」で、春の道志みちを縦走。首都圏屈指のツーリングコースをのんびり走り、仕事人のすさんだ心をバイクに癒やしてもらった。
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この色のセンスを見なさいよ
桜の季節もぼちぼち終わり、バイクで出かけるのが気持ちよくなってきた時分のこと(いまいましい花粉の災いは除く)。週末に“仕事”で富士スピードウェイに出かけることになったので、ロイヤルエンフィールド・ベア650で、道志みちを行くことにした。
なんでわざわざクマさんで富士に? と問われれば、想定される渋滞の負担を少しでも軽減したかったから。……というのもあるが、そもそも休日出勤である。好きでもないクルマ/バイクに揺られて2時間半とか、やってられるか。俺は俺の好きな乗り物で、好きな道で富士まで行くぞ。というのが本音であった。要はセルフメンタルケア、心の自己管理である。今春社会人になった若人の諸君も、こういう負荷のいなし方を覚えておくといいですよ(笑)。
そんなわけで相方は、前回に引き続きスクランブラーのベア650である。が、さすがに同じ仕様だと絵面も代わり映えしないので、今回は色違いの、その名も「ワイルドハニー」と呼ばれるカラーの個体に出陣を乞うた。
モーターサイクルショーでの日本公開(参照)に、満を持しての4月17日の発売。読者諸氏のなかにも、すでに現物を見たという御仁も少なくないだろう。皆さんの目に、このバイクはどう映っただろう? 記者としては、古式ゆかしきザ・バイク! って感じの造形もさることながら、その色のセンスに大いに脱帽、脱ヘルメットした次第である。
このワイルドハニーにしてもそうで、「6 1/2」と描かれた(……とデザイナーは主張している)鮮やかな白、黄、青のタンクにしろ、青一色で染められたシートにしろ、よそのメーカーではしり込みするような色選び。それでいて、バイクのカラーリングとして浮いたところがないあたり、さすがは124年も飽きずに、クラシックスタイルのバイクをつくってきた老舗である。
いっぽうの記者ときたら、黒の上下に黒のメットしか持っていないくまモン野郎である。普段は見てくれなんて気にも留めない男だが、今回ばかりは、バイクとの映えのギャップに申し訳なくなった。読者諸氏の皆さん、いいバイクを買ったんなら、カッコいいウエアも一緒に買いましょう。
山道がホントに楽しい
時は2025年4月20日の午前5時。近隣に配慮して、暖機もそこそこに武蔵野を出発した記者は、ひとまず八王子へと向かった。今回の旅程は、八王子バイパスを経て津久井湖をかすめ、道志みちをダーッと走って山中湖でひと休憩。最後は三国山を越えて富士スピードウェイに至るルートである。
……まあ厳密には、ルートを立てたのは私じゃなくて「ロイヤルエンフィールド アプリ」のナビ機能なんですけどね。車載ディスプレイをカーナビ化(バイクナビ化?)できるこのアプリの便利さときたら、ただでさえ怠惰なライダー(=記者)の堕落を加速させること必定。欠点を挙げるとしたらアルファベットでしか文字が打てないことだが、それも日本語の施設名/住所をあらかじめコピっておいて、アプリの入力窓にペーストすりゃいいだけのことだ。ひと手間挟まりはするものの、使用感は上々だった。
いっぽう肝心のベア650の走りだが、『webCG』でも河野正士さんの試乗記(参照)を掲載しており、お恥ずかしながら記者も前回拙評を披露しているので、詳述は控えたい。ところ変わってもベアのよさはやっぱり不変で、道志みちや三国山でも、クマさんは実にいいあんばいのバイクでした。
なんと表したらいいのでしょう。スペックには表れないよさがあるとでもいうべきか。650cc(厳密には648cc)のパラレルツインは大型2気筒ならではのトルクのツキが気持ちよく、また急坂でシフトダウンをすっぽかしても、「大丈夫、大丈夫」と上り切るほどに粘り強い。むしろ、ちょっと強めに負荷をかけた際の「ドゥルルルル」というサウンドが心地よく、記者などは「もうちょっと、この上りのつづら折れが続かないかな」なんて思ったりした。
ハンドリングも懐が深く、スポーティーにも走らせられる軽快な操作性と、フロント19インチホイールのおおらかさが同居。記者のようなへっぽこライダーでも、怖がらずに車体を倒していける。さすがに飛ばし屋の諸氏を満足させるほどではないでしょうが、いや、これスクランブラーですし、そうした人は素直に他の車形を選べばよいでしょう。個人的にベア650は、クロスオーバー的なバイクのなかでは、かなりロードスポーツ寄りに楽しめる一台だと思う。
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このシート、最高すぎないか!?
さて、そんなベア650も、発売からかれこれ2週間(本稿執筆時点)。SNSやらなんやらで、ちらほら実車の見聞や購入報告等の投稿をお見かけするようになった。そこでやっぱり気になるのが、「足つきが……」という声である。ただ、そうしてSNSの投稿を掘っていると、ローシートの要望に応えるお店もある様子。モーターサイクルショーで実車にまたがり、「こりゃ駄目だ」となった御仁も、ちょいとお店に相談してみてはいかがだろう? せっかく気になったバイク、足つきだけであきらめちゃうのはもったいないでしょう。
……しかし、そのローシートという選択も、「それはそれでもったいないな」と思わせるのがこのバイクの悩ましいところ。なにせベアの純正シートは、すごくお尻が快適なのだ。今回の取材では都合231.5kmを走ったが、最後までみじんもケツが痛むことはなかった。普段、記者が乗っているバイクなぞ、100kmも走れば悪路でもないのにスタンディングを繰り返す羽目となる。ぜひ爪の垢(あか)を煎じて飲ませてほしいものだ。
今回、特にこのシートが本領を発揮したのは東名高速での帰路で、世間に疲弊し切った記者には、しみじみその快適さがありがたかった。加えて650ccのゆとりある動力性能に、路面に対して適度にダルなブロックタイヤのフィードバックよ。積載性は無に等しいベアだけど、これならシートと人体に荷物をくくりつけ、ちょいと旅に出かけるのもステキだろうなと思った次第。前回は秩父だったし、次回は久々に、奥多摩に行きたいな。
いやその前に、仕事とか関係なしに、あらためて道志を散策したい。時間の制約もナシで、遠慮なく寄り道しまくり、「道の駅 どうし」のさらに奥にある食堂で、懐かしのわらじカツ丼と担々麺をいただくのだ。ああ炭水化物とタンパク質よ。仕事ですさんだ記者の心を癒やしておくれ。
(文も写真も編集もぜんぶwebCG堀田剛資<webCG”Happy”Hotta>)
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堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
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