「スバル・クロストレック」の限定車「ウィルダネスエディション」登場 これっていったいどんなモデル?
2025.11.27 デイリーコラムなんちゃってオフローダー?
スバルは2025年10月30日、「クロストレック」に限定車「ツーリング ウィルダネスエディション」および「リミテッド ウィルダネスエディション」を設定し、同年11月30日までの期間限定で抽選申し込みの受け付けを開始した。
これに関しては「ついに『ウィルダネス』が日本に正式上陸!」という喜びの声が数多く聞こえるいっぽう、「でも北米のウィルダネスとはぜんぜん違う“なんちゃって”なんでしょ?」という落胆の声、あるいは嘲笑まじりの声も聞こえてくる。
結局のところ、クロストレックのウィルダネスエディションとはどんなクルマなのか? いわゆる“なんちゃって”なのか、それとも北米で販売されている「クロストレック ウィルダネス」に近い何かなのか?
その答えは、実はスバルが2025年10月30日に発行したプレスリリースにすでに書かれている。
プレスリリースの記述はこうだ。──(前略)そして、ウィルダネスのブランドコンセプトを日本市場向けに表現した特別仕様車として、「Touring WILDERNESS Edition」、「Limited WILDERNESS Edition」を設定しました。(後略)──
つまり北米のウィルダネスは標準車をベースに走破性と機能性を高め、タフなデザインを取り入れると同時に、スバル車のなかでも特に際立ったオフロード性能を実現しているシリーズなわけだが、今回のウィルダネスエディションは、主にそのコンセプトとイメージを表現すべく専用アイテムで内外装をコーディネートした日本市場向けモデル──ということだ。ちなみに販売台数は2モデルを合わせて500台の限定である。
そうして出来上がったクロストレック ウィルダネスエディションを“なんちゃって”と呼ぶべきかどうかについては後述するが、まずは北米で販売されているスバル・クロストレック ウィルダネスと、日本で限定販売される今回のスバル・クロストレック ウィルダネスエディションの主な相違点を、具体的にみてみよう。
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オフロード系スペックはかなり違う
まず北米のウィルダネスと日本のウィルダネスエディションではそもそも搭載されるパワーユニットが異なる。北米のウィルダネスは2.5リッター水平対向4気筒自然吸気エンジン車で、日本のウィルダネスエディションは2リッター水平対向4気筒のマイルドハイブリッド車だ。そこに関しては無視するとして、オフローダーとしての主な相違点は下記のとおりだ。
【最低地上高】
ウィルダネスエディションは標準車と同じ200mmだが、北米ウィルダネスは236mm。
【アンダーボディーの保護】
北米ウィルダネスにはアンダーボディープロテクションがある。ウィルダネスエディションは特になし。
【アプローチアングルなど】
北米ウィルダネスはアプローチアングルが20°、ディパーチャーアングルが33°、ランプブレークオーバーアングルが21°。いっぽう日本版ウィルダネスエディションはアプローチアングルが18°、ディパーチャーアングルが29.9~30°、ランプブレークオーバーアングルが18.9~19°となる。
【トランスミッション】
北米ウィルダネスはCVT(リニアトロニック)のファイナルギア比を低め、制御変更も行っているが、ウィルダネスエディションのCVTは標準車からの変更はなし。
【タイヤ】
北米ウィルダネスは「ヨコハマ・ジオランダー」のオールテレインで、ウィルダネスエディションは「トーヨー・オープンカントリーA/T III」。
タイヤの銘柄に関しては「別にどっちでもいい」という結論になりそうだが、その他の根本的なオフロード系スペックに関しては「かなり違う」といえるのが、北米版ウィルダネスと日本のウィルダネスエディションを比較した結果だ。
だからこそ「今回のクロストレック ウィルダネスエディションは“なんちゃって”である」という声も聞こえてくるわけだが、筆者はそうは思わない。いや確かに“なんちゃって”なのかもしれないが、「別にそれでもいいじゃないか」と思うのである。
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普通に使うぶんには十分“本格的”
超絶本格的なオフロード性能を、例えばイメージ的には垂直に近いような場所を駆け上がれるオフローダーを望んでいる人からすれば、クロストレック ウィルダネスエディションは、確かに物足りない“なんちゃって”に感じられるだろう。
しかしスバル・クロストレックの標準的な日本仕様とは、サマータイヤからスタッドレスタイヤに替えただけのノーマル状態で、ゲレンデタクシー(スキー場でスバルのSUVをプロドライバーが運転し、リフトに代わってスキーヤーをゲレンデ上部まで送り届けるイベント)を楽々務めてしまうモデルである。アウトドア用のウエアに例えるなら「さすがに南極大陸で着用するのは無理かもしれないが、極寒の北海道ぐらいまでならOKな防寒着」みたいなものだ。つまり、普通に使うぶんには十分“本格的”なのだ。
そのように本格的なSUVないし防寒着に対して「お前は極限状況では役立たずだから“なんちゃって”だ」と言うのはあまりにも酷というか、基準とするポイントの標高が高すぎるというべきだろう。
もちろんクルマでもアウトドアウエアでも「基本的には都市部でしか使わないかもしれないが、自分は極限のスペックを有していないギアには萌(も)えないのだ」という人もいるだろうし、その感覚もわかる。それゆえ、そういった人が「ウィルダネスエディションはしょせん“なんちゃって”だ」と言うなら、筆者も「そうかもしれませんね」と相づちを打つだろう。だがそうではない人が「なんちゃってだ!」と言ったなら、「それはちょっと違うんじゃないですか?」と答えたい。
繰り返すが、販売台数は限定500台。争奪戦が予想される。今後スバルが力を入れるというウィルダネスのコンセプトとブランドに魅力を感じるのであれば、クロストレック ウィルダネスエディションは注目したい、いや注目すべき限定車である。
(文=玉川ニコ/写真=スバル、webCG/編集=櫻井健一)
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玉川 ニコ
自動車ライター。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、自動車出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。愛車は「スバル・レヴォーグSTI Sport R EX Black Interior Selection」。
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