トヨタ・クラウン 2.5アスリート“ナビパッケージ”(FR/6AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・クラウン 2.5アスリート“ナビパッケージ”(FR/6AT) 2008.04.22 試乗記 ……446万5950円総合評価……★★★
先代より“若返り路線”を走るトヨタの高級サルーン「クラウン」。なかでも走りをウリにする「アスリート」でその乗り味を試した。
飛ばせるクラウン
先代のゼロ・クラウンで大きく根本が変わったあとで、今回はビッグ・マイナーより少し大きめ程度の変化に止まるものの、それゆえに内容の向上が大きく期待されるところだ。
その辺に着目してみると、期待したほどでもないというのが正直な感想。
まず、アスリートという車種のイメージから言って、操縦安定性関連の項目は上々。操舵や足まわり関連は安心して飛ばせるレベル。ブレーキ性能はもっと高くてもいい。
乗り心地は、期待外れ。項目別にも記したサスペンションのチューニングだけでなく、パーツの精度が要求される部分での造りがラフ、という印象は拭えない。タイヤもゴロゴロ感があってユニフォミティ(真円性)は決して高くない。シートはしっくりフィットせず絶えず調整を繰り返すが、気に入るポジションは得られない。
スポーツのポジションはダンパーだけでなくエンジンとの総合制御ゆえ、エコとスポーツを両立させられない。乗り心地的にはダンパーは硬め、エンジン性能はエコ、という組み合わせがお勧めなのだが……。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
トヨタを代表する高級サルーン「クラウン」。2008年2月のフルモデルチェンジで13代目となった。
“ZEROクラウン”を標榜して、若返りを図った12代目同様、目指したのは脱コンサバ路線。外観デザインは、さらに若々しくダイナミックになった。エンジンやプラットフォームも先代の流用ながら、電子制御の処理能力などソフト面を大幅に強化して、走りの質を追求した、というのがアピールポイント。
ラインナップは3種類。ベーシックモデル「ロイヤル」(2.5リッター/3リッター)、スポーティな「アスリート」(2.5リッター/3.5リッター)、さらに、トヨタブランドの強みとなりつつあるハイブリッドモデルが、新たに選べるようになった。パワーユニットはもとより、モデルごとにフロントグリルやバンパーなどのエクステリアデザインが異なる。
(グレード概要)
テスト車は、スポーティな「アスリート」のエントリーグレード。「ロイヤル」にもラインナップする2.5リッター「4GR-FSE」ユニット(215ps/6400rpm、26.5kgm/3800rpm)を搭載する。ちなみに、315ps、38.4kgmを発生する3.5リッターモデルもある。
“ナビパッケージ”モデルは、HDDナビゲーションシステムはもちろん、電動チルト&テレスコピックステアリングやクラウン・スーパーライブサウンドシステムなどが上乗せされる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
内装材の合わせ目などの精度は、やや低下傾向もみられるが、プラスティック部品の木材風質感など処理は上々。煩雑になりがちな各スイッチ類もよく整理、簡略化されており、比較的すっきりまとめられている。サイドブレーキのリリースは別にレバーが備わり、同じものを足で2度踏んで戻すより安心。やはり正統派閥の車種は基本を押さえてある。
(前席)……★★★
シートそのものの出来は並。座面寸法は短かめ。座面後傾角も少なめ。クッションの固さ配分は二分割の中央部が固く盛り上がりデコボコ感あり。横方向サポートは不足。表皮はシックリ馴染んでフィットする感覚が薄く、反発するタイプゆえ疲れやすい。ポジションも高めに座る感覚でドアの高さとの関係から落ちつけない。ドアミラーは足が短めでボディに近いから背後や後輪を見にくい。
(後席)……★★★★
前席より後席の方が落ちついて座れる。背面の角度も寝かせ過ぎずちょうどよい。ドアの高さとかCピラーの位置、天井の高さなどが関係する、包まれるようなセダンの後席らしい安心空間が確保されている。FRゆえのセンタートンネルなどもあって、後席に3人がけはちょっと真中の人に不公平感はあるが、2人で座るならば快適。プロップシャフト、ドライブシャフト、デフなど、回転物による音や振動などの点では、FF車に比べて不利な要素ながら、気にならない程度におさめられている。
(荷室)……★★★
セダンのトランクとして広さは充分。リッドはバンパー高より開き使い勝手も良好。内装処理もまずまず。特記する点なし。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
トルク、レスポンス共に良好。2.5で充分に速い。3.5に対しATギア比やファイナルも下げられており、発進加速や登坂性能なども遜色なし。その上でむしろ2.5の方がスムーズで静粛。ボアが小さければシリンダーの壁が厚い、ストロークが短ければコンロッドが長くなりピストンの首降りは少なくなる、よって当然とは言えこの場合はその典型的な好例。ドライブコンピューターによる燃費は都内でも8km/リッター台と優秀。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
良路においてやや硬め。そのG的な突き上げは許容するとしても、上下に身体が揺さぶられる変位としてはもっとフラットさが欲しい。交差点手前など都市部の乗り心地としてもまだブルブルする感覚が残る。この辺は社内の判定レベルを上げないと、クラウンとしてこれ以上向上しないだろう。ハンドリングは良好、素直に回頭し旋回も安定している。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2008年3月11日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2008年型
テスト車の走行距離:2602km
タイヤ:(前)225/45R18(後)同じ(いずれも、ブリヂストン・ポテンザRE050A)
オプション装備:スペアタイヤ(7万2450円)/クリアランスソナー&サイドモニター(7万3500円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:206km
使用燃料:24.5リッター
参考燃費:8.41km/リッター

笹目 二朗
-
フェラーリ849テスタロッサ(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.2.3 フェラーリの新型スーパースポーツ「849テスタロッサ」は、スペシャルモデル「F80」に通じるデザインをまとい、歴史的な車名が与えられている。期待高まる、その走りは? スペインで試乗した西川 淳の第一報。
-
レクサスRZ550e“Fスポーツ”(4WD)【試乗記】 2026.1.31 レクサスの電気自動車「RZ」が大型アップデートを敢行。特に今回連れ出した「RZ550e“Fスポーツ”」は「ステアバイワイヤ」と「インタラクティブマニュアルドライブ」の2大新機軸を採用し、性能とともに個性も強化している。ワインディングロードでの印象を報告する。
-
スズキ・ワゴンR ZL(FF/5MT)【試乗記】 2026.1.28 スズキの「ワゴンR」がマイナーチェンジ。デザインを変更しただけでなく、予防安全装備もアップデート。工場設備を刷新してドライバビリティーまで強化しているというから見逃せない。今や希少な5段MTモデルを試す。
-
スバル・ソルテラET-HS(4WD)【試乗記】 2026.1.27 “マイナーチェンジ”と呼ぶにはいささか大きすぎる改良を受けた、スバルの電気自動車(BEV)「ソルテラ」。試乗を通して、劇的に改善した“BEVとしての性能”に触れていると、あまりに速いクルマの進化がもたらす、さまざまな弊害にも気づかされるのだった。
-
ホンダ・シビック タイプR/ヴェゼルe:HEV RS 純正アクセサリー装着車【試乗記】 2026.1.26 ホンダアクセスが手がける純正パーツを装着した最新ラインナップのなかから、「シビック タイプR」と「ヴェゼルe:HEV RS」に試乗。独自のコンセプトとマニアックなこだわりでつくられたカスタマイズパーツの特徴と、その印象を報告する。
-
NEW
ライバルはGR? ホンダが発表したHRCのモデルラインナップとその狙いに迫る
2026.2.5デイリーコラムホンダが東京オートサロン2026で、HRC(ホンダ・レーシング)の名を冠したコンセプトモデルを6台同時に発表した。ホンダのカスタマイズカーとして知られるモデューロや無限との違い、そしてHRCをメジャーシーンに押し上げる真の狙いを解説する。 -
NEW
スズキeビターラZ(4WD)/eビターラZ(FWD)【試乗記】
2026.2.5試乗記スズキから初の量販電気自動車(BEV)「eビターラ」がいよいよ登場! 全長4.3mで、航続距離433~520km(WLTCモード)、そして何よりこのお値段! 「By Your Side」を標榜(ひょうぼう)するスズキ入魂のBEVは、日本のユーザーにも喜ばれそうな一台に仕上がっていた。 -
NEW
第947回:秒殺で当確? 新型「ルノー・クリオ」が販売店にやってきた!
2026.2.5マッキナ あらモーダ!欧州で圧巻の人気を誇る「ルノー・クリオ(日本名:ルーテシア)」がついにフルモデルチェンジ! 待望の新型は市場でどう受け止められているのか? イタリア在住の大矢アキオが、地元のディーラーにやってきた一台をつぶさにチェック。その印象を語った。 -
第101回:コンパクトSUV百花繚乱(後編) ―理由は“見た目”だけにあらず! 天下を制した人気者の秘密と課題―
2026.2.4カーデザイン曼荼羅今や世界的にマーケットの主役となっているコンパクトSUV。なかでも日本は、軽にもモデルが存在するほどの“コンパクトSUV天国”だ。ちょっと前までニッチだった存在が、これほどの地位を得た理由とは? カーデザインの識者と考えた。 -
社長が明言! 三菱自動車が2026年に発売する新型「クロスカントリーSUV」とは?
2026.2.4デイリーコラム三菱自動車が2026年に新型クロスカントリーSUVの導入を明言した。かねてうわさになっている次期型「パジェロ」であることに疑いはないが、まだ見ぬ新型は果たしてどんなクルマになるのだろうか。状況証拠から割り出してみた。 -
日産エクストレイル ロッククリークe-4ORCE(4WD)【試乗記】
2026.2.4試乗記「日産エクストレイル」に新たなカスタマイズモデル「ロッククリーク」が登場。専用のボディーカラーや外装パーツが与えられ、いかにもタフに使い倒せそうな雰囲気をまとっているのが特徴だ。高速道路とワインディングロードを中心に400km余りをドライブした。































