オペル・ベクトラワゴンCD(4AT)【試乗記】
ちょっとした穴馬 2001.08.09 試乗記 オペル・ベクトラワゴンCD(4AT) ……314.0万円 2001年3月8日から販売が開始された、オペルのいわゆる2001年モデル。中堅車種ベクトラの目玉は、排気量が拡大されたエンジン。2リッター直4は2.2リッターに、2.5リッターV6は2.6リッターに、それぞれ大きくなった。2.2リッターのベクトラワゴンに、自動車ジャーナリスト、河村康彦が乗った。エコテックの力強さ
はるばる1万kmの彼方からやって来る欧州車ブランドの中で、ちょっとばかり地味に感じられるのが、オペル。たしかにメルセデスベンツやBMWなどと比較すると、クルマ好きの間で話題に挙がる機会が少ない感は否めない。が、そんなオペル発のベクトラワゴンに久々に触れてみると、これがなかなかどうして! いかにもヨーロッパの実用車らしい使い勝手のよさを再認識することとなった。
今回のテストしたベクトラワゴンは、2.2リッターの4気筒エンジンを搭載する「CD」グレード。なんでもこのクルマの心臓は、ピュアなミドシップスポーツカー「オペル・スピードスター」に搭載されるエンジンと同じだという。さっそく『webCG』の発信元である二玄社でテスト車を受け取って、パーキングを後にすると……、これがミョ〜に力強い加速感を味わわせてくれる。「本当は2.5リッターくらいあるのでは?」とカタログを確認しても、排気量は紛れもなく「2198cc」である。
そもそも、オペルが「ECOTEC」と称する最新エンジンは、低中回転を中心とした実用域でのトルクがとても太いのが特長だ。ベクトラに積まれたユニットももちろん例外ではなく、こうした領域では、前述のように排気量以上の力強さを感じさせる。
しかしその一方、高回転域への「伸び感の演出」では、どうしても損をしてしまう傾向がある。かつてヨーロッパで開催された「スピードスター」の国際プレス試乗会でも、「これでもう一歩のエンターテインメント性があったらなぁ……」と感じたことを思い出した。
もっとも、日本に導入されるベクトラはすべてAT仕様となるから、「エコテック」エンジンの持つかようなキャラクターは、美点と受け取れる部分の方が大きいことにはなる。
静粛性もなかなか
最新のベクトラワゴンが、走行時の快適性を向上させているのも新しい発見だった。これまでのベクトラシリーズは、高速時のフラット感はすこぶる高いものの、街なかなど、低速域でのしなやかさに欠けるきらいがあった。
ところが、今回のテストモデルでは、そのあたりが随分と“こなれた”印象へと変わっていた。全般的には、それでもやや硬めのフットワークではあるが、速度が増してもシュアな感覚を失わないハンドリングとのバランスを考えると、これはこれで「いかにも欧州車らしい走りのセンス」と言っていいように思う。
静粛性もなかなかだ。2リッターを越える4気筒ユニットは、日本車ではあまり一般的ではないが、バランスシャフトを備えたオペルの2.2リッター「Z22」型ECOTECユニットは、下手な6気筒ユニットにも負けない滑らかさを見せる。
というわけで、特に“ツール”として、魅力ある質実剛健さを感じさせるこのワゴン。「ちょっとした穴馬的モデル」と言ってよさそうだ。
(文=河村康彦/写真=高橋信宏/2001年6月)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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