アルファロメオ・アルファ147 1.6ツインスパーク(5MT)【ブリーフテスト】
アルファロメオ・アルファ147 1.6ツインスパーク(5MT) 2004.06.30 試乗記 ……269万5500円 総合評価……★★★★ 1.6リッター「ツインスパーク」ユニットに5段MTを組み合わせた、「アルファ147 1.6ツインスパーク」。アルファロメオのエントリーグレードを、自動車ジャーナリストの生方聡はどう評価するのか?
|
オススメです!
「これ、ホントに1.6リッター? 広報車間違えてない?」
クルマを用意してくれた『webCG』本諏訪君に、疑いの眼差しを向けた私だった。だって、「147」のエントリーモデルがこんなに立派でいいわけ?
試乗車に、オプションのスポーツレザーシート(18万9000円)が装着されていたからそう思ってしまったのだが、エントリーモデルでもこれだけスポーティで豪華な仕様が選べるのはうれしいことだ。
「エントリーモデル」のなかには、装備を簡素にして値段勝負! という“客寄せパンダ”的なものがちらほらと見られるが、「147 1.6ツインスパーク」は、装備、性能ともにクルマ好きが楽しめる価値ある一台。オススメです!
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年のトリノショーでデビューした、「145」の後を継ぐアルファロメオのボトムレンジ。とはいえ「プレスティッジ・スポーティ・コンパクト」を標榜する3ドアまたは5ドアのハッチバックである。4ドアサルーン「156」をベースとし、「6C2500ヴィラデステ」(1949年)のイメージを引用したフロントフェイスを持つ。本国では、2種類の1.6リッター(105psと120ps)、2リッター直4ツインスパーク(150ps)、1.9リッターターボディーゼル(110ps)がラインナップされる。
日本へは、2001年10月13日から、「2リッター+5段MT“セレスピード”」の組み合わせで、3、5ドアとも輸入を開始。以降、3.2リッターV6搭載の「GTA」や、エアロパーツを付けた「TI」、1.6リッター直4+5MTを積むエントリーモデル「1.6 ツインスパーク」などが追加された。
(グレード概要)
エントリーモデル「147 1.6ツインスパーク」は、上級グレードに劣らない装備がジマン。デュアルゾーン式フルオートエアコンや、駆動輪のスリップを防ぐ「ASR」(アンチ・スリップ・レギュレーション)などの電子デバイス、デュアル、サイド、ウィンドウエアバッグといった安全装備などが標準で備わる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
レザーシート以外は1.6ツインスパーク本来の装備だが、シリンダーが並ぶメーターパネル、メタリック塗装のセンターパネル、シルバーリングで縁取られたエアベントなど、ドライバーを挑発するスポーティな演出が心憎い。じっくり見ると質感の高さは感じられないので、あくまで雰囲気を楽しむのが礼儀だと思う。
上級モデルに備わるBOSEサウンドシステムやCDチェンジャーが省かれたのは仕方ないとしても、VDCやブレーキアシストが装着されないのは寂しいかぎり。ただし、デュアルゾーンのオートエアコンは標準で装着される。
(前席)……★★★★
お勧めのレザースポーツシートは、サイドサポートが大きく張り出し、見るからにヤル気満々の印象を与える。座ってみるとドライバーの身体がすっぽり包まれ、タイトな感じが心地いいものだった。電動調節機能はないが、チルト&テレスコピック調節機能を持つステアリングコラムのおかげで、適切なドライビングポジションが得られる。標準装着の本革巻きステアリングホイールや、アルカンタラのドアトリムもうれしいアイテム。まさに“小さな高級車”である。
(後席)……★★★
レザースポーツシートをお勧めするもうひとつの理由が後席の装備だ。2リッターモデルは標準だが、1.6ツインスパークでは省かれる後席中央の3点式シートベルトとヘッドレストが、本革使用では追加されるからだ。しかし、グレードの違いでこういった安全装備に差をつけるのはいかがなものだろう?
後席の居住性だが、厚みのあるクッションのおかげで座り心地のよいシートは、足もと、膝のまわり、そして、頭上ともに十分なスペースが確保される。ただ、上に向かって絞り込んだルーフのため、視覚的には多少窮屈な感じ。中央席はアームレストを収納した状態なので座り心地は悪く、長時間ここに座らせられるのは遠慮したい。
(荷室)……★★
奥行き70cm強、幅が約95〜120cm、パーセルシェルフまでの高さが約46cmのラゲッジスペースは、このクラスとしては標準的なサイズ。当然、リアシートは可倒式で、左右独立して倒すことも、さらに、クッションを起こしてダブルフォールドすることも可能だから、工夫すれば人と荷物をたくさんのせることができる。
気になったのは、リアの開口部の敷居がやや高めで大きな荷物の出し入れには不便なこと。また、ハッチにオープナーが備わらず、リモコンを使わないとテールゲートが開けられないのが機能的とはいえない。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
注目の1.6リッターエンジンは、最高出力120ps、最大トルク14.9kgmのスペックからもわかるように、たしかに2リッターに比べて絶対的な性能は劣る。とはいうものの、車両重量1240kgと、2リッター5MTモデルより約60kg軽いボディを走らせるには十分な実力。5段マニュアルの最終減速比を低め、さらに、低めに設定した1速ギアのおかげで発進に力不足は感じない。フラットなトルク特性により、低中回転域でのレスポンスも申し分ないレベルだ。高回転域で、吹け上がりのよさや心地よいサウンドが味わえないのは寂しいが、1.6リッターでも十分だと断言できる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
スポーティなイメージが強いアルファだが、乗り心地にドイツ勢のような硬さがなく、むしろソフトに思えるほどの快適性は、1.6ツインスパークにもあてはまる。高速道路では十分フラットで、首都高速の目地段差を超えたときのショックもよく遮断されている。「グッドイヤー・イーグルNCT5」(195/60R15)とアルミホイールの組み合わせのせいか、路面によっては多少バタついたのが気になった。
60kgほど軽くなったこのクルマは、ノーズの軽さも手伝って、回頭性のよさが光る。この軽快感が、ライバルに対する大きなアドバンテージになるはずだ。
(写真=清水健太/2004年6月)
|
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2004年4月15日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:2943km
タイヤ:(前)195/60R15(後)同じ(いずれもグッドイヤーイーグルNCT5)
オプション装備:スポーツレザーシート(18万9000円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(5):山岳路(3)
テスト距離:304.2km
使用燃料:32.5リッター
参考燃費:9.3km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD)【試乗記】 2026.5.28 前衛を身上とするフランスのラグジュアリーブランド、DSオートモビルから、新たなハイエンドモデル「DS N°8(ナンバーエイト)」が登場。当代屈指の性能を誇る電気自動車であり、かの地では大統領専用車にも選ばれる一台の、独創の魅力に触れた。
-
メルセデスAMG GLC53 4MATIC+(4WD/9AT)【海外試乗記】 2026.5.27 「メルセデス・ベンツGLC」にスポーティーな「メルセデスAMG GLC53 4MATIC+」が仲間入り。「43」と「63」の中間、AMGとしては松竹梅の竹にあたるモデルだが、今後はそのポジションの重要性がさらに増すことになるという。本国ドイツでドライブした印象をリポートする。
-
マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R(FR/6MT)【試乗記】 2026.5.26 販売台数わずか200台の限定車「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R」に試乗。スーパー耐久レース参戦をはじめとするマツダのモータースポーツ活動を担うサブブランドが生み出した初の市販コンプリートカーは、いかなる走りをみせるのか。
-
NEW
どうしてピアノブラックの内装材は多用されるのか?
2026.6.2あの多田哲哉のクルマQ&Aよく目にするピアノブラックの内装材は、「キズや脂汚れが目立つ」などネガティブな評価もしばしば。それでも多用されているのはなぜか? 車両開発者の多田哲哉さんに聞いてみた。 -
NEW
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】
2026.6.2試乗記かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。 -
レストモッドがイメージ 特別なオニツカタイガーの魅力に迫る
2026.6.1オニツカタイガーの新作ドライビングシューズを知る<AD>オニツカタイガーが、“レストモッド”と呼ばれるクルマのレストア&カスタム手法に着想を得たドライビングシューズを発表。4タイプ製作された、「MEXICO 66 DRIVING」のスペシャルバージョンの魅力に迫る。 -
新生アルピナは成功するか? その将来とBMWとの関係について考える
2026.6.1デイリーコラム具体的なデザインスタディーも公開され、いよいよ市場展開が見えてきた新生アルピナ。将来的な成功の“確度”やいかに? BMWによる新たなアルピナ像について、両ブランドに詳しい西川 淳が詳しく解説する。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】
2026.6.1試乗記「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。 -
日産リーフB7 G(前編)
2026.5.31思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が新型「日産リーフ」に試乗。初代のデビューから15年余りを経て生まれた3代目はスタイリングも中身も刷新。苦境にある日産を立て直す重責を担っている。箱根のワインディングロードでの印象を聞いた。



























