ホンダ・シビック1.8GL(5AT)/シビックハイブリッドMX(CVT)【試乗速報】
8代目はミドルクラス 2005.10.14 試乗記 ホンダ・シビック1.8GL(5AT)/シビックハイブリッドMX(CVT) ……246万2250円/275万1000円 ホンダの「シビック」がフルモデルチェンジで8代目となり、日本ではセダンのみが導入されることになった。すでに発売されているガソリンエンジン車と、11月に販売が開始される「シビック ハイブリッド」の2台に乗った。欧米では大ニュース
「シビック」がフルモデルチェンジで8代目になった――というのは、本当は大ニュースなのだ。1972年の初代デビューでは小型車の新たな姿を示したとして大人気となり、以来ホンダを代表するベーシックカーであった車種なのだから。しかし、本国である日本より、ヨーロッパ、アメリカでのほうが、ずっとバリューの大きいニュースになっている。日本で販売されるのはセダンだけで、ハッチバックは導入されない。
寂しいような気もするが、今やシビックは世界160か国で1600万台を売り上げたグローバルカーなのだ。日本での販売目標は月わずか2500台であるが、ホンダにとってこのモデルの重要性はとても大きい。力が込められている証拠に、新しいパワーユニットが用意されている。1.8リッターi-VTECエンジンは、バルブコントロールの高精度化でポンピングロスを低減し、先代で使われていた1.7リッターエンジンに比べて5kgの減量と13mmのサイズダウンを果たし、6パーセントの低燃費を実現したと謳っている。
また、ハイブリッドモデルにも気合が入っている。1.3リッターエンジンはバルブ制御が2段階から3段階になり、ホンダ自慢の「IMA(Integrated Motor Assist)」もモーター、コントロールユニット、バッテリーのすべてが見直された。システム全体の出力を20パーセント高めながら、10・15モードの燃費を5パーセント向上させた(31.0km/リッター)という。
「ワル顔」に「未来」のコクピット
顔つきは、最近のホンダにお決まりの「ワル顔」である。「オデッセイ」「ステップワゴン」と同様に、低く構えて鋭い目つきでにらむ。しかし、似ているのはエクステリアだけで、運転席に収まるとまったく違う印象の造形が目に広がるのだ。「マルチプレックスメーター」と名付けられた上下2段のメーターパネルは、なんだか未来の宇宙船じみている。鮮やかなブルーが目にまぶしいほどで、年配のユーザーはちょっとなじみにくいかもしれない。でも、メッシュ使いと少しひしゃげた円形が印象的なステアリングホイール、折れ曲がった形状のブレーキレバーなどが強調して作り出すコクピットの雰囲気には統一感があって好ましく感じた。
ドアトリムの樹脂を指で押してみたら、力に応じて少しだけ沈み込み、柔らかく押し返した。センターコンソールのモノ入れを手で探ったら、底にしっとりとした感触の表皮が敷かれていた。明らかに、従来よりも高級感のある素材が使われている。「フィット」が登場した今では、シビックはもはやエントリーグレードではない。ミドルクラスへと位置づけを変えようとしていることが、このあたりにもはっきりと表れている。
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進化したハイブリッド
乗り味も、一段上を目指していることがわかる。まず乗った1.8リッターモデルでは、アクセルを踏み込めば力強く加速するものの、「ガンバってる感じ」を出さないしつけが感じられた。子供っぽくシャカリキに先を急ぐふうがないのである。トルク特性の変化や遮音の巧みさなどが組み合わさっていい印象をもたらしているのだと思うが、とにかく大人ぶりを目立たせようとしているのはわかったのだ。街乗りだけの印象だが、不整な路面での入力をしっとりとかわす身振りも、ずいぶん角が取れたように思う。
しかし、その好印象も、すぐに色あせてしまったのである。ハイブリッドに乗り換えてみると、内燃機関のみの動力はいかにも野蛮に思えてくるのだ。エンジンとモーターにCVTが組み合わせられることで比類のないスムーズさがもたらされ、静粛性も高い。ホンダ初のハイブリッド車「インサイト」では異質な動力のマッチングが未成熟なところがあったが、そのあたりの制御はかなり巧みになった。また、フル加速をしばらく続けるとすぐにバッテリーが空になってしまっていた悪癖も、改善されたようである。
「主動力はエンジンで、補助動力がモーター」というホンダの主張は崩していないが、モーターだけで走行するモードが新たに設けられるなど、少しトヨタの方式に近寄った感がある。それでも、横Gを感知するとエンジン回転を高く保ってスポーティな走行を助けるなどという、いかにもホンダらしい機能が加えられていたりする。燃料電池車への道程が未だ不透明ということで、世界的にハイブリッド車への関心が高まっているなか、「プリウス」に対抗しうる歓迎すべき選択肢である。
(文=NAVI鈴木真人/写真=高橋信宏/2005年10月)

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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