スマート・フォーフォー1.5(2ペダル6MT)【ブリーフテスト】
スマート・フォーフォー1.5(2ペダル6MT) 2004.11.16 試乗記 ……228.9万円 総合評価……★★★ 2人乗りのマイクロカーで有名なスマート初の5人乗りモデル「フォーフォー」。トリディオンセーフティセルにポップな外観など、スマートファミリーであることを強調するも、自動車ジャーナリスト金子浩久は……。
|
異端児の弟にしては……
革新的な2人乗りコミューター、「スマート・フォーツー」の5人乗りバージョンである。すくなくとも、名前やエクステリア&インテリアデザインの上ではそういうことになっている。
プラットフォームをはじめ多くの部分を、「三菱コルト」と共用すると伝えられていたが、乗ってみると、“双子車感”はほとんど感じなかった。
かといって、フォーツーに後席を足したクルマかというと、それとも異なる。フォーツーのボディとシートに感じる異様なまでに高い剛性感は、このクルマにはない。
フォーフォーはつまり、いわゆるBセグメントに属する、“普通の”小型車なのである。フォーツーが普通ではないものを目指したのに対し、あくまでフォーフォーが普通の成り立ちをしているところが、本質的な違いだろう。
“普通の”Bセグメントの小型車といえば、ライバルはたくさん存在する。それらに立ち向かうフォーフォーのアドバンテージはなにか? ユニークな造形で、選択肢の多いボディカラー、軽快な走りっぷりなどだろうか。反対に、ライバルたちと較べて見劣りするのは、シートのでき、車内の狭さ、感覚的な慣れが必要なトランスミッションなどだ。
フォーツーは、まったく新しい2人乗り超小型車を生み出すことによって、年々深刻化する都市部の渋滞をはじめとする交通問題を解決しようという、真摯な思想が込められていた。その思想に共鳴するしないにかかわらず、フォーツーは一定の評価を獲得してきた。ミニマムなシティコミューターとしての存在感と能力が抜群に高いからだろう。だが、フォーフォーにそれはない。“普通の”小型車だから、である。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2人乗り“超”コンパクトカーを手がける、スマート初の5人乗りコンパクトハッチとして、2004年9月6日に販売開始。ダイムラークライスラー提携下の三菱自動車が開発した「コルト」とプラットフォームを共用するが、スマートの特徴をうまく活かした内外装により、スマート兄弟であることを演出する。ボディは一部が金属パネル「トリディオンセーフティセル」、カラード部分は樹脂製である。
エンジンは、1.3リッターと1.5リッターの直列4気筒DOHC16バルブ。ダイムラークライスラーが出資する独MDCパワーエンジン社でつくられた、オールアルミの新開発ユニットである。1.3リッターが95ps/6000rpmと12.8kgm/4000rpm、1.5リッターは109ps/6000rpmと14.8kgm/4000rpmを発生。2ペダル式6段MT「ソフタッチプラス」を介して、前輪を駆動する。トランスミッションは、アイドリング時にギアが入っていると、ゆっくり動き出す「クロール機構」を備え、車庫入れなど、低速時の操作性を高めたという。
(グレード概要)
フォーフォーは、エンジン排気量がグレードになる。すなわち、「フォーフォー1.3」と「フォーフォー1.5」の2グレード構成だ。装備品として、いずれにもAM/FMラジオ付きCDプレーヤー、セミオートエアコン、リモートコントロールセントラルロックなどが標準。4つのエアバッグやESPなどの安全装備も全車標準で備える。
1.5は、シルバーカラーのトリディオンセーフティセルとラジエターグリル&ドアミラーカバー、本革巻きステアリングホイールなどで、1.3と内外装を差別化。「パノラミックグラスルーフ」を装備するのは1.5のみ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
シンプルでカジュアルな、基本的にはフォーツーの流儀を引き継ぐインテリアデザイン。だが、センターコントロール部分に集中させたオーディオとエアコンのスイッチ類が小さ過ぎて、使いにくいところもある。
装備で魅力的なのは、1.5リッターモデルに標準装備される「パノラミックガラスルーフ」。車内が明るく、さらに軽快な印象になる。オプショナルで、スライディングルーフも選べる。
(前席)……★★★
見た目は頼もしそうなシートだが、座面、背面ともにホールド感が心許ない。街乗り中心の使い方ならば不満を感じないだろうが、長距離走行でも大丈夫、とは言い切れない。
フォーツーのシートは見た目こそスリム。だが、剛性感は高く、いくら長距離を走ってもしっかりと身体を支えてくれるのと対照的だ。
(後席)……★★
見た目も平板で、座ってみると明らかにクッション不足。前席以上に、長距離走行は苦手だろう。150mmの前後スライド機構に加え、分割式ダブルフォールディング式を採用するなど、機能はととのっている。
(荷室)……★★
容積はリアシートを起こした状態で268リッターと、クラス平均を下まわる。たたんでも910リッターにとどまるが、助手席を前に倒せば長尺物が積める。
分割ダブルフォールディングは、まずシート背面を前に倒し、次に座面と一緒に前へ持ち上げる。シートが荷室と前席を仕切ってくれるのは安心だが、リアフェンダーとサイドシル部分の車内への出っ張りが大きく、荷室の使い勝手を削いでいる。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
1.5リッター、1.3リッターとも、従来の三菱コルトが積むユニットとは別物の新開発直列4気筒オールアルミエンジン。低中回転域でのトルク感に乏しく、まわすとやや騒がしい。トランスミッションは、フォーツーでお馴染みのオートマチックモード付き2ペダル式6段MT「ソフタッチプラス」。オートマチックモードで走ると、特有の糸を引くような変速感覚は残っているが、変速ショックはだいぶ小さくなった。もちろんフォーツーと同様、オートマチックモードで乗るよりも、マニュアルシフトした方が小気味よく走れる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
動き出した瞬間から降りるまで、終始、フォーフォーの運転感覚を支配しているのは身軽さだ。1030kgと車重は実際軽いうえ、運転してもヒラリヒラリ、フワリフワリと軽快に走る。フォーツーが、「ガッシリ、ビチッ!」と走るのと、これまた対照的。それはそれで悪くないが、電動パワーステアリングのせいか、タイヤのトレッドが路面を掴む接地感に乏しい。
(写真=高橋信宏/2004年11月)
【テストデータ】
報告者:金子浩久
テスト日:2004年10月4日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)195/50R15(後)同じ(いずれもコンチネンタル コンチエココンタクト2)
オプション装備:
テスト形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(4):山岳路(6)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

-
BYDシーライオン6 AWD(4WD)【試乗記】 2026.7.11 BYDのプラグインハイブリッド車「シーライオン6」の4WDモデルが登場。先に登場したFFモデルにリアモーターを追加したという説明は間違いではないが、実はエンジンが違うばかりか、加速力にも別物といえるくらいの差がつけられている。300km余りをドライブした印象をリポートする。
-
スズキ・エブリイワゴンPZターボスペシャル ハイルーフ(MR/CVT)【試乗記】 2026.7.8 フロントマスクが変わったのはすぐにお気づきのことと思うが、実は最新の「スズキ・エブリイワゴン」は中身のレベルアップが著しい。内装デザインが刷新されたほか、アダプティブクルーズコントロールなどの軽バンらしからぬ装備も標準化されている。ワゴンの最上級グレードを試す。
-
ポルシェ911 GT3 S/C(RR/6MT)【海外試乗記】 2026.7.7 スポーツカーの水準器「ポルシェ911」に、新たなバリエーションの「GT3 S/C」が登場。サーキット直系の走りとオープンエアの爽快感は、私たちにどんな体験をもたらしてくれるのか? ポルシェのおひざ元である、ドイツのワインディングロードで確かめた。
-
日産リーフB5 X(FWD)【試乗記】 2026.7.6 先に登場した「B7」の容量78kWhに対して、少し控えめな容量55kWhの駆動用バッテリーを搭載する「日産リーフB5」。日常使いをシミュレートしながら、現実的な一充電走行距離や走り、使い勝手を、購入を真剣に検討するカスタマー目線でチェックした。
-
スズキ・ハスラー ハイブリッドX(FF/CVT)【試乗記】 2026.7.4 スズキの軽クロスオーバーモデル「ハスラー」のマイナーチェンジモデルが登場。愛らしいフロントマスクにお化粧直しが施されたほか、先進運転支援装備が一段と充実。さらに走行性能の強化も図るなど、そのメニューは盛りだくさんだ。「ハイブリッドX」グレードのFFモデルに試乗した。
-
NEW
スライドドアはいつから? 「日産エルグランド」登場前夜の国産ミニバン史
2026.7.14デイリーコラム間もなく「日産エルグランド」の新型が発売される。これに限らずわが国は多くのブランドが多くのモデルをラインナップするミニバン王国なわけだが、そもそも国産ミニバンはどのようなかたちで始まり、どのような進化を遂げてきたのだろうか。多人数乗車モデルの歴史を解説する。 -
NEW
自動車メーカーがアピールする「ちょうどいいクルマ」って何ですか?
2026.7.14あの多田哲哉のクルマQ&A自動車メーカーはしばしば、「ベスト」や「最高」ではなく、「ちょうどいい」というキーワードで製品をアピールすることがある。その意図や背景は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】
2026.7.14試乗記マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。 -
日産キックスG(FF)/キックスX e-4ORCE(4WD)【試乗記】
2026.7.13試乗記日産のコンパクトSUV「キックス」が、いよいよフルモデルチェンジ! デザインもパワートレインもプラットフォームも刷新された新型は、見ても乗っても長足の進化が感じられる力作となっていた。日産の再生を担う重要モデルの仕上がりを報告する。 -
みんなで乗れるアメリカンSUBARU 3列シートSUV「アセント」はどれだけ大きいのか?
2026.7.13デイリーコラムアメリカで生産されているスバルの3列シートSUV「アセント」が、日本でも2026年後半から販売される見込みだ。一体どんな魅力の詰まったクルマなのか、発売を前にその特徴を予習しておこう。 -
ポルシェ911カレラT(前編)
2026.7.12ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバル&STIでクルマの走りを鍛えてきた辰己英治さん。そんな彼が今回試乗するのはポルシェが誇るスポーツカーの代名詞「ポルシェ911」の、しかも操る楽しさを追求したグレード「カレラT」だ。その走りは、ミスタースバルの目にどう映ったのだろうか?





























