メルセデスベンツ A200エレガンス(CVT)【試乗記】
Aクラスにおけるグレード間の価値についての考察 2005.08.12 試乗記 メルセデスベンツ A200エレガンス(CVT) ……311万2200円 メルセデス・ベンツの末っ子「Aクラス」において、トップグレード「A200エレガンス」の価値はなんなのか? ベンツにおけるAクラスとA200について考えた。困った
「A200エレガンス」に乗って……困った。『webCG』でお伝えした「A170」(252万円)と「A200エレガンス」(309万7500円)を人が乗って移動する道具として見ると、「A170のほうがお買い得な気がする」と思ったからである。
新型Aクラスは、1.7リッター直4SOHC 8バルブ(116ps/5500rpm、15.8kgm/3500-4000rpm)を搭載する標準グレード「A170」、内装にウッドパネルなどを奢った「A170エレガンス」と、2リッター直4SOHC 8バルブ(136ps/5500rpm、18.9kgm/3500-4000rpm)を積む「A200エレガンス」の3本立て。“エレガンス”を名乗る2グレードは、ドアハンドルがブラックではなくボディ同色、フロントグリルはクローム付きシルバーに変更。インテリアは、ウレタン製ステアリングホイール&シフトノブは本革巻きだ。機能装備として、レインセンサーやオートライトを採用するほか、エアコンが左右独立調整式のクライメートコントロールとなる。つまり豪華版である。
A170エレガンスとA200エレガンス、エンジン以外の大きな違いはタイヤサイズだ。前者が185/65R15を履くのに対して、後者は195/55R16インチ。トランスミッションは全車「オートトロニック」と呼ばれる、7段マニュアルモード付きのCVTである。
A200の価値とは?
リポーターは正直、「A170、メルセデス・ベンツらしさを求めるにしてもA170エレガンスでイイんじゃないかなぁ」と思った。20psと3.1kgmの差があるとはいえ、よくできたCVTのおかげで十分走る。大きめのタイヤサイズは高速安定性やコーナリング性能に寄与するとはいえ、目地段差での突き上げが強くなり、「Aクラスというクルマにピッタリこない」という印象を受けたからだ。
じゃあ、A200エレガンスを買う価値はどこにあるのかしら? と悩んだあげく、『CAR GRAPHIC』誌の若手編集部員にしてベンツ事情に明るい、八木亮祐と考えた。
オオサワ:八木くん、A200エレガンスの価値って、なにかな?
八木:ムズカシイこと訊きますね……。Aクラスは、ベンツのエントリーモデルとしてその役割を果たしてますし、新型が先代に較べて格段の進化を遂げましたが。
オオサワ:それはもう、すでに『webCG』でやってしまって。そのなかでもトップグレードたるA200エレガンスの価値を考えようと。
八木:うーん。たとえば「CLS350」と「CLS500」なら、簡単だと思うんですよ。CLS350はシャシーとエンジンのバランスが素晴らしい、でも「お金があるならCLS500いっとけ!」みたいな。5リッターV8というベンツの定番エンジン搭載車でもあり、機械とかベンツならではのありがたみがあります。
オオサワ:そうなのよ。それがEクラスになっても……。
八木:ほぼ同じです。4ドアセダンの王道にして必要十分な「E240」、ど真ん中で手堅く「E350」。また「E500」は、それ自体に伝説じみたモノがあって「EクラスはE500でしょー!」っていう方もいらっしゃるので。
オオサワ:別格だよね。
21万円に潜む価値
八木:そう考えると、Aクラスにおけるグレード間の格差は、メルセデス・ベンツラインナップのなかでも、微妙なのかもしれません。
オオサワ:微妙な差異がクルマとしての価値に大きく関わってることもあるけど、Aクラスの場合は、難しい。
八木:「世間体」とか「数字でイバる」「余裕」などの価値観と切り離して考えると、なおさらです。
オオサワ:実際、一番売れているグレードはA170エレガンスなんだって。
八木:メルセデス・ベンツらしさと実益(?)を兼ね備えたグレードですね。
オオサワ:A170エレガンスとA200エレガンスの価格差は21万円。自動車専門誌に属する人間としては、「それほど大きくない」ともとれる。
八木:21万円の差に価値を見いだす人がいることも、想像に難くないですね。
オオサワ:うん。それにしても、難しいコト訊いちゃってゴメンね。
八木:いや〜、難しかった(笑)
オオサワ:そういえば、こないだのドイツの取材は?
八木:アレですか、アレはですね……。
なんてことを話しているうちに、日が暮れた。クルマに求められる価値は、かくも微妙で深淵なもの、なのかもしれない。以上、「メルセデス・ベンツAクラスにおけるグレード間の価値についての考察」でした。
(文=webCGオオサワ、CAR GRAPHIC八木亮祐/写真=荒川正幸/2005年8月)

大澤 俊博
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