BMW530i Hi-Line(5AT)【ブリーフテスト】
BMW530i Hi-Line (5AT) 2001.01.27 試乗記 ……721.0万円 総合評価……★★★★ (価格はテスト時/掲載時の車両本体価格は643.0万円)3リッターがふさわしい
5シリーズは、従来のM52型からマイナーチェンジによってM54型という新しい直列6気筒エンジンを搭載した。狙いは、より一層のパフォーマンスと環境調和性の向上。新エンジンには2493ccと2979ccがあり、それぞれ525iと530iに搭載される。結論から先に言うと、約500ccの差は大きく感じられた。約80万円の価格差以上のパフォーマンスをもたらす。2.5リッターユニットは、滑らかでBMWらしい、いい6気筒だが、車両重量1560kgには、絶対的な力が不足してる。5シリーズには、3リッターがふさわしい、と思った。ノーマルか豪華版Hi-Lineかは、お好みで。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1995年にデビュー、翌年から日本に導入された、BMWのミドルレンジを担う高級スポーティモデル。2000年11月にマイナーチェンジを受け、2.5リッター/3リッター直6と4.4リッターV8を載せたセダンと、2.5リッター/3リッターのワゴン「ツーリング」がラインナップされた。装備充実仕様の「Hi-Line」を全車に、エアロパーツなどを奢った「M-Sport」をセダンに設定する。
(グレード概要)
530i Hi-Lineは、先のマイナーチェンジで導入された、新型のオールアルミ製3リッター「M54」型ユニットを搭載。従来の528iにかわるモデルとなる。ノーマル仕様より装備が奢られたHi-Lineは、モンタナレザーシート、DVDナビゲーションシステム、ハンズフリーテレフォンシステム、クルーズコントロールなどを標準装備する。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
世界中の自動車メーカーに影響を与えたBMW流のインテリアデザイン。機能的に吟味されており、非の打ちどころがない。完成されたスタイルといっていい。だが、機能的に完璧なだけでは物足りなくなるのが、自動車が「純粋機械」ではなく、「商品」であり、「欲望の対象」である証左だ。機能的な完璧さを維持しつつ、そろそろ新しい試みを見てみたい。
(前席)……★★★★
大振りなシートは、体を包み込んでくれる。ホールド性も文句ない。電動調節やメモリー装置も使いやすい。高級なクルマだけのことはある。
(後席)……★★★
基本的には前席同様に優れたシートだが、試乗車にオプションで装着されたチャイルドシートは評価が分かれるところだ。座面を引き出して着座位置を上げることで、一般的なチャイルドシートを使わずとも、子供を安全に座らせる。そのことは秀逸なアイデアだが、しかしBMWもカタログで断っているとおり、チャイルドシートとして使わない時に大人が座ると、板の上に座っているようで、かけ心地が損なわれる。劣化分は決定的ではなく、我慢できる範囲ではある。ユーザーにとって理想的なのは、後席の片側だけをチャイルドシートにすることだが、今のところ、後席左右2人分が必須で、4.0万円のオプション装備。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
パワー、トルク、レスポンス、いずれもBMWの伝統通り、素晴らしい。BMWのエンジンは、物理的な特性が優れていることとあわせて、ドライバーに「いいクルマ」「いいエンジン」を操っていることを実感させる「演出」がウマい。クルマ好きの泣きどころを、よくわかっている。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
エンジン同様、530iの乗り心地とハンドリングはスポーティだ。ハンドルをすこし切っただけで、クルマはスッと姿勢を変えるし、路面状況の変化がステアリングから伝わってくる。それも、巧みな「演出」といえるかもしれない。ただ、下りのワインディングロードでは、さすがに重量を感じさせる。機敏に走るというわけにはいかない。それでも、つい威勢よく走ってみたくなってしまうのも、ビーエムならではだ。
(写真=阿部ちひろ)
【テストデータ】
報告者:金子浩久
テスト日:2000年11月21日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:1139km
タイヤ:(前)225/55R16 95H M+S/(後)同じ(いずれもContinental ContiTouringContact)
オプション装備:メタリックペイント(7.0万円)/電動サンルーフ(13.0万円)/後席チャイルドシート(4.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(5):高速道路(5)
テスト距離:-
使用燃料:-
参考燃費:-

-
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】 2025.10.18 「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。
-
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】 2025.10.17 「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。
-
スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2025.10.15 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。
-
トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】 2025.10.14 2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。
-
BMW R1300GS(6MT)/F900GS(6MT)【試乗記】 2025.10.13 BMWが擁するビッグオフローダー「R1300GS」と「F900GS」に、本領であるオフロードコースで試乗。豪快なジャンプを繰り返し、テールスライドで土ぼこりを巻き上げ、大型アドベンチャーバイクのパイオニアである、BMWの本気に感じ入った。
-
NEW
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
NEW
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
NEW
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
NEW
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。