トヨタ・マークX 300Gプレミアム(6AT)【試乗速報】
“未知の可能性”に期待 2004.11.18 試乗記 トヨタ・マークX 300Gプレミアム(6AT) ……448万350円 1968年の登場から30年以上を経て、名前も新たに生まれ変わったトヨタのFRセダン「マークX」。上級セダンの本質を追究したという新型を、『webCG』記者がショートインプレッション。ほとんど「クラウン」?
1968年に誕生した、トヨタ伝統のFRミドルセダン「マークII」が、フルモデルチェンジして「マークX」となった。“II=ツー”なら“X=テン”と思うのがフツーだが、新型は“未知の可能性”ということで“X=エックス”である。
FRセダン市場は高齢化&縮小傾向で、マークIIのユーザー平均年齢は58歳だったという。新型は若いユーザーにアピールすべくイメージチェンジ。ダイナミックを標榜するデザインや、車両性能に磨きをかけて登場した。
2850mmのホイールベースやサスペンション形式(前ダブルウィッシュボーン/後マルチリンク)が示すとおり、プラットフォームは「クラウン」と同じ。前後オーバーハングを切りつめて全長は110mm短縮。慣性重量を小さくしたことによる、高い運動性能が自慢である。
その他は基本的にクラウンを踏襲。6段AT(4WDは5段)はクラウンよりコンパクトな新型を搭載するが、エンジンは変わらず。足まわりは、重量配分の変更に合わせて最適化を図り、フロントサスペンションのアッパーマウントブッシュを硬めに変更、剛性を高めた。さらに車高が低くなったことにともない、ロールセンターが若干下げられた。
「ほとんどクラウンと同じじゃないの?」と思ったが、内外装のつくりは趣が異なる。ドライバーを車両中央に据え、前後タイヤと二等辺三角形をなす「トライアングルフォルム」は、マークXがパーソナルセダンであることの表明。助手席にも8ウェイパワーシートを装着するなど、前2席のプライオリティが高いことが特徴だ。
かといって、後席をないがしろにしてはいない。広さはクラウンと同等なうえ、7段階リクライニング機構を採用。リアオーバーハング短縮により荷室が小さくなったことに対応するため、5:5分割フォールディング機構を与え、さらにフロントシートはフルフラットにできるなど、「プレミオ/アリオン」みたいな便利機能も備わる。
未知の可能性を求めて生まれ変わったとはいえ、旧来のユーザーも大事なお客様。ショールームでのアピールや、わかりやすい機能性は重要である。ミニバンに慣れた若い人には、むしろグっとくるモノがありそうだ。
たしかにお買い得
走ってみると、“クラウンよりスポーティ”の言葉にウソはない。新型クラウンが走りに振ってきたのだからクラウン並なのは当然、車重が70kgほど軽いから動力性能も高い。ただ試乗車が18インチタイヤを履いていたせいか、路面状況が悪いと乗り心地はいまひとつ。挙動も乱されやすく、ステアリングへの干渉がやや強いなど、このあたりはクラウンのほうが高級かつ上質だと思った。
リポーターは「もっとスポーティでもいいんじゃないの?」と思ったが、それでは旧来のユーザーがついてこられない。スポーティセダン「アルテッツァ」が、トヨタの上に立つレクサスブランドに移行することをふまえると、高性能を求めるには政治的な限界もありそうだし……。
そう考えると、クラウンより安く、部分的には上まわるシャシー&動力性能が手に入る、マークXはたしかにお買い得なクルマだ。セダン市場を盛り上げるというマークXの“未知の可能性”には、大いに期待したい。
(文=webCGオオサワ/写真=高橋信宏/2004年11月)

大澤 俊博
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