プジョー307CC S16(5MT)【ブリーフテスト】
プジョー307CC S16(5MT) 2004.04.09 試乗記 ……430.5万円 総合評価……★★★★ バックオーダーを抱えるほどの人気を誇った「プジョー206CC」に続き、“フル4シーター”を謳う「307CC」が登場。自動車ジャーナリストの金子浩久が、神奈川県は箱根で乗った。
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「406クーペ」の後継!?
「206CC」より、4人乗りとして現実的なボディサイズでの電動開閉式ハードトップの採用に大賛成! 206CCでは右タイトコーナーでの死角が気になった太いAピラーも、307CCでは気にならない。適切なボディサイズだからだろう。
ドライブフィールに、いわゆる“猫足”セッティングが顕著なのも喜ばしい。どんな路面も、どんなクルマの動きもやんわりと受け止めてくれる、懐の深いシャシーとサスペンションは大きな魅力だ。“CC化”とは別に、高く評価したい。
ほかにも、十分なラゲッジスペースや、豊富なエクステリアとインテリアのカラーバリエーションなど、4シータークーペとして内容は濃い。このコンセプトを受け継いだ、固定ルーフのオーソドックスなクーペができてもいいくらいだと思う。現行「406クーペ」の後継車は、もしかして307CCか?
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「プジョー307CC」は、パリサロンでプロトタイプを発表、欧州では2002年にリリースされた。人気を博した「206CC」と同様、電動格納式ハードトップによってクーペ(C)とカブリオレ(C)の楽しさを両立したことがウリである。ボディサイズの制限で、206CCは事実上2人乗りだったが、307CCは“フル4シーター”を謳う。
日本でのラインナップは、ベーシックな「307CC」、レザートリムなどが付く上級「プレミアム」、ナビゲーションシステム搭載の「プレミアムAVN」と、スポーティ版「S16」の4種類。エンジンは、PSAグループでお馴染み、最高出力137psの2リッター直4DOHC16バルブだが、S16のみ、メカクロームが手を入れたハイチューンユニット(177ps)を搭載する。トランスミッションは、S16のみ5段MTを採用。ほかは、シーケンシャルモード付きの4段ATが組み合わされる。
(グレード概要)
S16のパワーソースは、ホットハッチ「206RC」と同じ。最高出力177ps、最大トルク20.6kgmを発生する。トランスミッションも206RCと同じ5段MTだが、重量増を考慮して最終減速比を変更。206RCの3.947から、307CC S16は4.294と、低く設定された。タイヤは、スポーティな「205/50R17」サイズを履く。
装備は、アルミ製シフトノブ(ATは革張り)を装着する以外は、基本的に307CCプレミアムと同じ。ダッシュボードやドアアームレストが革張りの「インテグラル・レザー・インテリア」などを標準装備する。前席シートヒーターが備わるのは、S16の左ハンドル仕様のみ。他グレードにはオプションでも用意されない。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
歴代プジョーの常で、インパネの意匠は素っ気ない。革内装が体裁を取り繕ってはいるが、いつもトップを下ろして走る場合は耐久性が気になる。オープンで走ると、想像以上に車内は汚れ、直射日光に蝕まれ、雨露に打たれるもの。だから、合成樹脂製の方が理に適っているとも言える。
エアコンやオーディオなど、必要な装備は揃っているが、シートヒーターが備わるのはS16の左ハンドル仕様のみで、ほかはオプション設定もない。クルマの性格上、シートヒーターを標準装備化することを望む。
(前席)……★★★★★
ドライビングポジションを、他の307シリーズに比べて40mm下げたことが、とても効いている。ミニバンぽくなく、乗り心地やハンドリングにも貢献する、自然で好ましい運転姿勢だ。たっぷりとした大きさのシートのかけ心地も申し分ない。
(後席)……★★★★
トップを上げた状態では、頭上と足元の空間はミニマムだが、不思議と圧迫感が小さいのは、後席のサイドウィンドウが完全に下がるCCならではだろう。前席のサイドウィンドウも開ければ、かなり広い視界で車外の様子を眺めることができる。
(荷室)……★★★★
ハードトップを上げた状態で307ハッチバックより9リッター大きい、350リッターのラゲッジ容量はスゴい。だが、このクルマはトップを下げたり上げたりすることに存在意義があるわけだから、トップを下ろした状態を基本容量と考えるべきだろう。それでも204リッターあるのは立派。後席を“第2の荷室”と考えれば、実用性は十分だ。
ちなみに、ボディサイズがはるかに大きい「メルセデスベンツSLシリーズ」は、オープン時は206リッターだが、閉めても288リッター(SL55AMG以外の数値)にとどまる。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
307CC S16は、ホットハッチ、206RCと同じ、メカクロームの手になるヘッドユニット付きの2リッター直列4気筒を積む。最高出力177ps、最大トルク20.6kgmのスペックもRCと同様。5段MTと組み合わされるが、206RCが持つ“弾ける感じ”が薄いのは、車両重量が380kg重いからだろう。高回転チューンユニットゆえ、トルクの細さはどんなシチュエーションでも否めないが、シュンシュンと軽快によくまわるからフラストレーションはない。特にパワフルとも、スポーティとも感じないが、ファイナルギアがRCより低く設定され、適切なので、動力性能に痛痒はない。クラッチ踏力とギアシフトは軽く、MTならではのダイレクトフィールは、発進停止が繰り返されない地域で、ATに対するアドバンテージにもなる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
まず、他の307シリーズより40mmも着座位置を下げたことによって、ナチュラルなドライビングポジションが生まれたことに拍手! 307はステアリングホイールを上から抱え込み、背もたれが立った、ミニバンのようなドライビングポジションだったが、307CCは違う。とてもクルマらしい。
硬めで「ゴルフのようだ」と評されたサスペンションも、ホイールを柔軟にストロークさせて路面からの入力やクルマの挙動変化を吸収する、プジョーらしいタイプに戻った。
ハンドリングはスポーティ。電動パワーステアリングながらフィールは良好で、微細な領域に反応する。エンジンパワーに頼り切るスポーティとは一線を画し、前輪の向きを変えるタイミングと時間のコントロールに集中することで、運転を楽しめる。
(写真=峰 昌宏)
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【テストデータ】
報告者:金子浩久
テスト日:2004年3月18日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前) 205/50R17(後)同じ
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(1):山岳路(7)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

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