第39回:日本のチューニング界は今!(その6)ラリーアート「イマイチ印象に残らなかった ラリーアート ランサーエボリューションVIII」
2003.06.23 小沢コージの勢いまかせ!第39回:日本のチューニング界は今!(その6)ラリーアート「イマイチ印象に残らなかった ラリーアート ランサーエボリューションVIII」
■“デジタル的”に速い
チューンドカー試乗会も、コイツで最後。正直、あんまり印象に残らなかったなぁ、エボVIII。速いことは速いんだけど、インプレッサの「速いトラック」のようなゴリゴリ感とか、TRD「ヴィッツターボ」の「これで街乗り用かよ?」ってなうるさいエンジン音の後だと霞んでしまう。無限「アコード ユーロR」の「洗練された硬さ」みたいのもなかったしね。
元々「ランエボ」はですね。メチャクチャ速いんだけど、乗ってるとそれをあまり感じさせないクルマ。俺的にね。速いことは速いんだけど。それがステアリングフィールの荒さとか、乗り心地の硬さとか、エンジンのうるささに比較的現れない。これまたインプレッサとは対象的で、アッチが「ブロロロロ……」って、いかにも“アナログ的”に速いのに対し、コッチは知らず知らずのうちに速い。“デジタル的”。
■ノーマルの方が硬い!?
ラリーアートチューニングもそれを生かしており、実際、ノーマルより足は一部柔らかくなってるんだとか。これがくーだらない話で、実はノーマルの足ってのは、雑誌での「筑波アタックタイム」のために硬められてる。逆に、普段走りでは硬すぎるわけで、このラリーアートチューンってのはそれを補い、適度に柔らかくするために存在してるのだ。本末転倒な気もするけどね。ま、いっか。
ってなわけでこのクルマ、かなり乗り心地いいです。エンジンも決してうるさくないわけではないけど、インプレッサとは比べ物にならないほど静かだし、ステアリングフィールも普通。っていうか俺的には刺激が少ないくらい。
ある意味印象は薄い。しかし疲れないで速い、って点ではこれ以上望めないクルマかも。
(文=小沢コージ/2003年6月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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