日産ティアナ350JM(FF/CVT)【試乗記】
スカイラインのよう 2003.02.21 試乗記 日産ティアナ350JM(FF/CVT) ……368.8万円 2003年2月3日に発表された、日産の高級4ドアセダン「ティアナ」は、ラクシャリーセダンが苦戦する市場に、“和のテイスト”を盛り込んだインテリアで特色を出したニューモデル。神奈川県で開かれたプレス向け試乗会に、webCG記者が参加した。
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FFでも高級!
清水カメラマンが「日産ティアナ」を撮影している。試乗するクルマは、「サファイアブラック」のボディペイント。発表会の際に屋内で見たときより、よほど“高級”に見える。
ティアナは日産の新型4ドアセダンで、「現代的にアレンジされた日本的高級感を取り入れた」というのが開発コンセプトだ。当初、「セフィーロ後継の大型FF(前輪駆動)セダンで“高級”?」と、いまひとつ納得していなかったから、実車を見たときは、エラそうで恐縮だが、「見直した!」と思った。
2003年2月18日、神奈川県は大磯で「日産ティアナ」のプレス試乗会が開催された。ネイティブアメリカンの言葉で“夜明け”を意味する期待のニューモデル。試乗会でお話した日産の商品企画スタッフは、「ローレル、セフィーロに代わるクルマ」と説明してくれた。「ブルーステージ」の販売チャンネルで売られ、「セドリック」と「ブルーバード シルフィ」の間に位置する。
ティアナは、北米日産「アルティマ」(わが国でのブルーバードにあたる)が使う「FF-Lプラットフォーム」、つまりFF(前輪駆動)の大型モデル用シャシーを採用した。
ボディサイズは、全長×全幅×全高=4770×1765×1475mm、ホイールベースは2775mm。セフィーロ(4920×1780×1440mm/2750mm)よりやや小さく、ライバルと目されるトヨタ「マークII」(4735×1760×1460mm/2780mm)と拮抗する大きさだ。
なぜセフィーロの名前を捨てたのかを商品企画の方にたずねると、「セフィーロは広くて実用的だったが、高級のイメージがなかった」。また、消滅したローレルに関しては「高級イメージはあったが、室内が狭かった」とのこと。
FFモデルの美点をもつセフィーロは、玄人筋には受けがよかったが、たしかに、高級のイメージは薄かったかもしれない。ローレルは、というと、低くて小さいキャビンがカッコよかったころのマークIIを見習った(?)古いコンセプトのFR(後輪駆動)セダンだったから、さもありなん。
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特色は“和風”
ティアナのエンジンには、3.5リッターV6(231ps/5600rpm、34.0kgm/2800rpm)、4WD専用の2.5リッター直4(160ps/5600rpm、24.5kgm/4000rpm)、そして新開発の「VQ23DE」型こと2.3リッターV6DOHC24バルブ(173ps/6000rpm、22.9kgm/4400rpm)の3種類。
トランスミッションは、2.3リッターと2.5リッターが、コンベンショナルな4段AT。トップグレードたる3.5リッターには、「エクストロニックCVT」と名付けられた大排気量エンジン用のベルト式CVTが組み合わされる。6段マニュアルモード付きである。
乗ったのは、3.5リッター「350JM」。ブラックのエクステリアに、「アガート」と呼ばれる紺色のインテリアカラーを用いたクルマだ。ドライバーズシートに座ると、背もたれが反っているのに驚く。コタツ用の座椅子のようだ。「これでは上体がサポートされない」と思ったが、実際にはバックレストのサイドが見かけ以上に張り出しているので、体にフィットしてちゃんとホールドしてくれる。
ウッド調パネルがインパネを横切る。“高級”を謳うティアナだが、ウッドパネルではなく、ウッド“調”である。木目が縦に入った「柾目(まさめ)」で、通常のウッドパネルのように木目が横にウネウネ流れないので「シャープで清潔感があってイイ」と感じた。ちなみに、「柾目」という言葉は、この日の技術説明会で学んだ。
メーターが汎用なのと、センタークラスター内のスイッチ類の配置が煩雑なのが残念だが、全体のデザインには統一性がある。和風とはシンプルと見つけたり。
ティアナのデザインをとりまとめた中島敦チーフプロダクトデザイナーは、セダン不遇の時代なので「特色を出さないといけない」と語る。もっともである。商品企画部からは、「“スポーティ”でも“プレミアム”でもないコンセプトをつくってくれ」と言われたという。つまり、“スポーティ”は日産の場合スカイラインに当てはまるし、プレミアムはあまりに陳腐だからである。そこで、外観はシンプル&バランス重視でアッサリまとめ、インテリアに注力することにした。
ちなみに、商品企画部が市場調査したところ、200から300万円台のセダンを買う男性は、奥様の言うことに素直に従うことがわかったという! 家庭人なのだ。ダンナは外観を重視、運転して気に入ればOK。ところが、奥様は車内が大事だと考える。
一方、ライフスタイルに関するリサーチの結果、インテリア、建築、ファッションなどにおいて、社会的トレンド(!)は“モダンテイストの和風”ということが判明した。そこで、流行に敏感なご婦人の趣向に考慮して、ティアナの室内はジャパニーズテイストとあいなった。
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とにかく速い
350JMで走りはじめる。アクセルペダルをそっと踏み込むだけで、クルマは軽く前にでる。それもそのはず、フェアレディZにも搭載される「VQ35」ユニットは、セダン用にセッティングが見直された。34.0kgmの最大トルクこそ、フェアレディのそれより3.0kgm小さいが、発生回転数は、なんと2000rpm低い、2800rpmである。
CVTはスムーズ至極。エンジン回転数だけ上昇することもなく、CVT独特の高周波も聞こえなかった。
西湘バイパスの合流で全開加速を試したが、あまりの速さにアクセルペダルを踏む力がゆるむ。3.5リッターモデルは全車、VDC(ビークルダイナミクスコントロール)が備わる。トラクションコントロール機能が付くので、VDCをオンにしてさえいれば、FFでもホイールスピンせず、最大限の加速が可能。料金所からのスタートダッシュなど、とにかく速い。
さらに、乗り心地がとてもよい。足まわりは全体的に締まっていて、80km/h程度では段差や継ぎ目でショックを伝えるが、収束が早い。キャビンが揺すられることのないフラットな乗り心地だ。サスペンション担当エンジニア氏いわく、「フワフワする“快適”ではなく、スカイラインのようなフラットライドを目指した」とのこと。車両安定性が高いせいか速度感が希薄で、フォルクスワーゲン「パサート」などの欧州車に似ていると感じた。
ティアナは、中国やタイ、オーストラリアなどのアジア地域に輸出され、年間で10万台(うち国内は2.5万台/年)の販売を目指す戦略車でもある。経営計画「日産180プラン」のコミットメント、「2004年までに100万台の販売増」への貢献が期待される。
(文=webCGオオサワ/写真=清水健太/2003年2月)

大澤 俊博
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