トヨタ・カルディナGT-FOUR Nエディション(4AT)【試乗記】
“詰めが甘い”ワゴン 2002.10.03 試乗記 トヨタ・カルディナGT-FOUR Nエディション(4AT) ……319.0万円 2002年9月13日、3代目となったトヨタ「カルディナ」。スポーツワゴンの雄、スバル「レガシィ」を追撃すべくつくられた、トップグレードの「GT-FOUR Nエディション」に、自動車ジャーナリストの金子浩久が乗った。GT-FOURといえば……
2002年9月30日、ノーマルの(?)トヨタ「カルディナ」とは別に、260psユニットを積むハイスペック版「カルディナGT-FOUR」のプレス向け試乗会が、河口湖周辺で開催された。
GT-FOURといえば、かつてトヨタのスペシャルティ「セリカ」の高性能版に付けられた名前で、1997年までのWRC(世界ラリー選手権)における活躍が思い出される。もっと遡れば、原田知世が主演したホイチョイプロダクション製作の映画『わたしをスキーに連れてって』である。初代GT-FOURたる“流面形”のセリカが、彼女の元に駆けつけるために、苗場から志賀高原(このふたつのスキー場は、実は苗場山をはさんで向こう側とこちら側に位置しているのですね)へ雪の山岳路をブッ飛ばす。
でも、バブルの色が濃い1980年代的軽薄映画に頼らなくても、クルマ好きの間では初代セリカGT-FOURの評判は広く知れ渡っていた。1986年に発表された初代「セリカGT-FOUR」は、トヨタ初のフルタイム4輪駆動車としてデビューした。“新開発”の「3S-GTE型」エンジンは、水冷式インタークーラーとターボチャージャーを装着し、185psの最高出力を発生した。
初代セリカGT-FOURのことを確認するために、いま資料を繰ってみたのだが、最新モデルのカルディナGT-FOURに同じエンジンが使われていることにちょっと驚く。初代セリカGT-FOURの登場はずっと昔のこと、と思っていたからだ。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
興をそぐエンジン
260psを発する2リッター「3S-GTE」ターボを搭載し、駆動方式には、1.8リッターや2リッターのNA(自然吸気)モデルと異なる、ビスカスカプリング式フルタイム4輪駆動システムが装備される。足まわりも、GT-FOUR“Nエディション”だけは専用のダンパーが奢られた。フロントには倒立型ダンパーとコイルばね付きパフォーマンスロッドを、リアにはモノチューブ型ダンパーを装着する。
走らせてみると、カルディナGT-FOURの足まわりはビシッと締まっている。215/45ZR17サイズのヨコハマ「アドバンA046T」という、高性能タイヤのグリップ具合がステアリングホイールを介して手の平に伝わる。これ以上締め上げたら、「ゴツゴツと硬くて乗れないな」と思わせる寸前の硬さだ。ステアリングフィールはしっかりしており、ワインディングロードを狙ったライン通りに走ることができる。
しかし、せっかくの機敏で正確なハンドリングも、エンジンが興を削いでいる。レスポンスが鈍く回転の落ちが悪い。ターボエンジンの悪癖が残っているのだ。最も頻繁に使う回転域である、2000rpm台での反応が良くないが決定的だ。260psの最高出力は6200rpmで発生することになっているが、4000rpmを超えてからはエンジン音がやかましくなり、回転も苦しげである。デビューから16年を経たエンジンの、古臭さがあることは否めない。もう少しスムーズでレスポンスに優れたエンジンと組み合わされれば、この足まわりの良さを生かして、スポーティな味わいを十分に発揮できたのではないか、と残念だ。
目指したのは「GT-FOUR」?
2ドアクーペの「セリカ」が売れないので、ワゴンのカルディナに“走りのGT-FOUR”を設定したのだろう。イギリスには、スポーツカーをワゴン化した“シューティングブレーク”というカテゴリーがあって、アストンマーチンやジャガー、リライアントなどに少数見られた。カルディナGT-FOURが、そこまで考えてつくられたのかどうかは疑問だが。
“Nエディション”のハンドリングはスポーティだが、クルマ全体を見ると疑問が残る。たとえば、ハイペースで走行できるワゴンなのだから、後席と荷室を仕切る「ラゲッジネット」の装備は安全上必須である。
高性能なワゴンを、どんなユーザーがどう使うかということを、もうすこし想像する必要があったのではないだろうか。開発担当者は、必ずしもワゴンをつくりたくてつくったわけではないのかもしれない。“GT-FOUR”をつくりたかったのではないか? 富士スバルラインを走っていたら、そんな気がしてきた。
(文=金子浩久/写真=清水健太/2002年9月)

-
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】 2026.7.18 ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
NEW
第340回:一にエンジン、二にカッコ
2026.7.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。マツダ渾身(こんしん)のラージ商品群を応援するカーマニアのひとりとして、「CX-60」と「CX-80」の動向は常に気になっている。3列シートSUV、CX-80の最新モデルにあらためて試乗して感じたこととは? -
NEW
日産は“再挑戦”でホンダは“終了” 新型「エルグランド」発売に見る、プレミアムミニバンの今
2026.7.20デイリーコラムトヨタが圧倒的なシェアを占める上級ミニバンの世界において、新型「エルグランド」で復権をねらう日産。しかし、なぜフルモデルチェンジは16年ぶりになったのか? ホンダはどうするのか? この市場の今を考察する。 -
NEW
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.7.20試乗記3000台の限定で販売される新型「インサイト」は、クロスオーバー風のフォルムと、これまでのホンダ車にはなかった内外装のデザインテイストが新鮮だ。中国で生産され、日本独自の名前が与えられた新型電気自動車の走りと仕上がりを、ロングドライブで確かめた。 -
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。
























