マセラティ・グラントゥーリズモ スポーツ(FR/6AT)【試乗記】
円熟のイタリアンGT 2013.02.20 試乗記 マセラティ・グラントゥーリズモ スポーツ(FR/6AT)……2090万3000円
自然吸気の4.7リッターV8エンジンを搭載する4シーターイタリアンGT、「マセラティ・グラントゥーリズモ スポーツ」の6段ロボタイズドMTモデルに試乗した。
今が最もうまい時期
マセラティは1914年にマセラティ兄弟がイタリアのボローニャで創業した。創業以来、いろいろな企業に経営権が渡った。ここで歴史を詳しくひもとくつもりはないが、僕なりに分類すると、60年代以前はオルシ家が経営し、美しすぎるクーペを生んだだけで十分のFR黄金期。60年代後半から70年代前半はシトロエンが経営し、流行のミドシップを取り入れ、得意のハイドロを盛り込んだ“調子良ければ最高”期。70年代後半から90年代はデ・トマソが手を差し伸べ、カクカク、ギラギラ、ツインターボでドーピングの北方謙三期。そしてフィアット傘下となり、フェラーリと関係を深める現在に分けられると思う。
現在のマセラティは、この「グラントゥーリズモ」と「クアトロポルテ」の二本立て。クアトロポルテは先に本国で新型に切り替わり、日本でも年内に切り替わる。となると、グラントゥーリズモもそろそろカウントダウン、円熟期に入ったと見ることができる。果物や刺し身同様、最もうまい時期といえよう。
現在、グラントゥーリズモには、4.2リッターV8エンジンのベースモデルと、4.7リッターV8の「スポーツ」、それにスポーツを軽量化して走りを研ぎ澄ました「MCストラダーレ」がある。ベースモデルは6段AT(マセラティは「MCオートシフト」と呼ぶ)のみの設定、スポーツは6段ATとシングルクラッチの6段ロボタイズドMT(「MCシフト」と呼ぶ)を選べ、MCストラダーレはロボタイズドMTのみとなる。加えて、オープンの「グランカブリオ」とその「スポーツ」(いずれもAT)の計5種類。1550万〜2125万円の豪華なラインナップだ。