スバル・インプレッサWRX NB(5MT)【ブリーフテスト】
スバル・インプレッサWRX NB(5MT) 2000.08.30 試乗記 ……258.3万円 総合評価……★★★ターボの嵐
ギョロ目の「New Age」インプレッサ。WRXと総称されるセダンは、「磨き抜いてきた走りのポテンシャルをさらに高める」ためにトレッド拡大。ブリスターフェンダーが5ナンバー枠を突き破る。
2リッター・ボクサーターボは、アイドリングからしてタダモノではない。ドコドコドコドコ……。腹に響く低音の魅力。
スポッと身体をバケットシートにはめて走り出す。高めの視点が、いかにも当代一流ラリーカーの後継車。
ニューエンジンは、吸気側可変バルブタイミング機構採用で、中低回転域のトルクを太らせた。3500rpmからは、大径化されたターボが本領発揮。インプレッサは滑空開始。
ロウで60km/h、セカンドで100km/h、サードでは……。7000rpmのレブリミットまでひっぱれば、シフトアップのたび、回転計の針は、4500rpm、5000rpmと、過給の嵐のなかに着地する。途切れない加速感。このクルマ、ホントに250ps? 競技車ベースのSTiバージョンは、2000年10月に登場するという。これ以上速くしてどうするの?
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
インプレッサは、2000年8月23日に、8年ぶりのモデルチェンジを受けた。日常性を重視した5ナンバーのワゴン、走りを進化させるため3ナンバーになったセダンと、性格をはっきり分けた。エンジンラインナップは、ワゴンが、1.5リッター、2リッター、同ターボ、セダンは、2リッターNAとターボ。
(グレード概要)
セダンはWRXと呼ばれることに。NBは、250psを発生するターボユニットを搭載。NAモデル(155ps)より車高が5mm低められる。リアにLSDが装備されるのも、ターボモデルの特権。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネまわり+装備)……★★★
タコメーターをセンターに配した3連メーターがスポーティ。ただ、黒基調、ところどころ「銀」使用のインパネまわりは、陰気。ビルトイン式ナビゲーションシステムをオプション装備として装着することができる。
(前席)……★★★★
先代よりヒップポイントを30mmアップした前席。バケットシートに肩を抱かれたら、目を三角にして走るほかあるまい。ラチェット式の座面高さ調整機構をもつ。上下50mmの調整が可能。軽快に動く。
(後席)……★★
前席に較べて、少々お粗末な後席。座面を落とし気味にして頭上空間を稼ぐ。バックレスト一体型のヘッドレストは、高さが低すぎる。ツルツルする「通気性のよい表皮」は好みの分かれるところ。
(荷室)……★★★
床面最大幅135cm、奥行き95cm、高さ50cmと、標準的な荷室。幅×奥行き×高さ=48×26×46cmの帽子ケースを、なんとか立てて収納できた。トランクスルー不可。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
独特のエンジンビートを発する、存在感大のフラット4。低速域でもトルクの細さを感じさせない。3500rpmからは、怒涛のパワー。シフトのストロークは標準的だが、フィールはカッチリして、品質感高し。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
路面のゴツゴツを素直に拾う足まわり。キモチは「走り」に。250psをしっかり受け止める懐の深い4輪ストラット。無闇に滑らない。ヨンクならではのノサッとしたところあり。
(写真=井手孝高)
【テストデータ】
報告者: web CG 青木禎之
テスト日: 2000年8月29日
テスト車の形態: 広報車
テスト車の年式: 2000年型
テスト車の走行距離: 790km
タイヤ:(前)205/50R16 87V/(後)同じ(いずれもYokohama Advan A680)
オプション装備: HIDロービーム+濃色ガラス+リアスポイラー+K'sマスターサウンドシステム(20.0万円)
テスト形態: ロードインプレッション(プレス向け試乗会)
走行状態: 市街地(2):山岳路(8)
テスト距離: --
使用燃料: --
参考燃費: --
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青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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