フォード・エスケープ 3リッターV6 XLT(プリプロダクションモデル)(4AT)【ブリーフテスト】
フォード・エスケープ 3リッターV6 XLT(プリプロダクションモデル)(4AT) 2000.12.05 試乗記 ……(価格未定) 総合評価……★★★★柔らかい兄弟
マツダ・トリビュートの兄弟車。車体の基礎部分であるプラットフォームと、エンジンやトランスミッションなどの基幹部分を共用。しかし、ボディは、屋根以外は異なったプレスを用いる。
右ハンドルのトリビュートとエスケープはマツダの防府工場製。つまりテスト車は山口県産。
本国でのエスケープは、エクスカージョン、エクスペディション、そしてエクスプローラーの下に位置するフォードSUVラインナップの末弟。兄貴たちがみなフレーム付きのボディを有する、つまりトラックからの派生モデルなのに対し、エスケープはモノコックにサブフレームを付加した「ユニタイズドボディ」構造。原野を踏破することより、舗装路でいかに快適に走れるかに主眼を置いた、フォード初の「ライトクロカン」だ。
日本仕様の試乗に際しては、「トリビュートとの違いをどこに出すか」が最大の興味。「スポーツセダンのようなハンドリング」を目指したトリュビュートとは、サスペンションのセッティングが大きく異なり、柔軟な足まわりによる乗り心地のよさに好感をもった。
発売は2000年12月中旬、価格は250万円以下になる模様。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
フォード/マツダ共同開発のシャシーを使用。前マクファーソンストラット、後マルチリンク式の4輪独立懸架をもつ、いわゆる「ライトクロカン」だ。3リッターV6もしくは2リッター直4を横置きし、多板クラッチを用いた「ロータリーブレードカプリング」を介して4輪を駆動する。フォード名エスケープ、マツダ名トリビュート。 北米はカンサスシティでつくられる左ハンドル車と比較して、右ハンドルは、バルクヘッド、フロントドアのインシュレーター、ウェザーストリップなどに手が入れられ、室内の静粛性に配慮された。
(グレード概要)
無限の可能性を追い、自らの枠を乗り越えるアドベンチャー精神あふれるライフスタイルをコンセプトに、先行(?)発売された北米では、1998年8月から「No Boundaries/Ford Outfitters」キャンペーンを展開。日本市場には、3リッターV6、2リッター直4モデルがラインナップされる。トランスミッションは、いずれもコラム式4ATである。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
メーター類、ダッシュボードの各種スイッチ類の配置やデザインなどは、トリビュートと同じ。というよりも、こちらが本家本元か。
とはいえ、誰(多民族国家)が、どこで(多様な気象条件と道路状況)乗っても大丈夫なよう、使いやすさを優先した大らかさは、アメリカ車そのもの。マツダの血が混じったため、エクスプローラーやその上のエクスペディションなどよりは、「すこしだけインターナショナル」。具体的には、カーナビ画面をダッシュボードの中心に据えて、オーディオの情報などもそこに表示させるデザイン手法は国際的な流れに沿うものだが、個々のスイッチや操作部分が大きくて、アメリカ人以外には間延びして見える(?)
(前席)……★★★
装着されたカーナビの画面に、フロントガラスからの日光が当たると、ほとんど何も見えない。「TILT」ボタンでディスプレイを上下方向に角度調節できるのだが、それでも「ひさしのようなものを設けて影をつくらないと」と感じる場面が多かった。要工夫。
シート形状はトリビュートと変わらないが、生地が違う。トリビュートより張りの強い、ザックリとした触感のシート地。しっかりとしたクッション。マツダの兄弟車より好ましい掛け心地を示す。
(後席)……★★★
トリビュートのように足まわりを硬めていないので、後席に座っても、コーナリング時の「横G」で、振りまわされることはない。生地が違うだけのはずなのに、なぜかホールド性もよく感じる。
(荷室)……★★★
ゲイトのみならず、ガラスハッチだけでも開閉できるのは便利。オープナーが、ハッチゲイト用、ガラスハッチ用と、並べて配置されるのもトリビュートと同じ。荷室の空間自体はボディの大きさの通りだけ。分割可倒式のリアシート背もたれを倒せば、さらに広いスペースが出現する。アウトドアーに便利な、アクセサリーソケットを備える。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
V6ユニットは、トリビュートと同じ、203ps/6000rpmの最高出力と、27.0kgm/4700rpmの最大トルクを発生。3リッターとして標準的なパワーとトルク、レスポンスを備える。動力性能に問題はないが、アイドリング時、加速時の音と振動がやや大きめ。ザラついたフィールをもつ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
「SUVなのにスポーツセダンのようなハンドリング」を標榜するトリビュートとは違って、エスケープは路面の凹凸や段差などをスムーズに吸収する。柔らかめの乗り心地が快適だ。
オフロードでも、その足まわりのセッティングが効いて、つまり漸進的に伸び縮みするサスペンションが、乗り心地とハンドリングを良好に保つ。
SUVは質量が大きく、重心位置も高いので、「スポーツセダンのように」ではなく、サスペンションが柔軟にショックを吸収しながら走るのが自然だ、と思う。すこしでも未舗装路を走る機会があるのなら、なおさらである。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:金子浩久
テスト日:2000年11月24日
テスト車の形態:広報車(プリプロダクションモデル)
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:1762km
タイヤ:(前)235/70R16 105S/(後)同じ(いずれもブリヂストン Dueler H/T)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(6):山岳路(2)
テスト距離:222.4km
使用燃料:31.2リッター
参考燃費:7.1km/リッター

-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2026.8.24 スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。
-
NEW
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
NEW
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。 -
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。 -
“自然を連想する車名”の名車特集
2026.9.1日刊!名車列伝暑さが和らぐ一方で、台風シーズンとも呼ばれる9月。その風をはじめ、星座、景観など自然を連想させる名前が与えられた、世界の名車を日替わりで紹介します。 -
興味があるのはたったの3割!? 自動車業界を揺るがすSDVやAIって本当に必要なの?
2026.8.31デイリーコラム自動車も、スマホのように機能がアップデートできるようになる! ……ということで注目されるソフトウエアディファインドビークル(SDV)だが、日本のユーザーの多くが「いらない」と思っていることが判明! 急速に進むデジタル技術の、必要性について考えた。





