フォルクスワーゲン・ザ・ビートル デザイン レザーパッケージ(FF/7AT)【試乗記】
アイコンの力 2012.05.20 試乗記 フォルクスワーゲン・ザ・ビートル デザイン レザーパッケージ(FF/7AT)……303万円
フォルクスワーゲンの人気モデル「ニュービートル」の新型がいよいよ日本導入となる。新しい車名が与えられた「ザ・ビートル」はどんな風に進化したのか。
アップデートされた“普通”
「本当はこの記事にはスペックなんて記したくなかった。そんなものは、このクルマにとってたいした意味を持っていないのだ」
2005年に「ニュービートル」がマイナーチェンジを受けた時に書いた記事の冒頭にそう記した。「ザ・ビートル」にも同じ気持ちを抱く。あらためて、アイコニックなデザインモチーフを持つ強みに感服する。ファニーな表情は薄くなったものの、初代ビートルを範とするカタチは唯一無二のものだ。クルマとしての性能をうんぬんする前に、見ただけで「欲しい!」と思わせる力を持っている。
とはいえ、中身だってたいしたものだ。パワートレインはごく普通なのだが、大幅にアップデートされた“普通”である。1998年デビューのニュービートルは、2リッターエンジンに4段ATの組み合わせだった。後期には6段ATに替えられたものの、現在の基準からすればかなり旧式である。この数年でフォルクスワーゲンが進めたダウンサイジングは目覚ましいもので、その革新の成果が、ザ・ビートルにはしっかり取り入れられている。
ベースとなっているのは現行の「ゴルフ」だから、堂々たるワールドスタンダードだ。1.2リッターTSIエンジンに7段DSGの組み合わせが与えられている。すでにゴルフや「ポロ」ではおなじみのもので、性能は実証済みだ。必要にして十分なパワーがあり、加速はスムーズで間然するところがない。燃費はJC08モードで17.6km/リッターというから、エコ性能はニュービートルと比べものにならない。慣れてしまって当たり前に感じているが、ずいぶん高度な“普通”である。