第3回:直撃! びっくりオート上海2013
もしや13億人のスーパーカーブーム!?
2013.04.30
小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ
まさに“年末のアメ横”状態
うぉぉぉぉぉぉ! まさに脱帽、まいったぜオート上海2013!! 今回15回目を迎えた上海モーターショー。もはや多少の事では驚かなくなっていた不肖小沢でありますが、またまたびっくり! “量”はもちろんすっかり“質”まで変わり始めちゃっているからだ。
分かりやすいびっくりデータからいくと、総展示面積28万平方メートルはおそらく世界1位か、フランクフルトに次ぐ2位! 母屋数は前回より2箱増えて今回17箱! 会場は上から見てわかりやすい三角配置で、正面玄関から右がE列、左がW列で、その両方を新しくできたN列がつなぐ。
さらに出展メーカー約2000社!(日本の約10倍!)、出展車1300台(日本の約3倍!)、ワールドプレミア、つまり世界初公開111台(こちらも数倍)、アジアプレミア49台と続く。ただし、開催期間はほぼ1週間と長くなく、来場者数100万人前後で確か極端に多くはなかったと思う(忘れました……)。
でまあ、今回もやたらとたくさんクルマが出ているのだが、その手の情報はもういっぱい出まわっているだろうから後回し。それよりも、なにが今回の驚きだったかというと、それは人の流れだ。今や、中国は空前のスーパーカーブームなのだ。ただし、かつての日本と違って少年だけの現象ではなく、“大人も子供も総ミーハー状態”って感じでそこがそこが面白くもスゴい!
顕著なのは、公開初日の日曜日の人混み。お天気良好で全体的に混んでいたのだが、ことN1ブース、つまりフェラーリ、ランボ、ポルシェ、ロールス、ベントレー、ブガッティ他(なんと日本のアルパインブースも!)が入ってる俗称“スーパーカー館”の前は長蛇の列だった。一部報道済みだけど、入場制限のかかったブースの前にはおそらく縦100m×横20~30人ぐらいの人の波。入るまでにざっと1時間弱はかかった。
しかも入ったら入ったで不肖小沢もへきえきしたが年末のアメ横のような渋滞。クルマがマトモに見れないのはもちろん、頭のテカった息の臭いオヤジが体を押しつけてくるわ、カメラ小僧は邪魔くさいわで大変も大変。日本じゃあり得ない、頭から湯気のパワートランス状態なのだ。
いつかはクラウンじゃなく、次はフェラーリ!?
ただ、不思議なのは他のブースはそれほどでもないこと。ベンツやキャデラック、BMW等のいるブースはかなりすごかったが、民族系のチェリーこと奇瑞汽車や長城汽車、意外にもオシャレなヒュンダイブースもさほど混んでない。残念ながら日系ブースもだ。で、過去3回を通して考えると、ここまですごいバラツキもなかったと思う。
これは在中4年目の編集者と話していて結論にいたったのだが、「おそらく中国人は、ここに来て共通の夢を持つにいたった」ってことなんだな。過去は過去で中国ショーはすべて混んでいたが、見たいものは結構バラバラで、輸入車を見たい人、中国車を見たい人などいろいろ。事実「ディーラーにまとめて行く」ようにショーにも行っていたのだ。その即売会的価値は高かった。
ところが今回N1に見に来てた中国人、李さん(32歳)いわく「やっぱカッコ良いじゃないですか、スーパーカー。普段見られないし。それに買うつもりの人も結構いて、VIPには結構招待状出してるし、今、ベンツ、BMWに乗れてる人は、“次はフェラーリ”って普通に思ってるみたいですよ」
これには驚いたが、今、普通に働いている特にお金持ちでもない中国人の中には「俺、将来絶対フェラーリ買うから!」とか「アタシ、ポルシェ欲しいのよね~」と断言する人も少なくない。もともとが楽天気質なのに加え、それだけ中国人の生活レベルが普通に上がっているからだ。
バブル崩壊だなんだとも言われているが、ここ10年余、中国経済は上がりっぱなしで、ご存じ給料は年に17%も上がることが労働法で決まっている。
結果、目に見えるように生活が豊かになっている人が多く、中でも今成功してメルセデスやBMWに手が届いている人は、「次はフェラーリ」と普通に思えるワケ。
これって本当にすごいことで、世界的にもそこまで大衆が夢を見た国とか時代ってないんじゃないだろうか。日本の高度成長だってせいぜい「いつかはクラウン」だったし。
今の中国はまさにスーパーカーブームで、事実、北米と並んでフェラーリ、ランボルギーニ、ベントレーが世界一売れる国。ある意味、夢の国であり、それが今回不思議な「N1ブース渋滞」へとつながったのだ。
ちなみにこのN1ブースでフェラーリとロールスに挟まれつつ、ランボの対面という“驚異のポジション”を獲得した日本のアルパインブースだが、立役者の統括部長、倉持勝美さんいわく「(場所取り事情は)詳しく言えませんが、大変でした」とのこと。ホントに今の中国でこの場所ってものすごい価値だと思う。同じ日本人としてステキ過ぎっ!
夕方からはVIPが続々
そんな中国の驚異的なマーケットパワーを見せつけられたのは、当の一般公開初日の午後6時以降。さすがに会場もすき始め、マスコミをはじめ、やっと帰り始めたか……と思いきや、どっこい、人がチラホラ入り始めている。しかも中国人にしては……って言っては失礼だけど、みんなオシャレでリッチムードプンプンで、それも結構子供連れで来てる。
駐車場にも続々クルマが逆流しつつあって、中国車もあるが、おなじみ「ポルシェ・カイエン」に「ランボルギーニ・ムルシエラゴ」に「ロールス・ロイス ファントム」まで!
くぅ~、こりゃVIPへの秘密即売会開催か! と思いきや、今回、プレスデイが2日から1日に削られた代わりに、初日夜に非公開で夕方6時半から夜9時半までのナイトチケットなるものが新設され、チケットが高級車ディーラーからVIP顧客にガンガンにまわっていたらしいのだ。仕事帰りに、ちょいとスーパーカー&新車チェックって……ヤルなぁ中国。東京でもやればいいのに……。
事実、今回の華の一つであるトップスピード時速408.84kmの「ブガッティ・ヴェイロン16.4 グランスポーツ ヴィテッセWRCエディション」は、一応限定8台の1台199万ユーロってハナシだったが、知り合いの中国人ライターいわく「当日会場で現物を500万ユーロでソク買いした中国人がいる」とか。
若干マユツバ系ではあるが、あり得ないハナシじゃない。中国のリッチ族にまつわる逸話はいとまがなく、資産4ケタ億円!! という人もザラ。となるとコノ手のクルマを億でポーンと! ってのはあり得なくもないのだ。
アベノミクスになんとかいちるの望みを託している不肖小沢としては、何ともはや……な現象だけど、正直ちょっとした円安だけじゃかなわないすごさですな、参った(苦笑)。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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