MINIクーパーS クーペ(FF/6MT)【試乗記】
妥協なき突貫小僧 2012.03.11 試乗記 MINIクーパーS クーペ(FF/6MT)……383万3270円
MINIシリーズ初の2シーターモデルとして生まれた「MINIクーペ」。クルマとしてのできは、いかほどか? ホットな“クーパーS”で確かめた。
オープンになりそうなフォルム
「何それ、ミニのオープン?」
試乗の途中、ふとイタリア旧車のショップに立ち寄ると、「アルファ・ロメオ ジュリア スパイダー」のメンテナンスをしていたM氏が声をかけてきた。なるほど。現代のクルマにはまったくといっていいほど興味のない彼には、そう見えたのか。けれども、ある意味この見立ては正しい。「MINIクーペ」のフォルムは、明らかにオープンを前提としている。ルーフを何とかして折りたたみ、トランスフォームしそうなたたずまいだ。
実際には、オープン版の「MINIロードスター」は昨年10月に発表され、日本でも1月に受注が開始された。多くの部分をクーペと共用し、ルーフにはソフトトップを採用している。2台で2シーターグループを構成し、MINIファミリーを拡大した。今や、MINIのウェブサイトには、スペシャルモデルを除いても、22種類もの選択肢がラインナップされているのだ。これだけバリエーションが広がっても、MINIのアイデンティティーはしっかり保たれているのが偉い。デザインのアイコン性がいかに強いかがわかる。
試乗したモデルのグレードは「クーパーS」で、184psの1.6リッターターボエンジンを搭載する。自然吸気で122psの「クーパー」と211psのハイチューンエンジンを載せる「ジョンクーパーワークス」にはさまれた中間のグレードだ。ロードスターのクーパーSは364万円で、価格差は25万円となる。安い分、オープンエアの爽快さが味わえないとネガティブに考えるか。それとも、クーペならではのアドバンテージがあるお得なモデルなのか。