ドイツメーカーのブース紹介【ジュネーブショー2012】
2012.03.07 自動車ニュース【ジュネーブショー2012】2012年のジュネーブは“ドイツ車バトル”の始まり!?
2012年3月6日に開幕した、ジュネーブモーターショー。今年の会場には、どんなドイツ車が顔をそろえたのか?
■フォルクスワーゲンの“次世代戦略”に注目
ジュネーブショー初日は、フォルクスワーゲンのプレスカンファレンスで始まった。いくつかのモデルが発表されたなかで、個人的にハッとしたのは「ポロ ブルーGT」。地味ながら、現在のフォルクスワーゲングループの底力が感じられたからだ。
フォルクスワーゲン初となる気筒休止システム「ACT(アクティブ・シリンダー・マネジメント)」とアイドリングストップ、回生ブレーキという3種の神器により、1.4リッターTSIユニットは欧州複合モード燃費で21.3km/リッター(CO2排出量108g/km)を実現するという。
フォルクスワーゲンのマルティン・ヴィンターコルンCEOは2015年までに全車平均のCO2排出量を120g/km以下にすると自信満々に宣言したが、しっかりとした裏付けがあるのだ。
しかも燃費がいいだけでなく、最高出力140ps、最高速度210km/h、0〜100km/h加速で7.9秒というかなりの俊足。ジュネーブではラッキーなことに「up!」に試乗する機会を得て、柔軟かつ強靱(きょうじん)な足腰にため息をついた。up!の足まわりの完成度の高さから想像するに、ポロ ブルーGTは次世代コンパクトのスタンダードになると予測する。
アウディのブースでは、新型「A3」が発表された。単に「次期型フォルクスワーゲン・ゴルフになる」というだけでなく、もっと大きな意味を持つニューモデルだ。
そのフォルクスワーゲングループ全体を俯瞰(ふかん)してこれからのポイントになる戦略が、「MQB(モジュラー・トランスバース・マトリックス)」だ。プラットフォームの共有化というと誤解を招くけれど、要は車体設計の基本ルールをひとつ決めて多車種展開を図るというコンセプト。サイズを超えたあらゆる車種、ブランドを超えたあらゆるモデルを同じ生産ラインで製造できるようになる。
そして、MQB第1号がこのアウディA3と次のゴルフになる。いいことばかりのMQBではあるけれど、ちょこっとコケたらドミノ倒しでグループ全体がコケるという不安もないわけではない。したがって、アウディA3には要注目なのだ。新型アウディA3では、アイドルストップと回生ブレーキが採用される。エクステリアのデザインは現行モデルをブラッシュアップした印象で、全長と全高も変化ない。ただし中身は別物で、同グレード比で約80kgの軽量化を果たしているというのがポイント。「1.4TFSI」搭載モデルだと、CO2排出で120g/kmの環境性能を実現するという。
■期待の3代目「ボクスター」
大げさではなく黒山の人だかりとなったのが、ポルシェのブース。「ボクスター」の歴史で初と言っていい抜本的改良が施されることへの期待の高さがびんびん伝わってくる。
ルックスは従来型の延長線上にあるが、ホイールベースが60mm、フロントトレッドが40mm、リアトレッドが18mm拡大されている。ボディーも32mm長くなっているのに間延びした感じがしないのは、フロントオーバーハングは27mm詰められているからだろう。
立派なのは、ひとまわり大きくなっているのに、同グレード比で最大約35kgの軽量化を果たしている点。ボディー設計の見直しが奏功したという。
エンジン排気量は2706ccだから、従来型の2893ccからダウンサイジングを果たした。それでいて最高出力は10ps増量の265ps。軽くパワフルになった新型ボクスターは、どんな走りを見せるのか。
なお、「ボクスターS」の排気量3436ccは変わらず、最高出力は5ps増しの310ps。ニュルブルクリンクでは従来型より12秒速い7分58秒を記録したという。
■フォルクスワーゲンと真っ向勝負のメルセデス
メルセデス・ベンツのブースもにぎやかだった。世界初お目見えとなったのが、「Aクラス」と「SL63AMG」。特にAクラスが選んだ新路線が印象に残る。
従来型までの“サンドイッチ構造”を廃したAクラスのフォルムは、エモーショナルでメルセデス独特の高質感があるものの、一般的なFFハッチバック車に近くなった。
ダイムラーAG取締役会長のディーター・ツェッチェ氏によれば、これが「Bクラス」をはじめとする今後のコンパクトモデルの礎になるとのこと。またコンパクトクラスが今後倍増することも鑑みて、メルセデス・ベンツにとって非常に重要なモデルだと述べた。
搭載されるエンジンは1.6リッター(115ps)から2リッター(211ps)までの直噴ターボ。ヨーロッパではディーゼルターボもラインナップされる。最も燃費がよいモデルでは、CO2排出量99g/kmを達成するという。
もうひとつ面白いのが、「full iPhone integration」を打ち出している点だ。エンジンスペックといい燃費目標といいスマホ対応といい、見事にフォルクスワーゲン陣営とカブっている。
10年ぐらいたつと、「2012年のジュネーブから新時代のバトルが始まった」と振り返るようになるのかもしれない。
(文と写真=サトータケシ)
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
関連キーワード:
フォルクスワーゲン,
メルセデス・ベンツ,
ポルシェ,
ジュネーブモーターショー2012,
イベント, 自動車ニュース
-
NEW
ジョー・バイデン新大統領誕生で自動車産業はどう変わる?
2021.1.22デイリーコラムもめにもめたアメリカの大統領選挙がようやく決着し、第46代となるジョー・バイデン新大統領が誕生した。クルマ好きとして知られる氏は、果たして自動車業界にどんな変化をもたらすのだろうか。 -
NEW
スバル・レヴォーグSTI Sport EX(4WD/CVT)【試乗記】
2021.1.22試乗記いまやスバルの中核モデルへと成長した「レヴォーグ」。六連星(むつらぼし)の新たなフラッグシップと位置づけられる新型は、スポーツワゴンらしい走りと使い勝手のよさが実感できる一台に仕上がっていた。 -
アストンマーティンDBX(前編)
2021.1.21谷口信輝の新車試乗レーシングドライバー谷口信輝が今回試乗したのは、アストンマーティンが開発した高性能SUV「DBX」。そのステアリングを握った走りのプロには、どこか気がかりなところがあるようだが……? -
ホンダCBR600RR(6MT)【レビュー】
2021.1.21試乗記ホンダのミドル級スーパースポーツモデル「CBR600RR」が復活。レースでの勝利を目的に開発された新型は、ライディングの基礎を学ぶのにも、サーキットでのスキルを磨くのにも好適な、ホンダらしい誠実さを感じさせるマシンに仕上がっていた。 -
第690回:GMの本気とBMWの変化球! 大矢アキオがフルオンライン開催の「CES」を練り歩く
2021.1.21マッキナ あらモーダ!オンライン開催された家電エレクトロニクスショー「CES」に大矢アキオが潜入。最新の電気自動車用プラットフォームやフルスクリーンのようなダッシュボード、カーナビゲーションを映し出せるスマートグラスなど、自動車の未来を支える先端技術に触れた。 -
ハーレーのエンベロープをプレゼント!
2021.1.21プレゼント今回は、ハーレーダビッドソンのエンベロープ(封筒)をプレゼント。同ブランド初の量産型電動バイク「ライブワイヤー」が描かれているのがポイントです。奮ってご応募ください。