新型スポーツカー「アルファ・ロメオ4C」上陸

2014.05.27 自動車ニュース 沼田 亨
「アルファ・ロメオ4C」。傍らに立つのは、アルファ・ロメオのイメージキャラクターを務める、女優の長澤まさみさん。
「アルファ・ロメオ4C」。傍らに立つのは、アルファ・ロメオのイメージキャラクターを務める、女優の長澤まさみさん。
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新型スポーツカー「アルファ・ロメオ4C」上陸

フィアット クライスラー ジャパンは2014年5月27日、アルファ・ロメオブランドの新型スポーツカー「4C」を東京都内でお披露目した。同年7月1日に販売を開始する。

フロントまわり。複数の灯火で構成されるランプや盾形のグリルが目を引く。
フロントまわり。複数の灯火で構成されるランプや盾形のグリルが目を引く。
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東京都内で開催された「4C」の発表会では、アルファ・ロメオのエクステリアチーフデザイナー アレッサンドロ・マッコリーニ氏も登壇。同車のデザインにこめたこだわりについて、熱く語った。
東京都内で開催された「4C」の発表会では、アルファ・ロメオのエクステリアチーフデザイナー アレッサンドロ・マッコリーニ氏も登壇。同車のデザインにこめたこだわりについて、熱く語った。
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■期待のかかるスポーツモデル

2011年のジュネーブショーにおけるコンセプトモデルのワールドプレミアから3年と少々、「アルファ・ロメオ4C」の生産型がついに日本上陸を果たした。

プレスリリースによれば、「1930年代のアルファ・ロメオ『8C』および40年代の『6C』に代表される、ブランドが展開してきたスポーツカーの伝統を現代に体現したモデル」とのことだが、正直言ってそこまでさかのぼるかという気がする。戦前のアルファ・ロメオは現代のフェラーリかそれ以上のスーパースポーツだったとはいえ、今ではピンとくる人のほうが少ないと思えるからだ。
とはいうものの、アルファの4Cにかける意気込みというか、このところ薄まっていくいっぽうだったブランドの存在感を再構築する期待を一身に背負っての登場であることが、ヒシヒシと伝わってくるのも事実である。

最初のコンセプトモデルとほとんど変わらない姿で量産化された4Cは、アルファとしては2007年に500台が限定生産された「8Cコンペティツィオーネ」以来の2座スポーツカーであり、その歴史上、初の量産ミドシップスポーツとなる。8Cコンペティツィオーネと同様に、生産はモデナにあるマセラティ工場で行われる。

バスタブ型のカーボン製シャシーとアルミ製サブフレームからなる「4C」の構造を示すイメージ図。
バスタブ型のカーボン製シャシーとアルミ製サブフレームからなる「4C」の構造を示すイメージ図。
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インテリアの様子。「4C」のハンドル位置は左右いずれかが選べるが、限定車「4Cローンチエディション」は左ハンドル車のみとなる。
インテリアの様子。「4C」のハンドル位置は左右いずれかが選べるが、限定車「4Cローンチエディション」は左ハンドル車のみとなる。
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■骨格からして個性的

4Cの最大の特徴は、軽量と高剛性を両立させるために採用された、レーシングカーや超高級スーパースポーツなみのドライカーボン製モノコックシャシー。これも軽量化を狙って導入された低密度SMC(ガラス繊維強化樹脂)製ボディーのスタイリングは、60年代にプロトタイプスポーツ「ティーポ33」のロードバージョンとして18台だけ作られた「ティーポ33/2ストラダーレ」にインスパイアされたものという。

ボディーサイズは全長3990mm、全幅1870mm、全高1185mm、ホイールベース2380mmで、プロポーションは極端に幅広い。ちなみに縦横比は2.13で、「ランチア・ストラトス」(2.12)とほぼ同じ。現行スポーツカーでは「ロータス・エリーゼ」(2.21)を抜いて、もっとも幅広なプロポーションといえるだろう。車重は単体重量わずか65kgというカーボンモノコックシャシーや、一般的なボディー鋼板に比べ20%軽い低密度SMCをはじめとする超軽量素材の採用により、乾燥重量で950kg(日本仕様の諸元値は装備重量で1100kg)におさめられている。

サスペンション形式は、カーボン製モノコックに直付けされるフロントがダブルウィッシュボーン、リアはマクファーソンストラット式で、アルミ製サブフレームに取り付けられる。ブレーキは4輪ベンチレーテッドディスクで、昨秋に行われた国際プレス試乗会の際にはノンパワーだったラック・アンド・ピニオンのステアリングには電動パワーアシストが付いた。タイヤサイズはフロントが205/45R17、リアが235/40R18で、限定車の「Launch Edition(ローンチエディション)」(後述)は205/40R18と235/35R19を履く。

ラゲッジルーム(写真手前)の容量は110リッター。その奥、キャビンとの間にはエンジンがおさまる。
ラゲッジルーム(写真手前)の容量は110リッター。その奥、キャビンとの間にはエンジンがおさまる。
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シートのタイプは、仕様・オプションにより、ファブリックとレザー、レザー×アルカンターラのコンビが用意される。
シートのタイプは、仕様・オプションにより、ファブリックとレザー、レザー×アルカンターラのコンビが用意される。
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オプション設定される、5ホール/ガンメタリック仕上げのアルミホイール。
オプション設定される、5ホール/ガンメタリック仕上げのアルミホイール。
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■際立つパフォーマンス

シートの背後に横置きされるエンジンは、直4 DOHC 16バルブ 1742ccの直噴ターボ。「ジュリエッタ クアドリフォリオ ヴェルデ」用をベースに、アルミブロックの採用や吸排気系の改良などによって最高出力240ps/6000rpm、最大トルク35.7kgm/2100-4000rpmへとチューンが高められた。

変速機は「ミト」やジュリエッタにも採用されている、6段乾式デュアルクラッチ・トランスミッションの「アルファTCT」である。軽量な車体とパワフルなエンジンの組み合わせにより、パワー・ウェイト・レシオは3.96kg/ps。公表されたパフォーマンスは0-100km/h加速4.5秒(欧州仕様参考値)で、2リッター以下のモデルとしては出色の速さである。なお燃費は、JC08モードでリッターあたり12.1kmという。

これもミトやジュリエッタでおなじみの、路面や走行状況に応じてシャシーやパワートレインを統合制御する「アルファD.N.A.システム」には、従来のオールウェザー、ナチュラル、ダイナミックの3つのモードに加えて、新たに“レース”モードが搭載された。これはABSが作動する緊急回避時を除きESCをOFFにするなど、電子制御デバイスの介入を極力抑え、ドライバーの意思のままに車両をコントロールできるようにするパフォーマンスモードである。

気になる価格は、標準の「4C」で783万円。内外装にカーボンパーツを多用し、レザー/アルカンターラシートやHi-Fiサウンドシステムなどを備えた国内100台限定の4Cローンチエディションが891万円。

(文=沼田 亨)

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