アルファ・ロメオ4C(MR/6AT)
人々にスーパーカーを! 2013.10.09 試乗記 ボディーの下にはレーシングカーさながらのカーボン製センターモノコックを隠し、パワー・ウェイト・レシオは3.7kg/ps、0-100km/hをわずか4.5秒で走り切る。しかも、ベースモデルの価格は600万円台!? これまで、こんなイタリアンスーパーカーがあっただろうか。スーパーカー・トゥ・ザ・ピープル! 北イタリアにあるアルファ・ロメオの“聖地”、バロッコ・テストコースからの第一報。目指したのは「アフォーダブルな」スーパーカー
搭載するエンジンが4気筒であることを意味する「4C」という素っ気ないネーミングをもって登場した新しいアルファ・ロメオが、エンスージアストの熱い注目を集めている。その成り立ちをシンプルに表現すれば、「ジュリエッタ」の高性能モデルに搭載されている1.75リッターDOHC 4気筒ターボエンジンを一段とチューンし、2座クーペボディーのコックピット後方に横置きしたミドエンジンのロードゴーイングスポーツカー、ということになる。
少々意外な感じもするが、ミドエンジンの市販型ロードカーというのは、アルファ・ロメオにとって初めてのモデルである。この4Cのスタイリングイメージのベースになったといわれる「33ストラダーレ」はたしかにミドエンジンのロードカーだが、純レーシングモデルの「アルファ33」をベースに18台だけ造られたとされる好事家向けの少量生産車であって、本来の意味のロードカーとも、本当の意味の市販モデルともいえないからだ。
しかもそれに加えてアルファ4Cには、注目に値するポイントがもうひとつある。そのシャシーに、レーシングカーや超高級なスーパースポーツと同様の、カーボンファイバー製モノコックを採用しているのだ。排気量2リッターに満たない4気筒エンジンを搭載したクルマには過剰とも思える設計だが、しかしそこには明確な理由があった。高性能スポーツカーに不可欠な高い剛性を確保すると同時に、類いまれな軽量を達成するためである。
実はカーボンモノコックの採用には、もうひとつ理由があったと推測できる。それはアルファが4Cを単なるミドエンジンスポーツカーではなく、「アフォーダブルな」スーパーカー、つまり「手に余らない」スーパーカー、あるいは「入手しやすい」スーパーカーというべきクルマに位置づけたいと意図していたからだ。そのためには、カーボンモノコックの持つ先進性やプレミアム感は、極めて有効な武器になるに違いない。
“1750ユニット”とは思えぬ加速力
カーボンファイバーモノコック採用の効果は、見事数字に表れている。全長4m弱×全幅1.86m×全高1.18mという、長さに対して幅の広さが印象的なボディーを与えられたアルファ4C、車重は標準モデルで895kgと、今日のロードカーとしては極めて軽量に仕上げられているのだ。例えばひと回り小柄なボディーの「ロータス・エリーゼ」が1.6リッター自然吸気で900kg、1.8リッタースーパーチャージドで924kgだから、4Cの軽さが理解できる。しかも4Cはツインクラッチの6段アルファTCTなど、最新のメカニズムを標準搭載しての重量なのだ。
その一方で、1.75リッター4気筒ターボは240ps/6000rpmのピークパワーと350Nm(35.7kgm)/2200‐4250rpmの最大トルクを発生するから、3.73kg/psというパワーウェイトレシオを達成。その結果、0-100km/h加速4.5秒、最高速258km/hという、排気量2リッターに満たないロードカーとしては望外といえる高いパフォーマンスを手に入れている。
4Cの国際プレス試乗会は、現在はフィアットグループ全体が使っているものの、もともとはアルファ・ロメオが1960年代に運用を始めた北イタリアのバロッコ・テストコースとその周辺の公道を舞台にして開かれたが、プレゼンテーションが終了すると、即座にテストコースでの試乗開始とあいなったのには少々驚かされた。そこでまずはパール系の赤、ロッソコンペティツィオーネなるボディーカラーの一台のコックピットに収まる。
完全デジタルディスプレイのメーターを持つダッシュボードやコントロール類はあくまでモダンな設(しつら)えで、装飾的な要素はほとんど皆無だが、それだけにドライビングに集中できる空間で、ドライビングポジションも違和感なく決まったのが実に好ましい。
そこで走り始めて最初に印象に残ったのが、爽快なパフォーマンスだった。中でも特に中速域から高速域における加速の伸びのよさが印象的で、深く踏み込むと1.75リッターのクルマとは思えぬ勢いでスピードを上げていく。フロアのボタンでモードを選び、ステアリングのパドルでマニュアルシフトする、TCTの変速感も歯切れがいい。と同時に、2380mmという短めのホイールベースにもかかわらず、高速直進性に優れていることも実感できた。
予想外に高そうなクルージング能力
やがてテストの舞台は公道に移ったが、そこに至って4Cはさまざまな魅力をアピールし始めた。フロントがダブルウィッシュボーン、リアがストラットのサスペンションは可変式ではなく、当然ながら硬めのセッティングが与えられているが、その乗り心地が十分に許容の範囲にあるだけでなく、ある種の快適さを感じ取ることができたのがまず好ましい点だった。そこにカーボンモノコックの高剛性が効果を発揮しているのはいうまでもない。
4Cのステアリングは、「ロータス・エリーゼ/エキシージ」を除けば昨今ほとんど例のないノンパワーを採用している。しかしだからといって重すぎることはなく、走りだしてしまえば操舵(そうだ)力は妥当なレベルにあり、パワーアシスト付きには得られないダイレクトな感触を持っている。しかもレシオは16.2とノンパワーとしてはクイックだからレスポンスも鋭い。一方、不整路面ではステアリングホイールが左右に取られる傾向があるが、そんな時は軽くリムを握って手のなかで遊ばせておくと、クルマは路面を意に介さず真っすぐに突き進んでいく。
その成り立ちから容易に想像できるとおり、コーナリングは4Cの最も得意とするところで、テストルートにあったタイトベンドの連続では、いかにもミドエンジンらしいタイトな身のこなしを保って、ほとんどオンザレール感覚でそこを素早く駆け抜けてみせた。さらにブレーキもサーボ感の希薄なダイレクトな感触を持っているから、微妙なコントロールが利く。だから期待するとおり、ワインディングロードを攻めるのが猛烈に愉(たの)しい。
と、そこまでは想像どおりのキャラクターだが、4Cにはそれ以外の魅力も持っていると僕は感じた。そのひとつは、上記の優れた直進性を生かしたクルージング能力への期待で、コックピットは決して静かではないが、それさえ気にしなければ数百kmにおよぶグランドツーリングも気持ちよくこなせるクルマではないかと思った。そのことは同時に、アルファが掲げるアフォーダブルなスーパーカーの重要なファクターにもなり得るはずだ。
4Cのもうひとつの衝撃は、プレゼンテーションの最終章に用意されていた。そこにディスプレイされたのは、多くのオプションを含んだ発売初期の限定モデル、ローンチエディションで730万円という日本におけるプライスの数字だった。ということは、ベースモデルなら600万円代は間違いない。さて、アナタも4C貯金、始めますか?
(文=吉田 匠/写真=フィアット クライスラー ジャパン)
――ヒストリック・アルファも登場! 華やかな試乗会場の様子(カースコープ)はこちら。
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テスト車のデータ
アルファ・ロメオ4C
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3989×1864×1183mm
ホイールベース:2380mm
車重:895kg(空車重量)
駆動方式:MR
エンジン:1.7リッター直4 DOHC 24バルブターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:240ps(177kW)/6000rpm
最大トルク:35.7kgm(350Nm)/2200-4250rpm
タイヤ:(前)205/45R17/(後)235/40R18
燃費:6.8リッター/100km(約14.7km/リッター、欧州複合サイクル)
価格:--万円/テスト車=--円
オプション装備:--
※数値は欧州仕様車のもの。
テスト車の年式:2013年型
テスト車の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

吉田 匠
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